短期集中連載第3回 革靴LOVERSに贈る、実用ドレスシューズの最高峰「オールデン」のすべて|ALDEN
FASHION / FEATURES
2021年1月15日

短期集中連載第3回 革靴LOVERSに贈る、実用ドレスシューズの最高峰「オールデン」のすべて|ALDEN

ALDEN|オールデン

ALDEN日本総代理店ラコタ代表、血脇孝昌氏に聞く「ラコタハウス誕生秘話」

1884年にマサチューセッツ州ミドルボロウで創業以来、一貫して革靴を作り続ける「オールデン」。いまやアメリカを代表するシューメーカーとして、世界中に愛用者を持つビッグブランドだ。ラコタは1994年にオールデンの日本総代理店となって以来、オールデンとともに「歩くための高品質なギアをつくり続ける」というポリシーの大切さを伝え続けている。短期集中連載第3回はラコタ代表の血脇孝昌氏にオールデンとの出合いやオールデンへの思いを聞いた。

Photographs by OHTAKI Kaku|Text by KOIZUMI Yoko|Edit by TSUCHIDA Takashi

ファンとして“オールデン”に惚れ込む

もともと革靴素材やパーツを扱う仕事に就いていたのとグッドイヤーの靴工場をやっていたことがあった関係で、主にヨーロッパの素材メーカーや靴ファクトリーと付き合いがあったという血脇氏。
「個人的にも革靴が大好きで、それこそ行く先々で小さな工房からファッションブランドまで、世界中の気になった革靴を買っては試していました。そんななかで一番好きな靴がオールデンだったんです」
当時、オールデンは日本でも知られる存在になりつつあったが、正規代理店はなく、数社が並行して取り扱っていた。
「そのなかの一社に知り合いがいまして、『工場が見たい!』とお願いしたところ、連れて行っていただけた。最初は想像よりも大きな工場で驚いた記憶がありますね。そこで社長(Arthur S. Tarlow jr)と、いろいろと話すことができました」
セレクトショップのパイオニアであるピエール・フルニエ氏に見出されたことも手伝い、1980年代以降、日本でもファッションアイテムとして認知度を高めていたオールデン。ゆえに血脇氏が訪ねたころは、オールデンの取引先の多くがファッション関係者だったという。
ところが血脇氏が興味を持っていたのは、“革靴メーカー”としてのオールデンであり、問うたのは素材や構造、工程や工場運営といった“革靴をつくること”について、である。社長にとってはようやく胸襟を開ける相手がやってきたというべきか、意気投合した二人は靴談義で大いに盛り上がったそうだ。
そして何度目かの来訪となったある日、社長から日本市場をコントロールしてほしいと依頼される。
「『日本の市場では、扱い方がショップによってまちまちだと聞いている。日本での情報を一本化すると同時に市場をコントロールしてほしい』と言われました。『この仕事は靴がわかっている人に頼みたい』と」
そして1994年、ラコタはオールデンの日本総代理店となった。

好きな人が集う場所として

オールデンの本社があるマサチューセッツ州ミドルボロウは牧歌的な田舎町であり、当時、インターネットは普及しておらず、通信手段は電話かファックスという時代だった。そんななか、血脇氏の“靴屋”としての視点と“マーケッター”としての視点からもたらされる情報や独自の考え方はオールデンにとって大いに刺激になった。
そんな両者のコミュニケーションがあるモデルに結実している。それが「タンカーブーツ」である。第二次世界大戦中に軍靴用としてつくられたミリタリーラスト(木型の正式名称は379X)を使用したモデルだ。誕生のきっかけは1994年、血脇氏が倉庫に眠っていた大戦中のラスト見つけ出したことにある。この木型のポテンシャルを感じ取った血脇氏はモデル化を切望、1995年にまずは日本向けとして製品化された。
タンカーブーツ/スキンステッチのモックトウを持ち、5アイレットに加えて4つの紐掛けを装備。足首をしっかりとホールドする機能性に満ちた一足。ミリタリーデザインとドレスシューズが融合したストリート感覚は唯一無二であり、トラッドからモードまでも守備範囲とするオールデンらしさが現れている。
「日本の旧家も蔵のなかをいちいちチェックしないように、オールデンも100年以上のアーカイブを見直すことはしてきませんでした。ところが彼らにとって当たり前でも、私にとってはすべてが新鮮でした。100年の歴史をまったく違う目で再確認したことで、新たな発見があったんです」
新たに製作されたブーツを「タンカーブーツ」と命名。誕生から25年を経て、いまや世界的な人気モデルに成長した。このモデルは、各国でも日本と同じく「タンカーブーツ」と呼ばれている。
オールデンにとって血脇氏は単なる代理店ではない。グローバルなアンテナであり、オールデンに新しい風を吹き込む存在なのだ。

