ART│写真家・北井一夫の美術館における初の個展『いつか見た風景』
ART│平凡な個の日常を見つめつづけるリアルで身近なドキュメンタリー
北井一夫『いつか見た風景」』展
1976年に第1回木村伊兵衛写真賞を受賞した、日本を代表する写真家・北井一夫氏。彼の美術館における初の個展『いつか見た風景』が11月24日(土)から2013年1月27日(日)まで、恵比寿の東京都写真美術館で開催される。代表作から最新作まで北井氏の活動を一度に見られる回顧・集成展は必見だ。
Text by YANAKA Tomomi
最新作「道」を初展示
1944年生まれの北井氏は、日本大学芸術学部写真学科を中退した後、1965年に横須賀の原子力潜水艦寄航反対闘争をテーマにした写真集『抵抗』を自費出版。1969年から新東京国際空港(成田空港)反対闘争の記録である『三里塚』を雑誌『アサヒグラフ』に連載し、闘争に身を置く農民たちの日々の生活を切り取った映像があたらしいドキュメンタリーとして高い評価を得る。その後も過疎化する農村を撮影した『村へ』や、都市化する船橋市に生活する人びとをテーマにした『フナバシストーリー』などを刊行、社会の変遷をカメラでつぶさに綴ってきた。
そんな彼の集成展ともいえる今回の展覧会。初期の『過激派』や『バリケード』から、近作の『おてんき』『ライカで散歩』、そして東日本大震災前後の東北の道路のみを撮影した最新作の『道』も登場し、全206点が展示される。
また、会期中は関連イベントも開催。12月15日(土)と1月12日(土)には北井氏とゲストによる対談が企画されているほか、1月3日(木)には北井氏本人による新春特別フロアレクチャーもおこなわれる。同時に、今回の作品展の開催に合わせて全出品作品の図版と作家本人による解説、個人史をふくんだ年表が掲載された展覧会カタログも発刊されるという。
これまで学生運動や成田空港反対闘争、農村の原風景などをテーマにしながらも、そこに存在する“日常”に目を向け、その内側からの目線で写真を撮りつづけてきた北井氏。どこか懐かしく、そして新鮮さを備えた身近なドキュメンタリーをぜひ体感していただきたい。
作家とゲストによる対談
北井一夫×金子隆一(東京都写真美術館専門調査員)
日程│12月15日(土)
時間│14:00~15:30
北井一夫×田中長徳(写真家)
日程│1月12日(土)
時間│14:00~15:30
会場│東京都写真美術館 1階アトリエ
定員│各70名
※展覧会チケットの半券で参加可能
※当日10:00から1階受付で整理券を配布
新春特別フロアレクチャー
日程│1月3日(木)
時間│11:30~
解説│北井一夫、藤村里美(東京都写真美術館学芸員)
北井一夫『いつか見た風景』
日程│11月24日(土)~2013年1月27日(日)
時間│10:00~18:00 ※木・金は20:00まで ただし、1月2日・3日は11:00~18:00
休館日│月曜日 ※12月29日~1月1日 ただし、12月24日、1月14日は開館し、翌日休館
観覧料│一般600円、学生500円、中高生・65歳以上400円
会場│東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス
Tel.03-3280-0099