萩原輝美 連載 vol.140|2016年春夏オートクチュールコレクション
FASHION / WOMEN
2016年1月28日

萩原輝美 連載 vol.140|2016年春夏オートクチュールコレクション

ディオールのアイコンアイテムで作るニューリアリズム
バレエシューズで仕上げるモダンクチュール ディーチェ カヤック

2016年春夏オートクチュールコレクション

2016年はラグジュアリーブランドの相次ぐデザイナー交替で幕を開けました。プレタに寄り添いながら、クチュールならではのエレガンスをブランドのアイデンティティーにしようとする老舗ブランド。プレタを捨ててクチュールに転身する若手、中堅のデザイナーたち。その両極がパリクチュールを盛り上げています。 

Text by Terumi Hagiwara

ディオールはラフ降りてチーム7人で

2016年春夏オートクチュールコレクションです。10月のプレタポルテコレクションの後、バレンシアガのアレキサンダー・ワン、ディオールのラフ・シモンズ、ランバンのアルベール・エルバスが相次いでデザイナーを退き、新体制でのスタートとなりました。

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ディオールはいつもと同じロダン美術館の中庭に、天井高10メートルの巨大ミラー張りテントを設えました。今シーズンはデザインチームによるコレクションです。

首元をぐっと開けたデコルテのトップに刺繍やレースをパッチワークしたスカートを合わせます。アイコンのバージャケットは軽くリアルに、アニマルプリントも控えめに登場しています。黒レースとチュールをパッチワークした透け感あるドレスは軽快なリアルブラックドレスに仕上がっています。静かで控えめなコレクション。フィナーレは7人の若いデザインチームが登場しました。クリエイティブ・ディレクターの登場が待ち遠しい。

ピンヒールでは表現できないモダンクチュール、ディーチェ・カヤック

ディーチェ・カヤックのコレクションが小気味良い佳品を揃えました。プレタポルテ20年のキャリアを経て3年前からクチュールコレクションをスタート。「ファストファッションでは絶対真似のできない私だけのコレクションを作りたい」とデザイナーのエチ・エゲさんは言います。切り替線を隠した量感いっぱいのフレアードレスはその言葉通りの仕上がりです。ツィードのペプラムジャケットにケープやフレアーを重ね、ボリュームスカートやクロップドパンツを合わせています。大きなボーリボンを結ぶ真っ白なブラウス、パフスリーブのコクーンブラウスが美しいシルエットを描きます。足元はバレエシューズがディーチェエレガンスを際立たせます。ピンヒールでは表現できないモダンクチュールです。

萩原輝美

萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/

           
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