LOUIS VUITTON|ピエール・ポランの幻のファニチャーを制作
LOUIS VUITTON|ルイ・ヴィトン
40年以上前に考案された、未来を見据えた先駆的なデザインを実現
ピエール・ポランの幻のモジュラーファニチャーをルイ・ヴィトンが制作
ルイ・ヴィトンは12月2日より開催されているDesign Miamiにて、インテリアデザイナー、ピエール・ポランが1972年に手がけた、未発表のモジュラーファニチャー18点を展示中。ポランの作品に対する考え方と共通する部分があることから、今回のプロジェクトが実現したという。
Text by KUROMIYA Yuzu
住む人ありき、人間が主導の快適な空間を提案
変わりゆく世界、あたらしいテクノロジー、そして居心地がよく安心できる隠れ家のような生活空間──これらを結びつける必要性を予見していたデザイナー、ピエール・ポラン。そんな先駆的なピエール・ポランとハーマンミラー社が1972年に考案した住宅用プロジェクトが、「Playing with Shapes」だ。
住む人のパーソナルな使用感を優先し、外の世界から過剰な量の情報が入り込んでくるのを適度に防ぎつつも、完全に遮断することはない巧妙な提案。
だがその後実現することのなかった本プロジェクトが、本年、ルイ・ヴィトンによって実現された。
ポランの素晴らしいプロジェクトのひとつが生き返ると同時に、「均衡のとれた本質的なものを示す姿勢は大きな力を持つ」と語ったピエール・ポランと共通する価値観をもつというルイ・ヴィトンの美学が、十二分に体現されたかたちとなる。
現在、ポンピドゥー・センターのコレクションのひとつにラインナップしている本プロジェクトの「ラ・マケット(模型)」は、6つの階で構成。
1階にはベーシックモジュール群となる基礎部分が並び、居住者がそれを自由に組み立て、あるいは分解し、パーソナルな生活空間を作り上げていく仕様だ。家族形態や、時の経過に伴って生じるニーズの変化にもフレキシブルに対応できる機能が配備されている。つねに将来の世界を見据えたピエール・ポランのクリエイティビティは、連結式のリクライナー「Déclive」やカーペット「Tapis-siège」などに顕著に現れている。
ほかの5つのフロアは、多様な組み合わせの一例を紹介しながらプロジェクトの内容をより分かりやすく、見る人のイマジネーションを自由に広げるような空間。この独創的なモジュラーリビングの典型となる各フロアは、統一性がありながらも、ファニチャーの備え付けにかんして無限の可能性をもたせているのが特徴。それはピエール・ポランの作品の基本に通じる部分であり、ここでもそれを示しているのだという。