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Secrets behind the Success｜連載第5回「アンリ・ルルーフランス」代表取締役石井真己登さんギャラリー

「アンリ・ルルーフランス」代表取締役石井真己登さん

アンリ・ルルーが創業したのは1977年。フランス・ブルターニュ地方にある港町、キブロンで産声をあげた、世界で唯一のキャラメルとショコラの専門店だ

港のすぐそばに店を構える「アンリ・ルルーキブロン店」

お店では常時40種類以上のショコラが用意されているという

生姜のマジパンのうえに、ジャマイカンペッパーのガナッシュを重ねた新作ショコラ「イゾルデ」

「水あめを160度ぐらいの高温度で熱すると、キャラメリゼされて、透明だった水あめが、茶色に変化して固まる。これがいわゆる伝統的なキャラメルです。アンリ・ルルーが革新的だったのは、その方法を一から変えてしまったところ」

「温度一つとっても、ずっと低い温度で煮詰めていきますし、素材もフルーツキャラメルだったら、本物のフルーツを使います。オレンジキャラメルだったらオレンジ、フランボワーズキャラメルだったらフランボワーズという具合に」

「保存料とか着色料、香料といったものは使わずに、素材の味をそのままキャラメルやショコラに反映させる。これはブランドとしてつねに心がけている姿勢です」

抹茶の苦みと、高知県産の柚子の香りを利かせたタブレット「ユズマッチャ」。2011年に「C.C.C.」の品評会で「イノベーション賞（革新賞）」を受賞した

「職人の名前を冠したブランドというのは、どうしてもその職人の個性が前面に出ていることが多い。でもアンリ・ルルーの場合は、創始者であるアンリ・ルルーの『ものづくりの精神』を継承した『チームデザイン』なんです」

キブロンに位置するアンリ・ルルーのラボ

二代目シェフショコラティエのジュリアン・グジアンさん。2010年に先代の跡を継いだ

「たとえるなら、私たちは固い絆で結ばれた大きなファミリー。これは土地柄が大いに関係しているのですが、人と人の距離がとても近い場所なんです。ラボではみんな朝から晩まで一緒。人の移り変わりも極めて少ないですし、本当にファミリーのような感じです」

「パリの店で働く販売員であっても、必ずブルターニュへ研修に出かけて、ショコラ作りに参加します。2日間ラボですごして、自分の手を使ってショコラを作る」

「アンリ・ルルーのものづくりを、体で覚えてもらったうえで、店頭に戻ってお客様に接してもらうという。採用した人は全員、この道を通っています」

「いわゆる『アンリ・ルルーの味』というのは、私たちのなかにはあるんです。素材の味がしっかりと出ていて、その組み合わせが面白い。面白いんだけれども、ハーモニーがきちんと取れていて、ショコラとしておいしいという。それがものづくりの根底にあります」

「いまパリに2店舗展開しているんですが、そこに来られるお客様にもブルターニュ好きの方が多いんですね。というのも、うちにしかない商品というのは明らかにあって。それはブルターニュの素材なんです」

「たとえばブルターニュ産のそば。いわゆる「ブレ・ノワール」または「サラザン」と呼ばれるものですが、これを使ったガナッシュであったり、プラリネであったり。それからゲランドの塩やリンゴ」

アンリ・ルルーの名を一躍世界に広めた塩バターキャラメル「C.B.S.」

それまでフランスでは、塩をスイーツに使う習慣がなかったため、甘みに塩を利かせた「C.B.S.」の斬新な味はパリでも評判に。「国境を超えるおいしさ」と称えられた

アンリ・ルルー発祥の地、ブルターニュ地方キブロン

ブルターニュ地方キブロン。イワシ漁、イワシの缶詰で知られる港町だ

ブルターニュ地方キブロン。人口は5028人（2011年時点）

ブルターニュ地方キブロン。夏には海辺のリゾート地として、多くの観光客で賑わうという

東京では現在、4店舗を展開している。写真はフラッグシップの「アンリ・ルルー東京ミッドタウン店」

「靴だけはきちんとしたものを履くようにしている」という石井真己登さんの相棒は、パリ発祥の「ベルルッティ」

「フランスにずっと憧れを抱いていました。高校時代に興味をもって以来、いつかフランスで仕事をしたいと思っていたんです。最終的に34歳のときにフランスの労働許可が取れて、20年越しの夢がようやく現実のものになりました」

