ART│『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』
LOUNGE / ART
2014年12月9日

ART│『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』

ART│ファッション写真をアートへと昇華させた巨匠の作品を一堂に

『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』

およそ70年間にわたり写真の可能性を貪欲に追究しつづけた写真界の巨匠エドワード・スタイケン(1879-1973年)。彼が商業写真界に飛び込んでモダニズム旋風を巻き起こした1920~30年代の約200点におよぶ作品を一堂に展示する『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』が、4月7日(日)まで世田谷美術館で開催中だ。

Text by YANAKA Tomomi

グレタ・ガルボ、ガーシュインら時代のアイコンのポートレートや、貴重な資料を展示

2007年にパリのジュ・ド・ポームを皮切りに世界各地を巡回し、モダニティあふれる写真世界が大きな話題となった『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』。スタイケン没後40周年という節目の年に、いよいよ日本にも上陸した。

アメリカで育ったエドワード・スタイケン。20代はパリを拠点にロダンら芸術家を撮影して高く評価され、同時期にニューヨークにもスタジオを借り、肖像写真家として活動していた。1914年の第一次世界大戦勃発により帰米。陸軍に志願し、航空写真を開拓する。

第一次世界大戦終結後はパリ郊外の自宅にこもり食器や植物を題材に幾何学的な構成の写真を撮りつづけていたものの、1923年、一転して商業写真家へと転身。1937年に商業写真からの引退を宣言するまで高級ファッション誌『ヴォーグ』と男性向け総合誌『ヴァニティ・フェア』でファッションやポートレートの撮影を手がけた。その後はMoMA(ニューヨーク近代美術館)で写真部長などを務め、82歳で退職するまで活躍。ファッション写真としてのアートを確立した第一人者だ。

本展は、1923年から1937年までの15年間に撮影した写真で構成。会場には、『ヴォーグ』にヌード写真を使うのをためらった編集長に「ヴォーグをルーヴルにしよう」とスタイケンが説得したエピソードとともに、芸術と商業の境界線を巧みに横断する様子を彼のミューズであったモデルのマリオン・モアハウスらの写真から紹介。また、シャネルやランバン、スキャパレリなど、一流デザイナーのファッションを精緻にとらえた数かずの名作が展示される。

また、若き頃からポートレートの名手であったスタイケンが『ヴァニティ・フェア』のために撮り下ろした女優マレーネ・ディートリッヒやグレタ・ガルボ、作曲家ジョージ・ガーシュインら時代のアイコンのポートレートや、印刷のための指示書きなどが生なましく残るオリジナルプリントなども紹介。これらが掲載された雑誌も並べられ、この時期に写真のみならず雑誌のレイアウト全体が劇的に変遷する様子も見ることができる。

アメリカ社会において、第一次世界大戦の好景気に沸いた1920年代が“光”であるなら、大恐慌を経て不況にあえぐ1930年代は“影”ともいえる対照的な時代に一貫して美しいひとびとと華やかな夢の生活を撮りつづけてきたスタイケン。はっとさせられるような美しさ、モダニティを湛えたスタイケン黄金期の写真は移ろう時代を越えても見る者を魅了しつづける。

『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』

日程│1月26日(土)~4月7日(日) ※毎週月曜休館

時間│10:00~18:00 ※入場は17:30まで

会場│世田谷美術館

東京都世田谷区砧公園1-2

Tel.03-3415-6011

観覧料│一般1000円、65歳以上・大高生800円、中小生500円

           
Photo Gallery
           
  • ART│『エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937』
        BRAND INDEX