LOUNGE / ART
2026年5月27日

伝統木版画で、ザ・ペニンシュラ東京の日常を描く

 

THE PENINSULA TOKYO|ザ・ペニンシュラ東京

 
ザ・ペニンシュラ東京が制作したオリジナル浮世絵3種類が、いよいよ一般販売をスタートする。長年にわたり力を入れてきたアートプロジェクトの中でも、ホテルを代表するものとして、日本の伝統的な木版画技法を用い、現代のホテルの日常を、昔と今が交差する世界観で表現した作品だ。
 

Text by WASEDA Kosaku

アートが、過去と現在を繋ぎ、未来を育む

 
ザ・ペニンシュラホテルズは、全世界12軒の各ホテルで「ホテルが建つ土地の文化を取り入れる」という哲学を掲げ、外観・インテリアにとどまらず、文化やアートを反映したプロダクトやプログラムを提供している。
 
ザ・ペニンシュラ東京でも、ウイスキーボトルへのアーティストコラボレーションやアートフェアのスポンサーシップなど、様々なアートプロジェクトを展開してきた。今回の浮世絵制作もその一環であり、ゲストに日本の伝統芸術を紹介するとともに、浮世絵の担い手である職人たちへの直接的な支援も目的としている。
 
制作にあたっては、現代のスターや風景を伝統木版画で表現する「UKIYO-E PROJECT」が監修を担当。絵師には、日本特有の思想や感覚と現代の発想・画法を融合させる画家のOZ氏を起用し、彫師の永井氏・阿部氏、摺師の小川氏がそれぞれ数ヶ月をかけて仕上げた。
 
3種類いずれも共通タイトルは「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ(ザ・ペニンシュラ東京図絵)」。「戸゜(ぺ)=出入り口・扉」「任(にん)=思いやり・敬う」「朱(しゅ)=ホテル内の赤を象徴する色」「邏(ら)=めぐる」と、それぞれホテルにゆかりのある意味を持つ当て字で綴られている。
 
各作品の題材は次のとおりだ。
 
 
1.正面玄関 おもてなし
アイコニックな1934年製ヴィンテージロールスロイスと馬・人力車・籠といった江戸から明治の乗り物が混在するエントランスの到着シーン。
 
 
2.ザ・ロビー 午後のひととき
特徴的なシャンデリアと正面オブジェ「臥龍の門」を擁するロビーで、江戸時代の女性たちがアフタヌーンティーなどを楽しみ海外客と交流する光景。
 
 
3.日比谷の灯篭 あさひを眺む
西から望む鳥瞰図。左上にはホテル外観、遠景には銀座・日本橋・丸の内の現代ビル群、皇居には旧江戸城が描かれ、東の空に日が昇る。
 
これらの作品に共通するユニークな仕掛けとして、ホテルの建物の守り神として7階に鎮座するガーゴイルが各絵のどこかに必ず隠れている。
 
作品に使用された和紙は福井県産の手漉き和紙「越前生漉奉書」。国産の楮(こうぞ)を100%使用し手作業で漉(す)き上げたもので、強さとしなやかさを兼ね備え、古来より浮世絵や日本画に多く用いられてきた。この和紙に絵師の描写、彫師の小刀が刻む線のタッチ、摺師による繊細な色合いが重なり、唯一無二の作品が生まれた。サイズはいずれも260mm×380mmとなっている。
 
各デザインとも初摺100枚が限定制作された。価格は額入りと額無しが選べ、ホテルにて販売される。
 
ザ・ペニンシュラ東京、地下1Fには浮世絵制作に触れられる常設スペースが設けられており、OZ氏によるキャンバス画(各1.36m×2.01m)3点も展示中だ。
 
過去と現在が交差するこの浮世絵には、文化や時代を超えた普遍的な力がある。さまざまな国から訪れ、さまざまな言葉を話し、さまざまな価値観を持つ人々が、同じホテルという空間でひとときを共有する。ザ・ペニンシュラ東京が目指しているのは、もはや宿泊という枠に収まるものではなく、アートを介して人と人が出会い、互いを理解するという一つの社会の縮図なのかもしれない。
 
 監修:UKIYO-E PROJECT
浮世絵の「浮世」は「今」「現代」という意味があり、各時代に人気のあった美人や歌舞伎役者、観光スポット等が描かれてきた。UKIYO-E PROJECTは、その浮世絵のスタンスを現代にいかしたいという考えのもと、2014年三井悠加氏により発足された現代の版元であり、現代のスターや風景を伝統木版画で表現している。浮世絵職人の新たな需要を創出し、技術を後世に伝承していく新たな展開は、世界中で高く評価され、大英博物館(ロンドン)やオーストリア応用美術博物館(ウィーン)、マイアミ大学図書館などに所蔵されている。UKIYO-E PROJECT 
 
