LACOSTE|ラコステ すべてのポロシャツは「L1212」に通ず
FASHION / FEATURES
2015年2月23日

LACOSTE|ラコステ すべてのポロシャツは「L1212」に通ず

LACOSTE|ラコステ

Episode 1: Back to Basics

すべてのポロシャツは「L1212」に通ず

「ポロシャツを発明したのはラコステであり、ラコステの『L1212』こそ、世にあるすべてのポロシャツの原点である」。ファッション関係者にとってはかぎりなく常識に近いこの事実も、一般的なカスタマーにはあまり知られていないのが現状であろう。定番「L1212」誕生の背景と、その素材や製作過程を検証し、いちプロダクトとしての魅力を再確認する。

Text by KASE Tomoshige(OPENERS)Photographs by LACOSTE

最大の“発明”は鹿の子織りの生地

1933年に世に出た、ラコステの「L1212」。全仏オープンを3度制したプロテニスプレーヤー、ルネ・ラコステによって作られたこのシャツが、いまあるすべてのポロシャツの原型であることを、まずは記しておこう。そして次に、この「L1212」がなぜ生産されたのかを書かなければなるまい。

ルネ・ラコステは偉大なテニスプレーヤーであると同時に、優れた事業家・発明家でもあった。詳細は次回の「スポーツウェアとしての来歴」にゆずるが、ボールマシンの開発、ラケットやガットの改良などにおいて、多くのアイデアを形にしてきた人物なのである。そのひとつが、テニス用のあたらしいスポーツシャツ「L1212」だった、というわけだ。

1920年代までテニスコートで着用されていたのは、日本でいうところのいわゆる“ワイシャツ”であった。張りのある生地で、前立ては下までボタンがつき、しかも長袖。ルネ・ラコステが何を改良したか――その最大のポイントは、生地であった。

LACOSTE|ラコステ 01

「L1212」
すべてのポロシャツの原点であり、ラコステが誇る定番がこの「L1212」である。時代によって着丈や裾丈、ボタンの数といった部分のマイナーチェンジはあるものの、ジャージー・鹿の子織りの生地を用いて作られた、動きやすいスポーツシャツであることはなにも変わらない。オリジナルの大きめでソフトな襟、丸いアームホールで直線的な袖付けが特徴だ。現在では多数のカラーバリエーションを備えている。

身丈|72cm
身幅|54cm
袖幅|24cm
裾幅|54cm
※サイズ4(L)の場合
価格|9975円
全30色

「伸縮性」「通気性」を確保するためにルネ・ラコステが用いたのは、“鹿の子織り”のコットン地である。ニット編みのひとつでフィット性に優れ、生地の表面に小さな蜂の巣のような、凹凸のレリーフができるのが特徴。風通しがよく、肌に触れる面積が少なくなるために、サラリとした着心地を生むのである。

この生地こそ、「L1212」のアイデンティティと申し述べても過言ではないだろう。ルネ・ラコステの「快適にプレーしたい」という欲求にたいして、自身が示した回答でもある。

つづいて生地の素材、コットンについて触れておこう。まず栽培地について。エジプト、アメリカ、ペルーで産出される、丈夫でしなやかなコットンを厳選。とくにペルー北部の肥沃な土地、ラ・ピウラで採れるコットンは、繊維長は約40ミリ、シルクに似た光沢と質感を備えている。

LACOSTE|ラコステ 02

収穫時に選び抜かれた長い繊維はすなわち、長い糸を作り出す。糸自体の長さが生地にとってどういう特性を生むか、ごく簡単にいえば「丈夫さ」ということになる。洗っても毛玉にならず、耐久性に優れた生地に仕上がるというわけだ。

さらにいえば、通常ほとんどのメーカーは1本の糸を使って生地を織るが、ラコステの場合は2本の糸を撚り合わせて織っている。耐久性を高めるための工夫であると同時に、美しい発色を生む効果があるという。

