特集|ファッションジャーナリスト横井由利さんが気になったトレンドとは?
ファッションジャーナリスト 横井由利さん
「リアリティに即したミニマリズム、そしてネオクラシック」
現在のモードがシフトしていく先は、女性の視点での着心地やリラックス感を重視して完成させた、リアリティに即したミニマリズムだというファッションジャーナリスト横井由利さん。その代表的なルックとは?
Text by OPENERS
1.今シーズン、気になるトレンドは?
「キーワードは“ミニマリズム”。セリーヌでフィービー・ファイロが表現したミニマリズムは、これまでのモード的なアプローチのミニマリズムとは一線を画す、リアリティに即したミニマリズム。女性の視点で着心地やリラックス感を重視して完成させていましたが、現在のモードの方向性もどんどんそちらへシフトしていると思います。ステラ マッカートニーのミニマリズムは、ブリティッシュ・トラッドをベースにしているところが、ほかのブランドとちがう味付け。また、イヴ・サンローランはモード感漂うミニマリズム。ムッシュ・サンローランが追求したエレガンスを今日的に表現していますね」
「もうひとつのキーワードは“ネオクラシック”。ドリス ヴァン ノッテンはアメリカントラッドをヨーロッパ調に変換して、大人っぽい上品なトラッドに見事に仕上げているところが注目です。50年代調のムードを醸し出しながら、あたらしさを感じさせたコレクション。ルイ・ヴィトンはボリュームのあるスカートにロンググローブを着けたルックが象徴的。あたらしいラグジュアリーはカジュアルすぎずドレッシーすぎない、リラックスした50年代のグラマラスな女性たちのムードなんだよ、と提案しているかのよう」
2.靴・バッグなど、アクセサリーのトレンドで気になるものは?
「ユーモア溢れるシャネルの湯たんぽバッグ。実用的なのか非実用的なのか、そこが問題! そしてドリス ヴァン ノッテンのボリューミィなヒョウ柄ファーマフラー。この2つはトレンドというより気になるアイテム」
3.実際に「買いたい!」と思ったアイテムは?
「セリーヌのピーコートと、ドリス ヴァン ノッテンのカーキのスカートはいいですね」
横井由利|YOKOI Yuri
ファッションジャーナリスト
『マリ・クレール』ファッションエディター、『ハーパース・バザー』ファッション・エグゼクティブ・エディターを経る。跡見学園女子大で教鞭をとるなど、現在フリーランスで活躍中。ファッションへの造詣が深く、その見識には業界からの信頼も厚い。