第1回:ちょっと未来に生きていたい
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2015年4月13日

第1回:ちょっと未来に生きていたい

第1回:ちょっと未来に生きていたい

■水が足りなくなるだろうという“直感”

鈴木正文 はじめまして。高城さんの最新刊『ヤバいぜっ!デジタル日本』(集英社新書)興味深く読ませていただきました。

高城 剛 光栄です。ありがとうございます。

鈴木 これを読んでいるとほんとに自分は取り残されているな(笑)って感じますね。

高城 そんなことないですよ。

鈴木 高城さんが最近力を入れていることはなんですか。

高城 僕は、ちょっと先に「いきたい」と思っているんですよ。「go」じゃなくて「live」のほうの「生きたい」です。ちょっと未来に生きていたい。それで最近は、水と電気なんです。

鈴木 ちょっと先が、水と電気なんですか。

高城 はい、今、北海道で水の採掘権を得て、湧き水をくみ上げてボトリングして、自分の水として飲んでいます。今、手元にあるペットボトルがそうです。あと電気は、沖縄にSANYOのソーラーパネルを置いて電気をつくって沖縄電力に売電して、それを電力ネットワークで東京電力から買いなおしているんです。

鈴木 どうしてそれをやろうと?

高城 直感ですね。たぶんこの先、水が足りなくなるだろうなと。10年前だったらオーダーメードの服とかクルマのカスタムに突っ込んでいたお金を、今はそういったものに使っている感じですね。でもそれは意図的なものからじゃなくて、「今やったほうがいいな」って直感です。

■食糧貯蔵庫付の家を建てていて……

鈴木 何か本を読んで……というのでもないと。やり始めたのはいつからですか。

高城 この2年ぐらいですね。電気も水もまだ稼動して半年ぐらいかな。

鈴木 さすが鋭いですね。目のつけどころが。アースポリシー(地球政策研究所)研究所所長のレスター・ブラウンは、すでに1995年ぐらいから「21世紀は水を巡る戦争の時代」だと、資源争奪戦を予言していた。そういう知識の元に実感をプラスされていたのかなと思いました。

第1回:ちょっと未来に生きていたい

photo by SHIMIZU Yuki

高城 ほんと実感だけですよ。ただ水だけ押さえればオッケーかなという思いはありましたね。今、北海道に食糧貯蔵庫付の家を建てていて、いい技術の冷凍庫がほしいんです。10年前はモーターショーに行っていたのに、今は家電ショー(笑)。なんか変わったんですよ。理由はないんですけど。この3~4年、すごく自分の中で何かが変化しているんです。

鈴木 そういう変化の「兆(きざ)し」みたいなものは?

高城 特にないんですが、本当に先のことばかり考えている。3日前のこととか覚えてない(笑)。

鈴木 高城さんの言う、半歩一歩先を生きるっていうのは、先手をとるってことでしょ?

高城 そういうことですね、たぶん。それを理屈じゃなくて、直感を信じてやってるんです。

(続く)
高城剛(たかしろつよし)
映像作家/ハイパーメディア・クリエイター

1964年葛飾柴又生まれ。89年、日本大学芸術学部文芸学科を卒業。同時に映像作家としてデビュー。90年代はビデオクリップやCF・連続テレビドラマなど、デジタルを駆使した演出作品で常に話題をさらい、デジタル時代の映像作家として注目される。90年代後半からデジタル映画・映像制作に進出し、デジタル・カルチャーの先導者として受賞も多数。2000年代に入るとプロデュース業も本格化、マルチメディア・クリエイターとして幅広く活躍中。

           
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