「ブリオーニ」その歴史と伝統の物語
FASHION / MEN
2015年3月17日

「ブリオーニ」その歴史と伝統の物語

世界最高峰の男の服

「ブリオーニ」その歴史と伝統の物語

“ブリオーニ”いう名を聞いたとき、おそらく男の誰もが思い浮かべるのが「世界最高峰の服」ということではないだろうか。 事実、その技術は世界屈指だ。だから数多の大スターたちもが服を仕立ててきた。つまりホンモノの男の認めるホンモノの服なのだ。 そしてそんなブリオーニの素晴しさは、既製服でも味わうことができる。素材や仕立ての完成度の高さが、まったく同じなのだ。 では、それはなぜなのか──。実はそこのところにこそ、ブリオーニの本当の素晴しさや味わいが秘められているのだ。

文=福田豊写真=川口賢典(アナーキック エージェンシー)スタイリング=桜井賢之(ViVid)ヘア&メイクアップ=MASAYUK(I ザ・ボイス)モデル=Yaron

“ブリオーニ”が服飾史に果たした役割は「革命」というべきものだ。
なぜならブリオーニは、オーダーメイドを正統とする男のスーツを既製服にしたのだからである。

とはいえ、スーツを既製にしたのはブリオーニが最初ではない。ブリオーニの創業は1945年。しかし19世紀中ごろには、イギリスやアメリカですでに既成スーツの会社がいくつも誕生していたのである。

ではブリオーニの何が革命だったのか。それは、いわば「逆転の発想」をしたことだ。

それまでの既成スーツは、オーダーメイドに近付け、より多くの顧客に合わせる、というものであった。つまり完成形は「オーダーメイドのスーツ」なのである。そしてそのためにさまざまな工夫がされ、そのひとつが、より幅広いフィッティングを可能とするイタリア職人の伝統技術の導入だったのだ。

ディナージャケットをオーダー中のクラーク・ゲーブル。まさに大スターである彼も、ブリオーニの大ファンだったのだ。

光沢感のあるストライプスーツを着たヘンリー・フォンダ。背面の鏡に絶妙にフィットした美しい肩のラインが写っている。

「怪優」としても知られるピーター・セラーズ。のようなモード感ある服も、ブリオーニのもうひとつの真骨頂なのである。

ところがブリオーニはそれを真逆にした。ブリオーニも熟練職人で、それまでオーダーメイドのスーツを完成形に、その技術を駆使してきた。だが自身のブランド創設にあたり、技術を優先させた。そしてまったくちがう完成形を導き出したのだ。
技術のひとつは、卓抜したハンドテーラリングである。もうひとつは、最高級の生地を選ぶことだ。ともにイタリアのならではの技術であり、ブリオーニはこのふたつに徹底的にこだわったのである。そして生み出したのが「軽くしなやかなスーツ」だ。軽くやわらかいから、だれにでもフィットする。しなやかだからシルエットが崩れない。まさに、まったく新しいかたちのスーツである。

しかも特筆すべきはシルエットだ。最高のハンドテーラリングと最高の生地との融合により、ブリオーニのスーツは、流れるような立体的ラインをもっていた。そしてそれが軽く柔らかく、かつくずれずにフィットすることで、誰が着てもブリオーニのシルエットにしてしまったのだ。それは本来は女性服の手法であり、そのあとに紳士服にも取り入れられるようになった、すなわち「モード」の概念だ。つまりブリオーニは誰よりも早く紳士服にモードを取り入れたパイオニアでもあるのだ。

だからブリオーニは革命なのだ。普遍的なスタイルでありながらも、その原点にはモードの先進性ももつ。そしてそれだから、ブリオーニはどんな男も美しく見せてくれる。そういう素晴しいブランドなのだ。

           
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