デザイナー、パット・サルターが語る2015年春夏コレクション|Pretty Green
Pretty Green|プリティーグリーン
2015 S/S COLLECTION “The Production”
デザイナーのパット・サルターが語る2015年春夏コレクション(1)
2015年1月11日の夜、ロンドンコレクションズ・メンの期間中に、2015-16年秋冬コレクションをランウェイショーの形式で発表する「Pretty Green(プリティーグリーン)」。コレクション期間終了後には、フィレンツェで開催されるPITTI UOMOに初出展することでも話題となっている。そんな勢いのあるプリティーグリーンのデザインチームのトップを務めるパット・サルター氏に単独インタビューをおこなった。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
2014-15年秋冬コレクションは、ビートルズがインスピレーションソース
プリティーグリーンのデザイナー、パット・サルター氏は、2012年の日本初上陸の際に、日本限定で発表した「ジャパン・リミテッド・エディション」というカプセルコレクションのデザインを統括している。インタビューではまず、現在展開中の 2014-15年秋冬コレクションについて話を聞いた。
このコレクションでは、3度目となるロンドンのメンズファッションウィークに参加し、初めてランウェイショーの形式でコレクションを発表した。
パット・サルター氏は、「今コレクションは、ビートルズが1969年1月30日に当時のアップル社の屋上で映画撮影のために突如おこなったゲリラライブ「Gig on the roof(ルーフトップ・コンサート)」がインスピレーションソース。彼らがライブの際に身につけていたアイテムが、今回のモチーフやコンセプトとなっています」と語る。「自分が一番気に入っているアイテムは、スマートで洗練されて、クラシックでブリティッシュというプリティーグリーンの要素をすべてを取り入れている、オプティカル・ファブリックを使用したブラック&ホワイトのハリントンジャケット。ラグジュアリーな生地を使っているのもポイントです」と語る。
ロンドンコレクション:メンに参加するメリットとは
今回、ルックの写真を紹介している2015年春夏コレクションも、6月のロンドンコレクション:メンの期間中にランウェイショーの形式で発表された。このファッションウィークに参加するメリットについてパット氏は、「とてもポジティブにとらえています。英国を代表する大手のブランドが参加しているイベントに、プリティーグリーンが参加していることに意義があります。どうしても“リアムが趣味でやっているブランド?”と見られがちですが、ビジネスでやっていることをアピールできる大切な場ですから」と話す。
また、デザインで一番大切なものとして1960年代から70年代のUKロックを挙げた。
Pretty Green|プリティーグリーン
2015 S/S COLLECTION “The Production”
デザイナーのパット・サルターが語る2015年春夏コレクション(2)
現在の「Pretty Green(プリティーグリーン)」は、クラシックレーベルとベーシックレーベルのカジュアルラインを中心に、トップラインのブラック・レーベル(リアム・ギャラガーライン)とテーラリングラインがそろう。ロンドンコレクションズ・メンでは、トップラインのブラック・レーベルを紹介している。2015年春夏コレクションは、ポール・ウェラーやマイルズ・ケイン、プライマル・スクリームらがツアーを企画したことでも有名な“Gibson Brand studio”を会場に、「The Production」をテーマに発表した。
デザインにおけるリアム・ギャラガーとのリレーション
デザイナーのパット・サルター氏は、「リアムとは、自分がデザインチームに加わった2012年4月からのつきあいです。あたらしいシーズンのコレクションを作り始めるとき、まず自分がアウトラインを提示し、そこから話し合いが始まります。素材や色などのイメージを作り上げて、サンプルを製作し、リアムが修正指示を加えていきます。そのときにリアムは自分の好きな服をもってきて、サンプルとマッチングさせるなど、かなり細かく修正を指示します」と説明。
「OASISが世に出てきたときは、暗くて重い音楽のグランジが主流でしたが、OASISの“人生楽しみなよ、何も心配することないよ”というポジティブなロックンロールで音楽シーンが一挙に変わりました。とくにリアムは、親近感があるし、みんな彼のようになりたいという想いがあったと思います」と語る。
リアム所有のヴィンテージコレクションにインスパイア
2015年春夏コレクションを見ると、とくにテーマ性の強いブラック・レーベルのキーアイテムは、リアム・ギャラガー所有のヴィンテージコレクションにインスパイアされた、オーバーサイズのレザーパーカやマイクロドット・ピークドラベルのスーツ、英国製のトレンチコートなど、ハードアイテムが目につく。
このコレクションのテーマは「The Production」。1960年代初頭、レコーディングスタジオでは、音響技師もプロデューサーもミュージシャンも、かかわるスタッフすべてが、スーツまたはラボ・コートという白衣のような堅苦しいユニフォームの着用を求められた。60年代後半には、ビートルズがボヘミアンなスタイルで登場。今回は、そのあたらしくフレッシュなレコーディングスタイルをスタジオに持ち込んだ、クリエイティブなスタジオのシーンにフォーカスしている。
ビートルズに始まり、ピンクフロイド、ザ・ローリングストーンズ、ザ・フー、ザ・キンクスなど、彼らの周りを固めるスタッフ、とくにプロダクションサイドにいた“裏方=ビハインド・ザ・シーン”に多大な影響を与えた、テーラードを主体とするファッションを、プリティーグリーンらしく解釈。ヨーロッパの生地と職人技を駆使し、天然のオーストラリアンパールのエッチング・ボタンなど、細部にいたるまで優れたディテールで表現している。
とくにスーツは、イタリアの高級素材を使用。シルエットは、現代的なテーラリングをベースとしたスタイルに仕上がっている。オーセンティックなモッズ・フィーリングを演出するポケットフラップやラペル、襟などにほどこされた15インチへムのプリックステッチまで、クラシックなディテールが随所にちりばめられているのも見逃せない。
PAT SALTER|パット・サルター
プリティグリーンのデザインディレクター。ロンドン郊外に生まれる。ロック好きな父の影響を大きく受けて育つ。London School of Design(ロンドンデザイン学校)を卒業後、大手のブランドから小さなブランドまでのコレクションの生産を引き受ける、ロンドンの仕立て工場に勤め、ファッションのデザインから製作にいたるすべての工程にかかわる。テッド・ベイカーのシニアデザイナーを経て、プリティーグリーンに入社。現在は、すべてのレーベルを統括するデザインディレクターを務める。
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