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Secrets behind the Success｜連載第9回「フェアファクス」代表取締役　慶伊道彦さんギャラリーギャラリー

「フェアファクス」代表取締役　慶伊道彦さん

「ぼくが愛用しているものはエルメスの手帳、ただひとつ。使い古しては、また同じものを購入して。このカバーで3代目だったと思います。それからモンブランの万年筆と、カランダッシュのボールペン。仕事道具はほんとにこれだけ」

ラッキーアイテムはインディアンもののジュエリー。「指輪はランダーブルーというターコイズのなかでも希少性が高いとされている石。バングルは“コインシルバー”と呼ばれる本物の銀貨を潰して製作されたコレクターズアイテムです」

慶伊さんのワードローブはすべてオリジナル。その理由を尋ねるとこんな答えが返ってきた。「いや、世の中がぼくを相手にしてくれないから（笑）。本当は既製服の方がコストパフォーマンスの面でもいいんです。でも、ぼくのようなチビは、既成服メーカーには相手にしてもらえないんですね。加えて、感覚的にもいまの服はぼくにとってはモダンすぎます。ファッションすぎて嫌なんですね」

社名のフェアファクスは、アメリカのワシントンにあったホテルの名前から。「はじめは別の名前だったんですけど、これじゃダメだと。独立から3年後の1980年、その年の『GQ』8月号に掲載されていたホテルの記事を見て、すぐに社名変更したんです（笑）」

「当時、ワシントンにはクラス社会が残っていました。そうした雰囲気は、ホテルで掴むのが手っ取り早い。とりわけホテルのバーは、大人の入り口なわけです」

「ホテルの雰囲気を掴むために、幾度となく足を運びました。当時はまだワシントンに行く人もそれほどいなかったから、とても貴重な体験です」

靴はNYの「Moulded Shoe（モールデッド・シュー）」というデッドストックを扱う店で購入しているという。「オールデンのシューズを10足以上買ってます。大顧客ですね（笑）。価格もこなれていて、ぼくの足に合うサイズがあるんです」

<strong>「モールデッド・シュー」</strong><br />
営業時間｜平日 9:30～18:00、土曜 10:00～17:00<br />
住所｜10 East 39th Street, New York, NY 10016 United States<br />
Tel. +1-212-683-9389<br />
http://www.mouldedshoe.com

「アメリカの良さをひと言で表現するならスタンダード。奇をてらっていないという面では、イギリスやイタリアとは少し違うと思いますね。彼らは貴族社会からの慣習を残しているでしょう。アメリカの場合は、それを完全に一般化している。そこが好きですね」

「街中のバーとしては、銀座の『テンダー』に足繁く通います。ここはぼくの精神面での鍛錬場です。じつは最近、ホテルのいいバーがなくなってきているんですよ。少しお洒落になりすぎてしまって、どこか嫌なんです。そこで昔のイメージを残している街のバーへと気持ちが傾く」

<strong>キッサコ</strong><br />
営業時間｜18:00～27:00（LO 25:30<br />
日曜・祝日・第1月曜定休<br />
住所｜東京都港区南麻布5-1-1 PLAZA KAY 2F<br />
Tel. 03-5475-5920<br />
http://www.kissako.jp/kissakoHP/welcome.html

西麻布の「キッサコ」。店名には、季節の食材を使った料理とワインを、ゆったりと味わってほしいという意味が込められている

<strong>ビストロun coup</strong><br />
営業時間｜ランチ11:30～14:00、カフェ 14:00～15:45、ディナー 18:00～22:00（ワインバーは24:00まで）<br />
日曜定休<br />
住所｜東京都港区南麻布4-2-49 2F<br />
Tel. 03-6277-0889<br />
http://www.bistro-uncoup.com

「ぼくは食事にはあまりこだわりませんが、ワインにはちょっとうるさい。ホテルの中でもバーにこだわるのと一緒で、食事よりもワインリストに目が行くんです。しかも、ピノ・ノワールしか飲まない。フランスだとブルゴーニュのワインです」

「雨が降ったら、家でカウチを決め込むか、映画館に行きます。昔の人間は、映画が好きなんですよ。いまはろくな映画がないから、若者がかわいそうです。デジタルで作り込んだようなものは、漫画と一緒。昔の映画には、ふつうの世界がある。だからいいんですね」

慶伊さんお気に入りのDVDとVHS

「愛読書は『On the Road（オン・ザ・ロード）』関連でジャック・ケルアック。ビート・ジェネレーションを代表する作家です。彼のポエムを朗読する喫茶店とかも、かつてはあったりして。ぼくはその世代じゃないんですけれども、そうしたものに憧れた」

「彼らのムーブメントは、ジャズや映画や芸術に多大な影響を与えたんですよ。むしろ、その後のアメリカ文化は彼らがつくったようなものです」

「ぼくはバスキアが大好きなので、彼のレコードを集めています。彼は最初に『グレイ』というバンドで音楽デビューしたんです。ただあまり売れなかった。売れてないからレコードも枚数が残っていない。いまではプレミアがついてしまって、1枚5万円ぐらいするんじゃないかな？」

「ぼくは全部10ドル程度で買っていますよ。1980年代のニューヨークで、バスキアがデビューしたと同時にファンになって買ったんです。内容は80年代のテクノですね。ヒップホップも入ったり」

「自分は年2回、ニューヨークに必ず行くんです。そこで得た情報が、自分にとっての正しい情報ですね。自分の目と足を使って、NYのすべてを見ます。朝はニュース番組を観て、夜には3ツ星レストランに行きます。いまの服装が分かるじゃないですか。もちろん、日中に市場調査することもあります。そういう生の情報に当たることが一番大切なことです」

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