絵師: OZ-尾頭-山口佳祐
画家、絵師。日本特有の思想や感覚、現代の発想や画法を融合し、万物に秘められた“何か”を追求しながら筆を走らせ続けている画家。近年は大絵馬や現代絵図を描き、奉納や文化の継承を進める傍ら海外での個展開催・アートフェスティバルへ参加するなど表現は多岐に亘る。 https://oz-te.com
 
彫師: 永井沙絵子
京都伝統工芸大学校卒業後3代目関岡扇令に師事。6年間修行後独立、墨田区に工房を構える。
浮世絵木版画彫摺技術保存協会会員、東京伝統木版画工芸協同組合員
 
彫師: 阿部紗弓
デザイン専門学校で3年間木工について学んだ後3代目関岡扇令に師事。6年間修行後、荒川区に工房を構える。浮世絵木版画彫摺技術保存協会会員、 東京伝統木版画工芸協同組合員
 
 
価格|19万5000円(税込・額あり)、14万5000円(税込・額無し)
枚数|各デザイン初摺100枚ずつ限定
問い合わせ先

ザ・ペニンシュラ東京

Tel.03-6270-2888

ザ・ペニンシュラ東京の浮世絵プロジェクトに対するよくある質問

 
Q. このプロジェクトはどのような経緯で生まれたのですか?
 
「ホテルが建つ土地の文化を取り入れる」という哲学に基づき、日本・東京に所在するザ・ペニンシュラ東京として、日本の伝統アートのひとつでもある浮世絵をオリジナルで制作。国内外のゲストに文化を紹介するとともに、伝統を継承する職人の直接的な支援にもつなげることを目的としています。そしてこの度、オリジナル浮世絵3種類の一般販売がスタート。日本の伝統的な木版画技法を用い、現代のホテルの日常を「昔と今が交差する世界観」で表現した作品で、アートが過去と現在を繋ぎ、未来を育むという理念のもとに制作されています。監修に当たったUKIYO-E PROJECTは、浮世絵の「浮世」が「今」「現代」を意味することをふまえ、各時代に人気のあった美人や観光スポットを描いてきた浮世絵のスタンスを現代に活かすことを目指して2014年に発足した現代の版元です。その新たな展開は世界中で高く評価され、大英博物館やオーストリア応用美術博物館、マイアミ大学図書館などにも所蔵されています。
 
 
Q. 3点の作品にはそれぞれどのような場面が描かれていますか?
 
1点目「正面玄関 おもてなし」はホテルの正面玄関を舞台に、ロールスロイスや牛車、江戸時代の女性たちが共存するおもてなしの光景を描きます。2点目「ザ・ロビー 午後のひととき」は、特徴的なシャンデリアと正面オブジェ「臥龍の門」を擁するロビーで、江戸時代の女性たちがアフタヌーンティーなどを楽しみながら海外客と交流する場面を描いています。3点目「日比谷の灯篭 あさひを眺む」は西から望む鳥瞰図で、ホテル外観、銀座・日本橋・丸の内の現代ビル群、皇居に旧江戸城が描かれ、東の空に朝日が昇ります。3点共通のユニークな仕掛けとして、ホテルの建物の守り神として7階に鎮座するガーゴイルが各絵のどこかに必ず隠れています。
 
 
Q. ザ・ペニンシュラホテルズとはどのようなグループですか?
 
親会社の香港上海ホテルズ(The Hongkong and Shanghai Hotels, Limited)は1866年に創業した香港に本拠を置く企業です。1928年に「スエズ運河より東側で最高のホテル」を目指して香港に旗艦店「ザ・ペニンシュラ香港」を開業したことに始まるホテルグループで、現在はヨーロッパ、アメリカ、アジアに12軒のホテルを運営しています。各ホテルはそれぞれの立地の歴史や伝統・文化を外観からインテリア・装飾品に至るまで取り入れており、世界12軒のホテルすべてがまったく異なる雰囲気を持っています。1973年にはペニンシュラ・グループを設立し、マニラとバンコクでもホテルを開業。1988年にはニューヨークへの進出を果たし、欧米にもその展開を広げました。日本では2007年に、ザ・ペニンシュラ東京が東京メトロ・都営地下鉄「日比谷駅」に直結するかたちで開業しています。
 
 
 
 
 
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