萩原輝美|ラフ・シモンズがかけるDiorの魔法。目覚めよ、春の花!
萩原輝美のファッション・デイズ vol.73
ラフ・シモンズがかけるDiorの魔法。目覚めよ、春の花!
今年1月、パリでおこなわれたオートクチュールコレクション。そこでは、これから訪れる春の季節を祝福するかのような、幸せで柔らかなモードに彩られた世界が広がっていた。
Text by HAGIWARA Terumi
緑の園に咲き誇る花は、贅たくさをうちに秘めて
1月、2013春夏パリオートクチュールコレクションは降りしきる雪の中ではじまりました。初日、ディオールのコレクションはセーヌ川を臨むチュイルリー公園に設えたシルバーのテントでおこなわれました。
外の寒さを忘れるかのように、中は緑いっぱいの春ガーデンです。そこはムッシュー・デイオールが愛した庭園が広がります。木立の中から登場するモデルたち。ラフ・シモンズはモデルたちを緑の園に咲き誇る花に見立てたのです。
繊細なフラワーモチーフを刺しゅうしたサテンにチュールを重ね、それぞれのモチーフは重なり合い揺れています。小径を散歩するように歩くモデルたちは皆とても幸せそう。
折り重なった胸もとやペプラムの裾に、コートの内側に広がる花モチーフ。うちに秘めた贅たくが、ラグジュアリーな世界を広げます。
テーラリング(ジャケット)担当とドレス担当のパタンナーが1着のドレスを完成させました。これはディオールのアトリエのはじめての試み。
ボディにフィットしたビスチュエを重ねるシフォンドレス、ドレスの上にはオーガンジージャケットを合わせています。
フィナーレ、モデルたちはアシンメトリーのドレスを風にそよぐ花のように揺らしました。ファーストコレクションを進化させたラフ・シモンズのDIORです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/