“和製”ボサノヴァ・サンバを集めたコンピレーション・アルバムが発売|MUSIC
LOUNGE / MUSIC
2016年7月28日

“和製”ボサノヴァ・サンバを集めたコンピレーション・アルバムが発売|MUSIC

NIPPON SAMBA|ニッポン サンバ

伊藤陽一郎が選曲を担当

日本の歌謡界で生まれた和製ボサノヴァ・サンバを集めたコンピレーション・アルバム「NIPPON SAMBA」が発売する。伊藤陽一郎の選曲で組まれたアルバムは、グルーヴや楽曲のムードを意識した流れとなっている。

Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)

和製ブラジル音楽を多数収録

1950年代~60年代の日本のミュージックシーンは、「ニュー・リズム」を模索し、次々と新しいリズムを持つ楽曲が誕生していた。1950年代初頭を起点とし、1955年に頂点を迎えた爆発的なマンボ・ブーム以降、50~60年代を通じてさまざまなニュー・リズムが日本の歌謡界を席巻。国産のニュー・リズムもあるが、その多くは異国発祥とされるものが多いという。その頃ブラジル音楽もそうしたニュー・リズムの一つとして一般的に浸透していく。

1963年に日本の歌謡界に仕掛けられた音楽が、ボサノヴァだ。谷ヒデコの「東京ボッサノバ娘」や小林旭「アキラでボサノバ」など、ボサノヴァと歌謡曲を混ぜ合わせた楽曲がリリースされる。ニュー・リズム時代以降になると、流行歌やポップス、ジャズなど多方面でボサノヴァやサンバのリズムエッセンスを採り入れるようになった。

コンピレーション・アルバム「NIPPON SAMBA」は、そのような時代に生まれた“和製”ボサノヴァやサンバを揃えたアルバムだ。先にも紹介した谷ヒデコ「東京ボッサノバ娘」、大橋巨泉「こりゃまたみなさん百面相」など、多彩な楽曲を収録。

選曲を手がけたのはAKAKAGE名義で数々のプロデュースやリミックス・ワークをこなしてきた伊藤陽一郎氏。本作収録曲もクラブで人気のキラー・チューンから知る人ぞ知る楽曲が揃っており、クラブDJとして長いキャリアを誇る彼の選曲だけに、グルーヴや楽曲のムードを意識した流れとなっている。

ジャケットアートは、グラフィックデザイナーである横尾忠則氏の作品「49 Years Later」。1966年から続く「スイマー・シリーズ」の一環として、2014年に描かれたものだ。ブラジルの陽気なさまをイメージさせる、色彩豊かなアートワークは2016年8月のリオデジャネイロ・オリンピック直前にリリースされる作品のジャケットとして、大きなインパクトをもつ。

和モノのDEEPな世界

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伊藤氏は「2016年はオリンピックイヤー、そして今年の開催地はリオ。"和モノ"のアレンジにはサンバやボサノヴァを取り入れた楽曲も多く、気が付けば僕のコレクションにも溢れていた。そんなテーマで楽曲を集めたら楽しくないだろうか?そんな気持ちで並べてみると、確かに楽しい。"和モノ"の世界は、一歩足を踏み入れれば、二歩先にはDEEPな世界。一度"深み"にハマってしまうと、"慣れ"なのか"悦び"なのか一般的な聴こえ方の境界線を失っていく感じがした。今作では、昭和歌謡とブラジリアンの邂逅の歴史も感じて頂ければと思いつつ、リオ~東京への架け橋として、昭和歌謡のもつ楽しさと魅力を、踊り出したくなるサンバのリズムとともに楽しんでいただければ」と語る。

伊藤陽一郎
DJ、プロデューサー。"AKAKAGE, Natural Essence ..."といったいくつもの名義で、自らのアルバムをコンスタントに発表し続けている。プロデューサーとしては、 ワールドミュージックからJ-Popまでと幅広い音楽性に対応し、DJ的なスキルとスタイリッシュな感覚でオリジナルな世界を表現。過去にはルパン三世やGoldfinger99(郷ひろみ)などの膨大なリミックス作品、様々なアーティストへのプロデュースやアレンジも精力的に手掛ける。DJとしては、ジャズやラテン音楽をベースに持ちつつも、ロックやパンクの感覚をあわせ持ち、最近では和モノの世界にも存在をアピールした独自の選曲感でジャンルやフィールドを越えたAll Mixのプレイを得意とする。

NIPPON SAMBA
価格|2484円(税込)
セレクター|伊藤陽一郎
曲数|全24曲
発売元|ビクターエンタテインメント

           
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