ART│メゾンエルメスで『パラの模型/ぼくらの空中楼閣』パラモデル展
ART│国内外から注目を集めるアートユニットによる新作インスタレーション
メゾンエルメスで『パラの模型/ぼくらの空中楼閣』展開催
プラレールやミニカーといった玩具で空間を埋め尽くしてゆく展示で注目を集めるアートユニット、パラモデルによる新作インスタレーション『パラの模型/ぼくらの空中楼閣』が、5月6日(月・祝)まで銀座のメゾンエルメス8階フォーラムで開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
“パラ”な世界を組み立てるふたりのメタフィジカルな模型遊び
国内外の美術館などで特定の場所に帰属するアートを意味する「サイトスペシフィックな作品」を発表してきたパラモデルは、1971年生まれの林泰彦(はやし・やすひこ)と1976年生まれの中野裕介(なかの・ゆうすけ)によって2001年に結成。ユニット名である「パラモデル」は、彼らの制作哲学そのものを示すキーワードとして、過去から現在に至るまで、展覧会や作品のタイトルとして頻繁に登場してきた。
パラレル、パラドックス、パラメーター、パラサイト、パラダイスなどの言葉を示唆する「パラ」と、模型や設計図を連想させる「モデル」というふたつの言葉による造語のように、彼らのインスタレーションは無数の可能性を誘発。建築パーツや部品から組み立てられた世界は、極度にコード化されてゆく現代を象徴的に示しながら、永遠に組み立てなおされてゆく都市や有機体のように広がる。
今回、彼らは東京の中心に位置し、ガラスブロックに覆われたメゾンエルメスのなかで、それぞれの手法で都市を読み解き、妄想を膨らませるとともに、いままで数多く使用してきたプラレールを封印して作品を制作。空間をどこまでも模型化してゆくインスタレーション、仮囲いシートに出現する空中楼閣と見まちがうドローイング、各自のイマジネーションは綿密でありながらも同時に幻想的な印象の作品が展示された。
そして3月21日(木)にはパラモデルの中野裕介と立教大学現代心理学部映像身体学科の宇野邦一教授によるトークイベントも開催。当日はパラモデル作品にも見られる身体性から連鎖してゆく現代創造について語り合うという。
時に部品や全体となりながら、“パラ”な世界を組み立てるふたりのメタフィジカルな模型遊び。互いに異なるタイトルを掲げながらも、ひとつの世界をつくりあげるパラモデルのパラレルワールドを覗いてほしい。