アズ コレクション|ジュエリー・プロデューサー 佐野敦子氏×ENGINE編集長 鈴木正文氏 対談
Watch & Jewelry
2015年5月11日

アズ コレクション|ジュエリー・プロデューサー 佐野敦子氏×ENGINE編集長 鈴木正文氏 対談

AS collection|アズ コレクション

ジュエリー・プロデューサー 佐野敦子氏×ENGINE編集長 鈴木正文氏 対談

かねてより交流のある佐野敦子さんと、雑誌『ENGINE』編集長 鈴木正文さん。クリエイターであるおふたりがそれぞれのジュエリーに対する考えをテーマに対談。スタイルを感じさせるジュエリーの着け方とは、いったいどこから生まれてくるのだろうか。

Text by OPENERSPhoto by Jamandfix

――もともとおふたりは親交があるそうですね。

佐野 まずはじめてお会いしたときに、私が“はっ”としたのがきっかけ。まだショートパンツが流行っていない時期に素敵なショートパンツを履いていらっしゃって、目がハートになっちゃいまして。一目惚れですね(笑)。それ以来、交流させていただいていますが、鈴木編集長にはいつもインスパイアされるものがあります。

――それは、鈴木編集長のファッションに?

佐野 もちろん第一印象ではファッションでした。お話をしていてたとえばこちらの話題を何かふると、それをご自分のなかで昇華されて、自己スタイルで、ご自身のお考えをそれはもう壮大なスケールで表現される。お話をしていると鈴木編集長のもっていらっしゃる少年の冒険心のようなものを垣間見ることができて、いつも楽しくなります。アズ コレクションのジュエリーを身につけていただいても、いろいろファッションとミックスしてくださって、こちらの想像以上の楽しさというものを発信してくださっていて。

――今、鈴木編集長が着けていらっしゃるのも、アズ コレクションのものですね?

鈴木 そうですね。ジュエリーのことは佐野さんはやっぱりよく分かっていらっしゃるでしょう? だからあたらしいものをお願いするときにも僕は何のアイディアももたずにいって、「こうふうにおやりになったらいいんじゃないですか」と提案してくださったものを、取り立てて抵抗することもなく、大体そのまんま受け入れますね。

<strong>第50週 ELECTORE│エレクトーレ<br><br>たっぷりの泡で地肌の余分な皮脂がすっきりオフでき、根元からシャンと立ち上がる感じ</strong><h1>「フィジカルサイエンス エレクトーレシャンプー&ヘアトリートメント」</h1>
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佐野 (笑)

鈴木 僕はクリエイションができませんから、自分ではつくれません。でも、佐野さんはそういうことができる方、というか、そういう才能によって自らを立てていらっしゃる。それだけのことはあって、そのひとに似合ったジュエリーとか、季節や時代性に合わせたジュエリーというものについて、ちゃんとヴィジョンがおありになる。だからこそ、僕自身では思ってもみなかったような“僕に似合う”ジュエリーの提案をしてくださるわけです。言ったことがピタリと当たる易者のように、僕に似合うものをズバリ、突き出してくれるんですね。

一同 (笑)

佐野 普通のお客様だと、無難というかある一定の範囲内でのジュエリーのご提案しかできない場合が多いのですが、鈴木編集長はいろいろな意味において吸収の仕方が普通ではないので(笑)、編集長の想定外のものを提案しても、すっと取り入れてくださる。やはりトップクリエイターの方がジュエリーをファッションに取り入れて、それを自然と周囲に向けて発信していただけることで、クリエイションもかたちにする意味が生まれてきますしね。

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――鈴木編集長にとって、ジュエリーとライフスタイルには何か関連性はありますか?

鈴木 ジュエリーというのは、英語(西欧語系)では石のことですよね。装身具としての石です。で、石は何かというと、これは白川静先生の説ですが、中国では「神への祈りの文である祝詞を入れる器の形」であったそうです。石は祭祀や信仰の対象なんですね。しかも、光る石、太陽光を反射して光を発する石、つまり宝石となると、それは太陽の力が宿っている、と古代人は考えた。

