UNITED ARROWS|ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館|“UNITED ARROWS&SONS”ディレクター・小木基史氏インタビュー
UNITED ARROWS|ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館 ディレクター・小木“poggy”基史氏インタビュー
“UNITED ARROWS&SONS” に込めた思い
2010年4月22日(木)、ユナイテッドアローズ メンズ館が7年ぶりにリニューアルオープンする。今回は、地下1階フロアの全面改装と全フロアの再編集がおこなわれた。とくに地下1階には、南青山に『Liquor,woman&tears(リカー、ウーマン&ティアーズ)』をオープンさせ、日本のメンズファッションにあらたな価値観を提案してきたバイヤー・小木基史氏により、フロアコンセプト“UNITED ARROWS&SONS(ユナイテッドアローズ&サンズ)”のもと、あたらしいメンズフロアが誕生する。
文=オウプナーズ写真=原恵美子
リカー、ウーマン&ティアーズの閉店が、原宿本店への思いに変わっていった
ユナイテッドアローズの小木“poggy”基史氏といえば、今春、残念ながら閉店したショップ『Liquor,woman&tears(リカー、ウーマン&ティアーズ)』の名物ディレクター&バイヤー。ストリートからモード、ハイブランドまでどん欲に取り込んだプロデュースと品揃えは、クラブや音楽とともに育ってきた世代のリーディングショップであった。
──リカー、ウーマン&ティアーズ(以下LWT)の閉店は残念でした。
「このままだとLWTを存続させるのは難しい」と本部長から言われて、それはどうしても避けたかったので生き残り策をいろいろプレゼンしました。ユナイテッドアローズ(UA)のラボ(実験)ショップは基本2年間で結果をださなければなりません。LWTの最後の半年は予算達成ができたんですが……。
──それがどうしてメンズ館リニューアルの責任者へと変わっていったんですか?
LWTの生き残りのプレゼンをしているうちに、「原宿本店を僕にやらせてくれませんか?」というプレゼンにどんどん変わっていったんです。「メンズ館のリニューアルをさせてください」と。
──それがいつごろですか?
去年の夏の終わりごろだったと思います。それ以前から、LWTをやらせてもらって、社内にいながら客観的な外部の目線で会社を見ていたんですね。UAはほかでは扱えない商品をたくさん揃えていたし、オリジナルの完成度も高い。そうやって青山から原宿を見ていて、それがいつしか原宿本店への思いに変わっていったんです。
──ある意味、失敗が糧になったと。
そう……ですね。LWTを立ち上げたときは、その店がマーケットにいかに衝撃を与えてるかに重点を置いていて、インパクトを与えたあとのコアな部分=いかに商売に繫げていくかという意識が希薄でした。LWTを経験して、店として大切なことがやっとわかった。会社にLWTをやらせてもらって、普通だったらこんな経験はできないし、その恩返しをしたいという気持ちに変わっていきました。
ユナイテッドアローズの王道と、先輩たち
──青山から原宿を見ていてどう感じたんですか?
たとえですが、UA創業当時は、CDアルバムに2~3曲しか入ってなくて、みんなで「10曲にしたいね」と言っていた。それがいつしかアルバムには100曲ぐらい入っているんだけど、100曲入ったらなにを伝えたいアルバムかわからなくなって、誰が聴くのかもわからない。それを10曲に絞ってあげることがいま大切だと思っています。
──10曲イコール王道ということですね。
LWTを任されたとき、UA本体とちがうことをやるのが使命だと思っていました。メンズの王道からひねりの美学にどんどん進んでいったんですが、たとえばクラブで派手な格好をして似合うバーバルさんのような存在を知って、そういうファッションでは“上には上がいる”ことを実感しました。同時にクラブに行くような若いひとたちが革靴をはいたり、ALDEN(オールデン)に興味をもつような状況の変化を体感し、UA本来の強みである王道の良さがあらためて発見できたんです。そこで「&SONS」という欧米では当たり前にある名前を鴨志田(康人)さん(ユナイテッドアローズ/クリエイティブディレクター)に相談したら「いい」と言ってくれて。
──メンズ館リニューアルに対して上の方たちは?
重松(理)社長も、本部長も、鴨志田さんも「すぐやるべきだ」という反応でした。ちょうど現状打破をみんな考えていた時期だったんです。
──LWT時代に、鴨志田さんや栗野(宏文)さんなど交流はあったんですか?
海外の出張先で話す機会は多かったですね。おふたりと僕では実力は全然ちがうんですが、話していると考えている方向は近いなと感じることが多かったですね。
──それは、たとえば?
鴨志田さんも栗野さんもミーハーなんです(笑)。若いころの武勇伝はいろいろ耳にしているし、ふたりとも80年代とかやんちゃだったと。それで、メンズ館でもっとミーハーなことをやっていくのはまちがっていないなと思ったんです。
スタイリスト 山本康一郎さんからのメッセージ
──最初のリニューアル案は?
最初のグランドデザインは、館全体を“UNITED ARROWS&SONS(ユナイテッドアローズ&サンズ)”にしようと。地下1階を「THE SON」としていまの時代の空気のあるもの、1階を「息子もいつか父親に」とストリートの匂いをもったスーツスタイルを、2階を「父親から息子へ」でUAのオリジンを集積する案でした。
──それが変更になって、地下1階のフロアコンセプトになったわけですね。
そうですね。LWTともちがう構成をワンフロアに凝縮します。
──内装のイメージは?
僕は老舗の店が好きなんです。原宿本店は建物自体がリカルド・ボフィルの素晴らしいデザインですし、内装はいまのトレンドは押さえつつ、ニューヨークの人気ショップのアンティーク調をベースに、ローマやフィレンツェの老舗店から得たソースにヴィンテージ感を混ぜて表現したいですね。
──商品は?
自分がいちばん自信があるのは、ストリートのミックス。ストリートにかんしては、王道から若くて元気の良いブランドまで揃えます。
──そういう意味では、「Mr.BATHING APE ® by UNITED ARROWS」はひとつのシンボルですね。
スタイリストの山本康一郎さんから「べイプ®とUAという本来出合うはずのないものをカタチにして、そこで生まれる化学反応をお客さまに提供し、楽しんでもらいつづけるのが小木の使命だと思うよ」と言われました。太鼓判を押してくれた重松社長、鴨志田さんたちも新鮮に感じる幅広いミックス感で、楽しんでもらえるお店にします。
──楽しみにしています。
ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
リニューアルオープン|2010年4月22日(木)
営業時間|12:00~20:00(平日)、11:00~20:00(土・日・祝日)
東京都渋谷区神宮前3-28-1 B1F-3F
Tel. 03-3479-8180
※リニューアルに伴い、地下1階のみ3月31日(水)から4月21日(水)まで一時クローズ。そのほかのフロアは通常通り営業。
※リニューアルオープン前日の4月21日は開店準備のため店休日。