オールデン好きを育てる「ラコタハウス」

そして2000年、オールデンを扱うショップをオープン。名前は「ラコタハウス」とした。
「ニューヨークにジョン・レノンが暮らしていたダコタ・ハウスがありますが、ここは単なるお金持ちというだけでは入居できない特別なファクターが要求されると聞いています。ラコタハウスもダコタ・ハウスと同様に、オールデンをメインに選りすぐった良質な商品の魅力をダイレクトにお伝えし、ステージを保つこと。そして、お客様から選ばれる商品、喜ばれるサービスを提供する、特別なサロンのような性格をもった場所にしたかったんです」
オールデンはアメリカの靴である。そこでラコタハウスではアメリカの計測器を使い、日本のセンチ感覚をインチ感覚に変えていくことから始める。
「この感覚の違いが、意外と重要な意味を持ちます。オールデンの靴は比較的大きめに作られており、“いつものサイズ”とは違うケースが多い。まずはオールデンのサイズ感を知ってもらうことを意識しています」
オールデンは、指先の捨て寸(つま先と靴の先端までの空間)が比較的ゆったり取ってあることからも履き心地が異なり、またヨーロッパ製に比べてシルエットも大きく見える傾向がある。こうした“見た目”の違いも、サイズを決めるファクターになる。
「オールデンでは、踵(かかと)からボールジョイントにかけてのアーチのフィットを大切にしていて、アーチで靴を履かせるというくらい紐をしっかり締めてフィットさせます。だからこそオールデンの紐靴はシューホールの間隔が狭く、数が多いのです。履き心地は感覚的なもので数値では表せないものですが、この感覚的な特徴こそが、オールデンの魅力。その理解のために、フィッティングしながら説明することが欠かせないと考えています」
一般的に、多少不具合があっても「履いているうちに慣れる」「革が伸びて、いずれ馴染む」と考える人が多い。しかしオールデンにとっての靴は「歩くための高品質なギア」であり、足を入れたときから“いい靴”でなければならない。
「“売る意識”が先に立つと、小さな不具合に目をつぶってしまうこともあるでしょう。しかし後から足が痛い、歩きづらいとなれば、オールデンの良さを伝えることにはならない。オールデンのポリシーを知ってもらい、その方にとっての最適な1足を紹介すること。そして10年、20年と、愛用していただくお手伝いをすることが、ラコタハウスの役割なんです」

ラコタハウス青山店

  • 住所|東京都南青山6-12-14 NOA南青山1F
  • 電話|03-5778-2010
  • 営業時間|12:00〜20:00
  • 定休|水曜(祝日除く)
  • ※新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、営業時間が変更になっている場合がございます。最新の営業状況につきましては、SNSまたは店舗までお問い合わせください。
THE LAKOTA HOUSE EC
THE LAKOTA HOUSE EC

ラコタハウスのウェブサイト「THE LAKOTA HOUSE EC」より、短期集中連載で紹介した商品を含む、オールデンのレギュラーモデルが購入可能。その他、メイド・イン・ジャパンにこだわるラコタのプライベートブランド「K.T.LEWISTON」、創業50年以上の歴史を持つドイツの老舗ブランド「KREIS」、日本全国の歴史ある職人技術を発信するオリジナルブランド「THE LAKOTA HOUSE」を取り扱っている。​
問い合わせ先

ラコタ
Tel.03-3545-3322
https://www.lakotahouse.com/
info@lakotahouse.com
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