人類のもっともプリミティヴな信仰としての太陽神信仰のなかでは、それゆえ宝石は神聖なものだった、といっていいと思います。それゆえそれはまた、太陽とおなじく、生きとし生けるもののパワーの源泉だった。宝石はそれを着けるものに、力を与える、ということですかね。「エンパワー」するわけです。ジュエリーというのは、その意味で、一種の呪的な力をもったものである。それはしたがって、ここにありながら別の世界と通じ合う、「異界と交流する」メディアでもあるわけです。別の世界が何なのかというと、それは定義できないものとしてあるとしかいいようがないんですが、ともかくこっちの世界とはちがうなにかです。だから、別の世界。定義できたら、別の世界といっても、別にこっちの世界とおなじになっちゃいますから。

――深いですね。

鈴木 ジュエリーを、そういうものとして考えると、ライフスタイルどうこうというのともちょっとちがう。むしろ、世界観とか、そういうことにつながっていくものだと思います。なぜなら、ジュエリーは、近代的意識においては当然のこととされる空間の均質性を否定している。空間の均質性というのを分かりやすくいえば、メートル法的空間です。もちろん、メートル法的空間がまちがっているということはない。1メートルは100センチであり、1000ミリで、それは日本でもアフリカでもアメリカでもおなじです。しかし、空間という空間がすべてメートル法でカバーできるわけではない。相対性理論を待つまでもなく、空間は均質ではないし、あるひとにとっておぞましい空間は、別のひとにとっては好ましい空間であるということがある。つまり、意味としての空間はおなじではないんですね。だから、「いま、ここ」という空間に、別の空間への通路がある、と見ることもできる。それは時間もおなじです。すべての時が、クオーツ時計や電波時計における時と一致するわけではない。位相の異なる時がある。悲しい時は長く、楽しい時は短いのです。明日は今日ではないし、今日は昨日ではない。「今日は昨日の続きで、明日は今日の続き」というふうに考えることもできるけれど、それでは現在にとっての他者としての未来はあり得ない、ということになる。場所についても同じことで、今僕たちのいるこの場所と、隣の家の場所がおなじだということは、意味としてはあり得ない。だから、全部の場所、全部の時間がちがう。そういうふうに見ることのできるひとにしか、じつは、ジュエリーというものの意義は分からないのではないでしょうか。ということで、ジュエリーはライフスタイルなんていうものじゃなくて、「着けるとどこかで違う回路が開かれるもの」だ、と僕は考えるのです。それゆえ、ジュエリーを着ける前と後では流れる時間がちがってくる。あるいは、そういうふうに意識してしまう。そんなふうに意識がもっていかれる、そういうメディアですよね、ジュエリーって。

――ジュエリーを着けることが、クリエイティブの源になったりもするのでしょうか。

鈴木 指輪一個がクリエイティブを作るわけじゃないから、そうともいえませんが、佐野さんの作るジュエリーにはパワーが入っている、と思いますね。そのパワーに刺激されて、クリエイティヴな力が出てくる、ということはあるかもしれませんが、ないかもしれません。いずれにしても、アズ コレクションのジュエリーを身に着けるということは、佐野さんの個性と出逢うということです。自分じゃないひとに出逢うということは、自分の想定外のものに出くわす、ということですね。そうじゃないと、出逢いの意味がない。

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――佐野さんのジュエリーに信頼を置いていらっしゃるのですね。

鈴木 もちろん、そうですが、佐野さんのジュエリーはセンスがいい、と思う。力があって、センスがある。

佐野 ありがとうございます。今の鈴木編集長の「ジュエリーとは出逢い」というお話、すごくうれしいです。日本ではまだまだジュエリーで個性を表現していく、というところにまでいたっていませんから。それが編集長のように個性と出逢うことであたらしい何かが生まれる、というふうに思っていただけていることに感動しました。ひとって年を重ねると、「これでいいんだ」って思いがちですもんね。

鈴木 年を重ねるにつれて、これじゃいけない、と思うばかりです(笑)。

佐野 いやいや(笑)。

鈴木 ジュエリーって、理由なしにしていいと思うんです。いいも悪いも、「あ、きれいだな、身に着けてみたいな」、ということで着けるものですよね。そこに理屈はない。この花がきれいだ、ずっと見ていたい、というのとおなじです。そして、身に着けているうちに、どうしてそれがいいと思ったか、というワケが後から発見される。だから、佐野さんと話をして、「あなたはトルコ石の指輪をしてみなさい」とか言われて、あ、たしかにトルコ石の指輪はいいかも、と思ってやってみると、あとでそういうものが自分にも似合うんだということが分かってくる。いわれた時にあ、そうか、ってピンと来るなら、その衝動のままに身に着けたほうがいい、というのが僕の意見です。意味が分かっているものを着けるんじゃなくって、分からないけれども着けてみたら、意味が分かった、というものがおもしろい。「あした」は分からないからこそ生きてみる価値があるのと、どこかで似ている。というのも、分からない「あした」を一生懸命に生きた時にはじめて「あした」の意味が分かるんですね。「あした」が「きょう」とおなじものだ、と考えてしまうと、「あした」は意味がないですね。「あした」のようなジュエリーに出逢いたい、と思うんですね。

