ART│原美術館で『ソフィ カル-最後のとき/最初のとき』
ART│長年追究してきたテーマの最新作を日本初公開
原美術館で『ソフィ カル-最後のとき/最初のとき』
フランスを代表する女性現代美術家、ソフィ・カルが失明した人々を取材し、写真とテキストで綴った『最後に見たもの』(2010年)と、はじめて海を見るひとびとの表情を捉えた映像作品『海を見る』(2011年)で構成した『ソフィ カル-最後のとき/最初のとき』が、3月20日(水・祝)から6月30日(日)まで品川の原美術館で開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
群馬・渋川市の別館ハラ ミュージアム アークでは『限局性激痛』も展示
写真と言葉で構成した物語性の高い作品の制作で知られるソフィ・カル。1953年にパリで生まれた彼女はこれまでにも見知らぬ人々を自宅へ招き、自分のベッドで眠る様子を撮影したものにインタビューを加えた『眠る人々』(1979年)や、ヴェネツィアのホテルでメイドをしながら宿泊客の部屋の様子を撮影した『ホテル』(1983年)、拾ったアドレス帳に載っていた人物にその持ち主についてのインタビューを行い、フランスの日刊紙ベラシオンに連載した『アドレス帳』(1983年)など、物議をかもす作品を次々に発表してきた。
原美術館では、悲しみの体験を人と交換することで心の傷が癒されていくプロセスを美しい写真と刺繍のテキストで綴った1999年の個展『限局性激痛』から14年ぶりとなる彼女の個展『ソフィ カル-最後のとき/最初のとき』を開催。カルが長年にわたり探求してきた視覚や認識にかんする最新作でもある『最後に見たもの』と『海を見る』が、原美術館の空間に合わせて再構成され、日本で初公開される。
また、今回の作品の原点ともいえる、生まれつき目の見えないひとびとに「美のイメージとは何か」と問いかける彼女の代表作『盲目の人々』(1986年)の一部と、彼女の親しい友人であり現代美術作家の杉本博司による『海景』と組み合わせた特別版も1点展示される。
期間中は、群馬県渋川市の原美術館の別館ハラ ミュージアム アークでソフィ・カルの『限局性激痛』とミランダ・ジュライの『廊下』を展示する『紡がれた言葉-ソフィ カルとミランダ ジュライ/原美術館コレクション』を3月16日(土)から6月26日(水)まで開くなど、関連イベントも展開。
彼女が長年追究してきた「美とは何か」「見るとはどういうことか」を静かに思考できるこの展覧会。長きにわたるカルの問いの旅から得られたひとつの解について、私たちも追体験してみたい。
『ソフィ カル-最後のとき/最初のとき』
日程│3月20日(水・祝)~6月30日(日) ※月曜休館。ただし、祝日にあたる4月29日(月)、5月6日(月)は開館。4月30日(火)、5月7日(火)は休館
時間│11:00~17:00 ※3月20日をのぞく水曜は~20:00
会場│原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
Tel.03-3445-0651
入館料│一般1000円、大高生700円、小中生500円
http://www.haramuseum.or.jp