ART│広島現代美術館で開催される『路上と観察をめぐる表現史-考現学以後』展
ART│観察者たちが路上で見出したアート
広島市現代美術館で開催される『路上と観察をめぐる表現史-考現学以後』展
戦前から現代にかけて“観察者”たちが路上に見出した創作物を紹介する『路上と観察をめぐる表現史-考現学以後』展が、4月7日(日)まで広島市の広島市現代美術館で開催されている。
Text by YANAKA Tomomi
広島でリサーチを敢行した下道基行による新シリーズも発表
1923年の関東大震災直後、民家の研究者で建築家でもあった今和次郎(こん・わじろう)と、のちに舞台美術家として活躍する吉田謙吉が東京の街とひとびとの風俗に注目し、暮らしにまつわるものをさまざまな角度から調査をはじめた「考現学」。
そんなユニークな研究は、1986年に建築家の藤森照信や前衛美術家の赤瀬川原平らが見慣れた環境から可笑しみを発見する「路上観察会」、編集者の都築響一による「珍日本紀行」などに受け継がれ、現在も美術や建築などの分野で路上の物事を観察し、記録する多彩な活動が展開されている。
今回の展覧会では、これまでに彼らが見つけてきたものをあらためて紹介するとともに、さまざまなアプローチをとおして観察や発見という行為が表現として成立する様子に注目。大正時代の風俗から、現代の変わった風景などを展示し、観察するものとされるものの双方における「表現とは何か」という重大な問いを投げかけ、芸術のあり方について考察する。
また、ひとびとの創意工夫や痕跡がつくり出す風景に関心を寄せ、全国各地の“橋のようなもの”を調査した「つなぐもの」シリーズで知られる下道基行(したみち・もとゆき)は、今回の展覧会のために広島でリサーチを敢行。その成果として制作した新シリーズも発表されるという。
さらに期間中は、画家の大竹伸朗と編集者の都築響一という親交の深い両者による対談が2月16日(土)に開かれるほか、建築やデザインなど幅広い分野で活躍する建築家ユニット、アトリエ・ワンが出展作品を中心に自作を語る講演会が3月30日(土)に開催されるなど、多彩な関連イベントも。
移ろう時代のなかで次々と生み出されてきた「つくり手知らず」による名作と、観察の名手たちによる路上のマスターピース。ひとびとの生活に密着しているからこそ楽しい芸術をこの機会に味わってほしい。
『路上と観察をめぐる表現史-考現学以後』
期間│1月26日(土)~4月7日(日) ※月曜休館。ただし、2月11日(月)は開館し、翌12日(火)は休館
時間│10:00~17:00 ※3月26日(火)~4月5日(金)は19:00まで
会場│広島市現代美術館
広島市南区比治山公園1-1
Tel.082-264-1121
観覧料│一般1000円、大学生700円、高校生500円 ※小中学生、65歳以上は無料
大竹伸朗×都築響一 対談
日程│2月16日(土)
時間│14:00~15:30
会場│広島市現代美術館 地下1階ミュージアムスタジオ
定員│130人 ※開催当日10:00より受付にて整理券配布
アトリエ・ワン 講演会
日程│3月30日(土)
時間│14:00~15:30
会場│広島市現代美術館 地下1階ミュージアムスタジオ
定員│130人 ※開催当日10:00より受付にて整理券配布
ログズギャラリー「農民車」試走会
日程│4月7日(日)
時間│14:00~15:30
会場│広島市現代美術館 サービスヤード
※参加無料、事前申し込み不要
学芸員によるギャラリー・トーク
日程│3月2日(土)
時間│14:00~15:00
※事前申し込み不要