DIOR|写真集『ディオール グラマー マーク・ショウ』
DIOR|ディオール
1952年から1962年までのオートクチュールの黄金の10年が1冊に
写真集『ディオール グラマー マーク・ショウ』
デザイナーのクリスチャン・ディオールが手がけた、豪華なオートクチュール。その服をまとったモデルたちを写真家のマーク・ショウ(1921-1969)が撮影した、エレガントな写真集『ディオール グラマー マーク・ショウ(Dior Glamour Mark Shaw)』が誕生した。メゾン・ディオールのクリエーションとクチュリエの“黄金の10年”は半世紀以上を経たいまでも、燦然たる輝きでわたしたちを魅了する。
Text by YANAKA Tomomi
美しいドレス姿からクリスチャン・ディオール自身による仮縫いの瞬間までも収録
人気フォトグラファーとして、トップセレブリティを撮影してきた写真家マーク・ショウ(Mark Shaw)が1952年から1962年にかけて撮影した写真が収められた『ディオール グラマー マーク・ショウ』。当時もっとも影響力のあったアメリカのLIFE誌に掲載されたこれらの写真は、全米の読者に、美しいモデルとカバーガールたちが魅せる夢のようなパリのファッション、クチュールの世界を伝えてきた。
その多くが初公開となる約130点を収録したこの豪華な写真集。ページをめくると、当時のグラマラスな雰囲気やクリスチャン・ディオール自身による仮縫をカラーで捉えた貴重な写真や、雑誌のファッションページとしてソーシャライトや女優たちがオートクチュールをまとった美しい姿を見ることができる。
なかにはクリスチャン・ディオールが「彼女が身に付けるドレスはどれも名作になる」とそのスタイルを称えたモデルのルネを写した作品や、映画監督のアナトール“トラ”リヴァクの妻でありモデルとしても活躍したソフィー・マルガをクリスチャン・ディオールの住んでいた邸宅で撮影したものも。
本のなかで美しいポーズをとる女性たちだが、マーク・ショウの登場以前には洋服と被写体をただ捉えるのが、一般的だったという。彼はコンテクストを与えることで斬新で気品あふれるシチュエーションをつくりだし、そのスタイルは今日へと受け継がれている。そんな写真の世界においてもエポックメイキングな作品でもある『ディオール グラマー マーク・ショウ』。ファッションが華やかで勢いのあった時代のドラマとエレガンスの記録として、写真やファッション、歴史、文化を愛するすべてのひとたちの心に刻まれる1冊だろう。