ラース・フォン・トリア監督の『Nymphomnic』。シャルロット・ゲンズブール演じる、色情狂（情欲がはなはだしく、常軌を逸した行動をとること）を患った主人公、ジョーの50年間を追った衝撃作　Photograph by Christian Geisnaes

『Nymphomnic』。二部構成で、合計4時間超という上映時間もさることながら、過激な性描写で公開前から大きな物議を醸しだした　Photograph by Christian Geisnaes

「もう数え切れないぐらい何度も観ている」という『ゴッドファーザー』シリーズ

「ものにあまり興味がない」という石井さん。「アクセサリーを一切つけないんですが、この大きな結婚指輪だけはいつも身につけていますね。どこか守られているような気持ちになるんです」

「『ベルルッティ』の靴は、色が赤だったり紫だったり、グリーンだったりして、どんな洋服にでも合うわけではないので、靴を中心にコーディネートすることは多いですね。なかでもお気に入りは、今日も履いている紫です」

「職業柄、食べるところと泊まるところは、こだわりが強い方」という石井真己登さんのお眼鏡に適ったのは「フォーシーズンズホテル」。カナダ・トロントを拠点とする、世界的なホテルグループだ

「フォーシーズンズホテルプラハ」。「チェーンなんですが、どこか手作り感があってアットホーム」という言葉どおり、大規模なシティホテルとは違い、基本的に客室数は少なめで、豪華な設備と質の高いサービスを特徴としている

「フォーシーズンズホテルプラハ」。「プラハの『フォーシーズンズホテルプラハ』に泊まったときは、部屋に日本茶とゆかたが用意されていました。不思議に思って聞いたら、『日本人の名前があったから』と。そうした一人ひとりのゲストを大切にする姿勢が好きですね」

パリの「フォーシーズンズホテルジョルジュサンクパリ」では、スイートルームに宿泊するゲストのための“ウェルカムギフト”として、アンリ・ルルーのショコラとキャラメルが用意されている

「フォーシーズンズホテルジョルジュサンクパリ」。「仕事でもプライベートでも、移動している時間が長いので、ホテルにはくつろげる場所であってほしい。そういう意味で、いわゆるデザイン系はまず選びません」

「フォーシーズンズホテルジョルジュサンクパリ」。「くつろぎというのは、スタッフのホスピタリティであったり、雰囲気作りだったり、見えない部分から得られることが多いもの」

フォーシーズンズホテルジョルジュサンクパリ。「一度気に入ると、そこに通いつづけるというのがわたしのスタイルです」

お気に入りのレストランを尋ねると、「レストラン・アルページュ」という答えが返ってきた　©Philippe Vaurès Santamaria

「レストラン・アルページュ」。「偉大なアラン・パッサールさんの店。高価なので、行きつけといえるほど、頻繁に通えるわけではないですが、人生の節目には必ず足を運んでいます」　©Philippe Vaurès Santamaria

「レストラン・アルページュ」。「目的は『グリーンサラダ』。パッサールさん自らの手で育てたグリーンの野菜を、とってきて混ぜただけのシンプルな一皿。余計なものがなにもなくて、哲学的な味がするんです」　©Sandra Delpech

「レストラン・アルページュ」。「食べ物っていまの自分を知る『ものさし』になることがありますよね。自分で自分を評価することはできないですが、本当においしいものというのは、そういう存在になりえると思うんです」　©Dos Santos Lemone

東京でのお気に入りの場所として挙げてくれたのは、コンラッド東京のロビーフロアにあるバー＆ラウンジ「トゥエンティエイト」

「トゥエンティエイト」。眼下には浜離宮恩賜庭園や東京湾の景色が広がる

「トゥエンティエイト」。「フランスは伝統を重視する傾向にあります。それがときどき重たく感じることがあるんです。その反動からか、東京に来たときは、伝統から切り離された、快適で美しくて都会的なものを求めてしまう」

「トゥエンティエイト」。「天井が高くて、窓からはレインボーブリッジが見えて。訪れるたびにいい気分転換になっています」

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