ART|『映画をめぐる美術-マルセル・ブロータースから始める』展
ART│美術館で映画を“読む”
東京国立近代美術館で『映画をめぐる美術-マルセル・ブロータースから始める』
美術館を舞台に映画を“読み解く”という斬新な展覧会『映画をめぐる美術-マルセル・ブロータースから始める』。4月22日(火)から6月1日(日)まで、千代田区・東京国立近代美術館で開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
国際的に活躍する13人のアーティストによるフィルムやインスタレーションを紹介
普通は“観る”ことが普通である映画。それを“読み取る”という試みが繰り広げられる『映画をめぐる美術-マルセル・ブロータースから始める』展。このサブタイトルにあるように、1960年代半ばから1970年代半ば、戦後美術の転換期に唯一無二の存在感を示したベルギー出身の芸術家マルセル・ブロータース(1924-1976年)の存在をヒントに、映像を言語の拡張と捉えるような作品が紹介される。
詩人としてキャリアをスタートし、オブジェや写真、短編映画の制作、著述活動など幅広い創作を展開したブロータース。ブロータースの映画の特徴は、いわゆる「動く像」を重視したものではなく、普段は当たり前すぎて気にも留めない言葉やイメージが不透明で見慣れないイノセンスなものとして立ち現れてくることにある。そのような事態を前に、言葉やイメージの間を跳躍し、そこに接続線を引き、すなわち映画を“読む”ことへといざなわれていくのだ。
建築家の西澤徹夫が会場デザインを担当した本展では、ブロータースの作品をはじめ、エリック・ボードレール(1973年-)の『重信房子、メイ足立正生のアナバイス、そして映像のない27年間』や、田中功起(1975年-)による『ひとつの詩を5人の詩人が書く(最初の試み)』など、国際的に活躍する13人のアーティストによるフィルムや写真、ビデオ、インスタレーションが紹介される。
美術館で映画を“読む”という刺激的な体験。言葉とイメージの関係を浮かび上がらせるブロータースの実践を手がかりに、“映画をめぐる美術”について思考をめぐらしてみたい。
『映画をめぐる美術-マルセル・ブロータースから始める』
会期│4月22日(火)~6月1日(日) ※月曜休館。ただし5月5日は開館し、5月7日は休館
時間│10:00~17:00(金曜は~20:00)
会場│東京国立近代美術館 企画展ギャラリー(1F)
東京都千代田区北の丸公園3-1
Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料│一般850円、大学生450円
www.momat.go.jp