厳しい基準をクリアするプロダクト

現在30色のカラーバリエーションを持つ「L1212」(その発色の美しさは、トップ画像をクリックしてご確認を)。染色についても厳しい基準を設けている。洗濯、汗、漂白剤、太陽光などに十分な耐性をもち、また無害であるように何回もテスト。そのうえで繊維の中心までしっかりと染料を染み込ませている。

最終的には乾燥後、樹脂を使った化学液による最終処理をおこなう。こうした工程を経ているからこそ、ラコステのポロシャツは色持ちに優れているのだ。参考までに、40度以上の温度での洗濯を避け、自然乾燥することで、その発色はより長持ちするはずである。

LACOSTE|ラコステ 33

「PH051E」
あらたに就任したクリエイティブ・ディレクターのフィリペ・オリヴェイラ・バティスタによって、新定番としてデビューしたのが「PH051E」。最大の特徴は細身のシルエットとフィット性の高さである。そしてスリムな全体の印象に合わせ、襟は小さく、固めに仕上げられている。ラコステのヘリテージを受け継ぎ、進化を遂げた最新のポロシャツ。タイトなジャケットやブルゾンのインナーとして、より活用しやすくなったモデルといえよう。

身丈|71cm
身幅|52cm
袖幅|20cm
裾幅|49cm
※サイズ4(L)の場合
価格|9975円
全6色

「L1212」製造の最後の工程が、縫製である。襟、前立て、身頃などのすべてのパーツを丁寧に繋ぎ合わせていく作業だ。襟の組み立て、袖のリブ編み、襟の縫い目を隠す筒編みテープは、それぞれ専用のミシンが用いられる。とくに「L1212」の特徴のひとつである前立ては、丁寧に処理される。芯地がはみ出たり、縫い目が曲がることのないよう、細心の注意が払われているのだ。

ちなみにラコステは世界中に工場を構えているが、日本の工場で縫製された製品は、同社のなかでも最高のクオリティと評価されているそうだ。

LACOSTE|ラコステ 34

このように素材、染色、縫製のすべてにおいて厳しい基準をクリアし、世に送り出されるラコステの「L1212」。スポーツシャツとして生まれ、その機能性とシンプルなデザインが高く評価されつづけ、現在ではメンズファッションにおいても欠くことのできないアイテムとなっている。

この大定番「L1212」の魅力を語りはじめれば、一冊の本が出来上がってしまうほどかと思うが、2012年の今年は、もうひとつの“あらたな定番”が生まれたことを最後に申し添えておこう。

服好きのあいだで話題となっているのが、ラコステの新作ポロシャツ「PH051E」。写真からわかるとおり、「L1212」に比してスリムなシルエットが特徴だ。襟は小さめで着丈も短く、ごく簡単にいえば「よりファッションコンシャスになった」一着だ。それでいてワニのロゴ、前立てのデザイン、裾のスリットの処理などクラシックなディテールは踏襲。ラコステが培ってきたヒストリーを尊重しながらも、時代の空気に合わせて進化を遂げたポロシャツ──それが「PH051E」なのである。

押しも押されぬポロシャツのオリジン「L1212」、そして時代性を反映した新定番「PH051E」。これまでのラコステとこれからのラコステを象徴する2モデルに改めて注目して、第1回のレポートは終了としたい。つづく近日公開予定の第2回は、さらにラコステの歴史を掘り下げる内容となっている。引きつづきご期待いただきたい。

LACOSTE|ラコステ 40

ラコステ渋谷店がオープン!
5月3日(水)、メンズ、ウィメンズ、キッズ、LACOSTE L!VEのすべてのラインがそろう日本初のフラッグシップショップが渋谷にオープン。パリやニューヨークと同様の、グローバルで統一されたショップデザインにも注目だ。

東京都渋谷区渋谷1-15-19
Tel.03-6418-7265
営業時間|11:00~20:00
不定休

ファブリカ
Tel.03-6894-0318
http://www.lacoste.co.jp

           
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