BOOK｜スペースシャトルと原初の風景が共鳴『LAND SPACE』
BOOK｜スペースシャトルと原初の風景が共鳴し、描き出された地球の姿
瀧本幹也写真集『LAND SPACE』
目覚しい活躍をつづける写真家の瀧本幹也さん。最先端の科学技術であるスペースシャトルと、地球原始の姿を共鳴させ、地球の姿を浮き彫りにした新作写真集『LAND SPACE』を、青幻舎より出版した。
Text by YANAKA Tomomi
奇妙な相似形をみせる「SPACE」と「LAND」
多くの企業のCMやグラフィック広告をはじめ、今秋公開される映画『そして父になる』の撮影監督を務めるなど目覚しい活躍をつづける写真家の瀧本幹也さん。最新の写真集では、スペースシャトルを追って数度にわたりアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターを訪れた「SPACE」と、原初の地球の風景を被写体にした「LAND」というふたつのシリーズを往還しながら、地球を“撮影”した。
「SPACE」では宇宙センター内のスペースシャトルの組立棟や整備施設など、通常は撮影はおろか、立ち入ることも許されないエリアや、シャトル発射の瞬間を断片化して捉えている。一方、「LAND」では、苔に覆われたアイスランドの大地や、トルコ・カッパドキアの起立した岩、インドネシアやハワイの火山など、太古の地球の姿を現在にとどめた地形と対峙した。
人類が数十年で到達した文明の極地と、40数億年をかけて創造された自然の美しさ。それらは対極の存在であるにもかかわらず、たとえばスペースシャトル「アポロ」の噴射口のアップは休火山の火口を連想させるように、奇妙な相似形を描いているのだ。
生命が出現するはるか以前の地球と、科学技術が進歩し、これまで誰も見たことのなかった惑星としての地球。ページをめくると、そのふたつの相乗によってあらわれた、もう一つの地球史をわたしたちは目の当たりにすることだろう。
瀧本幹也写真集『LAND SPACE』
仕様│A3、オールカラー80ページ
発行│青幻舎
価格│6300円
発売中
http://www.seigensha.com/books/978-4-86152-392-2