Chapter1_おめでとう“還暦”。オニツカタイガー物語
Fashion
2015年7月28日

Chapter1_おめでとう“還暦”。オニツカタイガー物語

Chapter1_History of Onitsuka Tiger

おめでとう“還暦”。オニツカタイガー物語

オニツカタイガーは、1949年、故鬼塚喜八郎氏によって設立された日本初のスポーツシューズブランドである。
2005年にピエ・ブックスから出版された『オニツカタイガー物語』をめくるほど、創業者・故鬼塚喜八郎氏の創意工夫と信念、チャレンジングスピリットに感心し、彼がつくったシューズを履いて記録に挑戦するアスリートに思いを馳せる。

まとめ=梶井 誠(本誌)資料提供=アシックス

誕生60年を祝う、赤で統一した「還暦コレクション」

今年1月から『オニツカタイガー』直営店をはじめ百貨店やセレクトショップなどで展開されているのが、シューズ、アパレル、バッグなどの15アイテムのカラーをすべて赤で統一した「還暦コレクション」。
誕生60年を祝うユニークなコレクションである。

シューズは、現在人気の定番商品となっているトレーニングシューズが原型の「メキシコ66ラウタ」、バスケットボールシューズが原型の「セックMT」、バレエシューズが原型の「ノリコ」の3種類が還暦特別バージョンとして登場。
アパレルでは、長寿をお祝いする意味をもつ六角形の亀甲柄をあしらったトラックトップや、ブランドのロゴマークを大きく配したTシャツなど8種類が、また、ボストンバッグ2種類、アクセサリー2種類も同時に展開されている。

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メキシコ66ラウタ 1万4700円

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セックMT 1万3650円

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ノリコ 8400円

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トラックトップ 1万3650円

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ロングスリーブTシャツ 7245円

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ボストンバッグ 8400円

スポーツシューズブランドオニツカタイガーは、創業者の故鬼塚喜八郎がはじめてスポーツシューズを作製した1949年から、スポーツウエアメーカー2社と合併して株式会社アシックスを設立した1977年まで製造していた商品のブランドで、2002年9月から新たにスポーツファッション市場向けのブランドとして国内外で本格的に展開をスタート。

シューズは主に、過去に競技用シューズだったものを街でも履けるよう現代風にアレンジし、商品ひとつひとつにストーリーがある。また、シューズ、アパレル、バッグ、アクセサリー類には、日本の伝統的な柄や素材、染色技術を使った商品が多く、「和」と「スポーツ」の融合を表現。日本の伝統文化が海外で注目されているなか、日本発のグローバルブランドとして国内外の若者を中心に人気を集めている。

創業者 故鬼塚喜八郎が誓ったこと

オニツカタイガーの歴史は、そのまま鬼塚喜八郎の軌跡である。

第二次世界大戦が終わり復員した鬼塚は、縁あって神戸の鬼塚家の養子になり、戦争に生き残った者の使命として「青少年の育成に役立つことをしたい」と考えた。
戦友に相談したところ、「帝政ローマ時代の詩人のユベナリスの言葉“健全な精神は健全な肉体に宿る”を知っているか。青少年の育成にはスポーツがいちばんだ」と言われる。

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故鬼塚喜八郎氏

戦友いわく、スポーツマンシップとは、
1. ルールを守る
2. 礼儀を重んじる
3. 創意工夫しベストを尽くす
4. チームワークを尊ぶ
5. 目標をもって努力する

そうして「今はスポーツをやるにも靴が不足しているから、君が真心を込めてつくった靴を若者たちに履かせて、彼らに大いにスポーツマンシップを学んでもらおう」と励まされる。

意を得た鬼塚は、神戸・長田にあった工場で甲被の裁断、ミシンかけ、金型づくり、ゴムの練り方・貼り合わせ方などを1年間学ぶ。そして1949年に鬼塚株式会社(のちのオニツカ株式会社)を創業。

社員4名で「大手メーカーがつくらないものをつくろう!」と決意し、調べてみると、バスケットボールシューズをつくるのが難しいと判明。そのいちばん難しいシューズづくりに着手する。

当時バスケットボールの強かった神戸の高校を毎日のように訪れ、球拾いをしつつ選手たちにシューズをどう改良すればいいかを教えてもらいながら少しずつ手直しをくわえていく。そうして最後の難関が、滑らないソールづくり。

ヒントがつかめず悶々としていたとき、夕食の食卓に並んだ明石のタコの酢もみを見た瞬間にひらめいた。「タコの吸盤をシューズの底につけよう」。

改良されたソールをもつバスケットボールシューズが完成し、「神戸の高校のバスケットボール部はすごいシューズを履いている」と評判になって、オニツカタイガーの名も徐々に知られるようになった。

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ピエ・ブックス『オニツカタイガー物語』より

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ピエ・ブックス『オニツカタイガー物語』より

トップ選手に認められて、トップに憧れるイノベーター層やミドル層に広がるのを「頂上作戦」、特定の分野に集中して徹底的に極め、知名度を高めていくのを「キリモミ商法」と名づけ、徐々に、オニツカのシューズは少々高いが性能がいいと、全国的に信頼されるようになる。

その「頂上作戦」と「キリモミ商法」は、その後、オリンピックなどの大規模スポーツイベントでも展開されていく。

前例がないから面白いというピュアな精神性

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新しいシューズを生み出して、トップアスリートが使い、そして世界中へと広がっていくことは、ものづくりをしているブランドの醍醐味であり、ある意味使命でもある。

物資の乏しかった戦後すぐから、70年代後半の高度成長期までを一気に駆け抜けたオニツカタイガーは、1977年、株式会社ジィティオ、ジェレンク株式会社と3社合併。株式会社アシックスとなったが、2000年あたりからヨーロッパを中心に「オニツカタイガー」の復刻版に火がつき、今度はストリートファッションのアイテムとして多くのファンに支持されている。

Chapter2_Masterpiece of Onitsuka Tiger
どれも世界遺産級。オニツカシューズ物語
につづく

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オニツカタイガーの1949-2009

           
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