Van Cleef & Arpels|光のアートで表現されたブランドの世界観
インタビュー|ユーグ・レプ × 三木 均CEO
光のアートで表現されたメゾンの世界観
ヴァン クリーフ&アーペルは日本上陸40周年を記念して、12月11~12日の2日間、恵比寿ガーデンプレイスで初となるプロジェクションマッピングを実施した。幻想的な「フェアリー キャッスル」を制作したフランス人アーティストのユーグ・レプ氏は、この作品にどのような思いを込め、アートワークをおこなったのか。ヴァン クリーフ&アーペル ジャパン プレジデント&CEOの三木 均氏を交え、その思いを訊いた。
Text by FUKUTOME Ryoji
幻想的なフェアリー キャッスル
ヴァン クリーフ&アーペル(以下VCA)が日本に上陸して40周年を迎えた。40年前の1973年といえば、日本は高度成長期の真っただ中。今更ながら、世界に冠たる名門ジュエリーメゾンを迎え入れた当時の日本の勢いを感じずにはいられない。
そのVCAの日本上陸40周年を記念したイベントが去る12月11、12日の両日にわたっておこなわれた。コンセプトは「フェアリーキャッスル~妖精が棲むお城~」。会場となった恵比寿のシャトーレストラン「ジョエル・ロブション」には、これまでに発表されてきた珠玉のハイジュエリーとともに、そのモチーフとなった妖精たちのアートが展示された。そして、圧巻だったのがシャトーレストランに映し出されプロジェクションマッピングである。美しくも華やかで、幻想的なアートは、招待客や周辺に集まった人たちを魅了した。
会場内のモチーフとともに、このプロジェクションマッピングを手掛けたのが、ユーグ・レプ氏。これまでにドローイング、彫刻、映像などで独自の世界を創作してきたフランスの芸術家だ。
「VCAのことはよく知っていて、ジュエリーメゾンだが、ジュエリー以上の価値のあるもの、世界観をつくっているという印象をもってました。そんなメゾンとのコラボレーションなので難しい仕事だと思ったのですが、世界観が近いこともあり、楽しく仕事することができました」
依頼したVCAジャパンの三木均CEOも「レプ氏はフラワーやストーンなどのモチーフを使った創作活動をしている芸術家。世界観もVCAとあっており、我々がやりたいことを彼が一番表現してくれる適任者だと確信していました。だから、彼を起用して自由にやってもらうのがいいと思ったのです」と語る。
相思相愛の関係でスタートしたコラボレーションは、大きなトラブルもなくスムーズに進行していくのだが、レプ氏にとってプロジェクションマッピングは、初めての挑戦でもあった。
「まず、スケッチを描き、あとは世界観を擦り合わせていきました。メゾンを惑星に仕立て、そこに草木、花、妖精と加えていったのです。作業は順調でしたが、ニューヨークの仕事場で、コンピュータで作業していたので、スケール感がとても不安でした。大きさがあわないんじゃないかと。実際に建物を観たことがなかったので(笑)」
果たして、その幻想的な光のアートは、とても素晴らしい出来で、招待客はもちろん、その場にいた多くの人々に感動をあたえるものだった。レプ氏を起用した三木CEOも、「素晴らしかったです。なによりも観てくれた人たちが素晴らしいと感じてくれてたみたいなので、それが一番ですね」と大満足の様子だった。
記念イベントをたんなるパーティだけにとどめず、アートにしてしまうVCA。その夢のような世界は、その場にいた多くの人たちの眼に焼き付き、永く心に刻まれることになるだろう。
三木 均|MIKI Hitoshi
1961年生まれ。1985年、同志社大学法学部卒業後、樫山(オンワード樫山)に入社。2002年よりクロエ インターナショナルS.A日本駐在代表、2009年からリシュモン F&A ジャパン株式会社 代表兼取締役 兼 クロエCEOとして活躍。その後2011年からクロエインターナショナルS.Aワールドワイドコマーシャルディレクターとして、パリを拠点に全世界の営業部門のトップとしてコマーシャル戦略の指揮を執る。2013年ヴァン クリーフ&アーペル ジャパン プレジデント&CEOに就任する。
Hugues Reip|ユーグ・レプ
1964年カンヌ生まれ、パリ在住。フランス人アーティストとして、ドローイング、彫刻、映像、ネオンなど多彩なメディアを使い独自の世界を作り出す芸術家として知られる。2008年には、日仏交流150周年の記念事業の一環として、東京現代美術館で開催された「パラレル・ワールド もうひとつの世界」を展示。不可思議でありがなら、暖かみあふれたイマジネーションが世界の人々を魅了した。