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2026年7月28日
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2026リポート────「ビジョンBMWアルピナ」がワールドプレミア
Concorso d’Eleganza Villa d’Este 2026|コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2026
コモ湖畔に、今年も世界中のカーガイたちが集った。1929年に始まった、現存する世界最古のコンクール・デレガンス「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」。歴史的な一台限りのマシンたちがエレガンスを競い合う中、会場を沸かせたのは長年のスポンサーであるBMWが披露した新世代アルピナだった。モータージャーナリストの九島辰也氏が現地からリポートする。
Text by KUSHIMA Tatsuya
自動車文化が育んだ、エレガンスの祭典
ヨーロッパにおける自動車の歴史は長い。一般に1886年にゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツがそれぞれ開発したものを自動車の始祖としている。そして、そこからレースが生まれていくのも見逃せない。英国で人気のヒルクライムレースやフランスで流行った都市間ラリーなど、今日で言うところのモータースポーツが盛んになり、人々の注目を集めるようになる。
そんな当時のカーガイたちが集まってつくられたもののひとつにフランス西部自動車クラブがある。設立は1906年で、1923年スタートのル・マン24時間レースを主催することで知られる。メンバーはほとんどボランティア。クルマ好きによるクルマ好きのための組織だ。
といった様にクルマを取り巻く環境が進化した結果、ヨーロッパにはたくさんの価値あるカーイベントが今日も開催されている。「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」や「同リバイバル」、「ミッレミリア」、「タルガフローリオ」、それと「ル・マン・クラシック」もそうだ。近年開始された「シャンティイ アート&エレガンス」なんてのもある。リシャール・ミルキモ入りのカーショーだ。



今回取材した「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」もまたそんな類に入る。1929年始まった、文字通りエレガントさを競う品評会である。毎年独創的なカテゴリーが向けられ、それに見合ったクルマがエントリーし、その評価を競うものだ。
しかもそのほとんどがいわゆるお宝モノ。かつてどこぞの国の貴族がオーダーした車両や歴史的なレースで勝利したマシン、価値あるワンオフのコンセプトカーなどが顔を揃える。
かなりのクルマ好き目線からしても「こんなクルマあったんだ!」と叫びたくなるものは少なくない。140年を数える自動車の歴史は侮れないと感心するばかりだ。
コモ湖畔に集う、選ばれしクルマたち
そんなコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステは場所からして雰囲気抜群。ヨーロッパを代表する由緒正しい品評会だけあり、会に見合った所で開催される。それがコモ湖。かつては貴族が、現代はハリウッドセレブのような富裕層がこぞって別荘を持つエリアだ。湖畔の北側にアルプス山脈を眺める景観は極めて情緒的である。



タイトルのヴィラ・デステはそこにあるヴィラ(宿泊施設)のことを指す。つまり、その庭で行われるコンクールが、イベントの正体なのだ。
毎年5月の土曜日にコンクールはここで開かれ、翌日曜日は一般客を入れて隣のヴィラ・エルバでエントリーカーのお披露目をする。
少年からベテランまでカーガイが集うのはこの時。キッチンカーやスーベニアショップが出店したり、オークションが開催されたりとコンテンツはてんこ盛りだ。
話をヴィラ・デステへ戻そう。
エントリーモデルは各カテゴリーの条件に沿った車両となる。そしてその中でベストを選び、最終的にベスト・オブ・ショーを選出する流れだ。
で、注目は各カテゴリー。基本的には年代やクルマのタイプで分けられるが、中には特定のブランドや歴史的なレース、自動車の歴史に貢献した人物などが関与したクルマだけを称えるクラスが設けられる。
具体的には周年を迎えたブランドやミッレミリアなどの有名なレースで勝利したものとかだ。2026年はエンツォ・フェラーリに深い関わりのある耐久レースマシンのカテゴリーや1960年代のロンドン・カーナビーストリートで発生したモッズカルチャーになぞられるようなGTカーのカテゴリーなんかがあった。かなり文化的でユニークなカテゴライズである。
エントリーモデルは、前者にフェラーリ「250MM」「340MM」「250GTコンペティツィオーネ・ツールドフランス」が、後者に「アストンマーティンDB5 V8」や「ランボルギーニカウンタックLP400」あたりが顔を連ねた。
そしてベスト・オブ・ショーに選ばれたのが「BMW328ビューゲルファルテ」。1940年のミッレミリア参戦用につくられたレースカーである。軽量化された328にハイパワーのシルキーシックスを搭載したのが特徴だ。きっとこちらも一台限りの希少なクルマなのだろう。
V8は、なお健在
といったコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステなのだが、この一大イベントをサポートしているカーメーカーがある。それがBMW。彼らは長年スポンサーとしてこの品評会に携わっている。
よって、これまでも毎年コンセプトカーをこの会場で発表してきたのだが、今年はさらに注目度が高まった。なぜなら、それが新世代のアルピナだったからだ。
その名は「ビジョンBMWアルピナ」。スタイリッシュなビッグクーペである。しかも、この美しいボディにV8エンジンを搭載するというアナウンスもされた。BEVと思いきやそうではなかったのだ。これにはオールドスクールなカーガイは大喜び。モーターは付くだろうが、内燃機関は健在である。
以上が今回久しぶりに足を踏み入れたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの概要だ。これぞヨーロッパにおける自動車文化の深さを実感させられる催しである。
[コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ]をより深く知るために
Q. 会場となる「ヴィラ・デステ」は、もともとどんな建物だったのですか?
現在はラグジュアリーホテルとして知られるヴィラ・デステですが、その起源は1568年、教皇ピウス4世の国務長官を務めた枢機卿トロメオ・ガリオが夏の離宮として建てさせた邸宅にさかのぼります。19世紀にエステ家の王女の結婚を記念して現在の名に改められ、イタリア式庭園や湖畔の眺望を今に伝える建物として国の重要文化財にも指定されています。貴族の避暑地として生まれた邸宅が、やがて世界屈指のクラシックカーの祭典の舞台になったという歴史も、このイベントの格式を物語っています。
現在はラグジュアリーホテルとして知られるヴィラ・デステですが、その起源は1568年、教皇ピウス4世の国務長官を務めた枢機卿トロメオ・ガリオが夏の離宮として建てさせた邸宅にさかのぼります。19世紀にエステ家の王女の結婚を記念して現在の名に改められ、イタリア式庭園や湖畔の眺望を今に伝える建物として国の重要文化財にも指定されています。貴族の避暑地として生まれた邸宅が、やがて世界屈指のクラシックカーの祭典の舞台になったという歴史も、このイベントの格式を物語っています。
Q. ベスト・オブ・ショー以外にも、注目すべき賞はありますか?
ヴィラ・デステでは、専門審査員によるベスト・オブ・ショーとは別に、招待日に集まったゲストの投票で選ばれる「コッパ・ドーロ・ヴィラ・デステ」という賞も存在し、審査員とオーナー・愛好家それぞれの視点が反映される仕組みになっています。また、2012年からパートナーを務めるドイツの高級時計ブランド、A.ランゲ&ゾーネがベスト・オブ・ショー受賞者に特別なクロノグラフを贈呈することも恒例となっており、自動車と時計文化の結びつきを感じさせる場面のひとつです。
ヴィラ・デステでは、専門審査員によるベスト・オブ・ショーとは別に、招待日に集まったゲストの投票で選ばれる「コッパ・ドーロ・ヴィラ・デステ」という賞も存在し、審査員とオーナー・愛好家それぞれの視点が反映される仕組みになっています。また、2012年からパートナーを務めるドイツの高級時計ブランド、A.ランゲ&ゾーネがベスト・オブ・ショー受賞者に特別なクロノグラフを贈呈することも恒例となっており、自動車と時計文化の結びつきを感じさせる場面のひとつです。
Q. 新型「ビジョンBMWアルピナ」が発表されたアルピナとは、そもそもどんなブランドなのですか?
アルピナはもともとタイプライターなどの事務機器メーカーとしてスタートし、1960年代にBMW車のチューニングを手がけたことをきっかけにBMW公認のチューナーへと発展、1983年には正式な自動車メーカーとして登録されました。長らく「BMWをベースにした独立系高性能ブランド」という独特の立ち位置を保ってきましたが、2025年末にはアルピナの商標がBMW社へ譲渡され、2026年から正式に「BMW ALPINA」としてブランド再編されることになりました。今回コモ湖畔で披露された「ビジョンBMWアルピナ」は、まさにこの新体制のもとで生まれた第一弾という点でも注目される一台です。
アルピナはもともとタイプライターなどの事務機器メーカーとしてスタートし、1960年代にBMW車のチューニングを手がけたことをきっかけにBMW公認のチューナーへと発展、1983年には正式な自動車メーカーとして登録されました。長らく「BMWをベースにした独立系高性能ブランド」という独特の立ち位置を保ってきましたが、2025年末にはアルピナの商標がBMW社へ譲渡され、2026年から正式に「BMW ALPINA」としてブランド再編されることになりました。今回コモ湖畔で披露された「ビジョンBMWアルピナ」は、まさにこの新体制のもとで生まれた第一弾という点でも注目される一台です。