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佐野 まだジュエリーづかいに関して保守的な方も多いなかで、貴重なご意見です。

鈴木 僕は専門家じゃないからよく分からないんだけど、アズ コレクションのジュエリーはクオリティもいい、と思います。僕は佐野さんのことをクリエイターとして尊敬していますが、佐野さんのジュエリーは、モノづくりのレベルとしてもとても高い。クラフツマンシップのレベルが高い、と思います。

――鈴木編集長はジュエリーから着こなしを考えることはありますか?

鈴木 僕は男なので、ジュエリーから服を発想するということは、あまり考えたことがありません。服とジュエリーがミスマッチなら、それをオシャレのポイントにする工夫を考えます。

佐野 でも鈴木編集長のようなスタイルにジュエリーの組み合わせって、ありそうでないんですよ。ジュエリーはパワーがあるだけに、着けたひとによってはジュエリーに負けてしまうこともありますが、鈴木編集長はご自身のスタイルというものが確立されていてしかも強いパワーも持っていらっしゃるから、ジュエリーがすっと馴染んでいる感じがします。そういうふうに着けこなしてくださる方が増えたら嬉しいです。デザインを考える側としても、鈴木編集長のものを考えるときはおもしろいんですよ。ジュエリーというものは、個性そのものが本当に素敵な方にこそ、似合うものですので。

――確かに。鈴木編集長から世の男性方にジュエリーの着けこなし方をアドバイスするとしたら?

鈴木 なんでしょう? 鏡をよく見て「似合うな」と思えるジュエリーがいいんじゃないでしょうか。第一歩としては、襟にピンをやるのとか、それぐらいでもいいと思いますよ。そういうふうに一歩踏み出すことはすごく素敵なことだ、と思います。で、そのピンをみんなが左にやっているなら右にやってみたらどうでしょう。そこにオリジナリティ、オリジナル・スタイルの芽生えがあるのではないでしょうか。

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――ジュエリーとファッションの関係性というのは、自分が好きで着けたいという気持ちから起こる、ある意味冒険のようなものなんでしょうか。

鈴木 好きで着けたいっていう男のひとは、どれぐらいいるのでしょう?

佐野 いますよ(笑)。最近はいっぱい。

鈴木 言われてみると、そうですね。最近、そういう男性に会いました。そういうジュエリーが好きなひとには、もう全然アドバイスなんていらないですよね。

佐野 そういう方々は基本的にみなスタイルがありますからね。

鈴木 でも、今まで全然ジュエリーに興味がなかったひとが、何かの拍子に「このジュエリーを着けたい」と思ったとする。それがジュエリーを手に入れるタイミングでしょうね。とにかくモノは衝動買いしかない、と思います。そして、衝動には、なにか理由があるんですね。ところで、佐野さんはいま製作のほうは何をやってらっしゃるんですか?

佐野 今年海外の展示会に出展する準備をしています。

鈴木 今日着けていらっしゃるジュエリーも素敵ですね。これはいつごろお作りになったんですか?

佐野 これは結構前ですね。ネックレスはハイジュエリーのラインですが、今日のようなコーディネイトではなく、もっとカジュアルな格好に日常的にハイジュエリーを着けましょう、というコンセプトで作ったラインです。

鈴木 男のひとはこういうのは、なかなかできません。

佐野 いや、鈴木編集長ならそのうちされるかもしれませんよ(笑)。

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鈴木 それはともかくとして、ぜひ海外でも、日本にパワーのあるジュエリーブランドがあることをデモンストレートしてほしいですね。

佐野 そうですね。鈴木編集長にも、海外も含めいろいろな場所に着けて行っていただいて、みなさんにジュエリーの楽しみ方を宣伝していただければ(笑)。

鈴木 頑張ります(笑)。

 

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