第11回 US海軍のピーコート
Fashion
2015年3月6日

第11回 US海軍のピーコート

第11回 US海軍のピーコート

今回はVINTAGEのピーコートを紹介します。
これは、第一次世界大戦(1914~1918)の頃に製造されていたと推測されるもので、
一般的には現在のピーコートの原型になったといわれているUS海軍のピーコートです。

Photo by JAMANDFIX

左右どちらにでも、上前をかえられる理由とは?

このあとの時代につくられているピーコートと異なる点がいくつかあります。

通常、ピーコートには、フロント部分に手を温めるために、縦に切り込みを入れた“マフポケット”がふたつついていますが、このピーコートにはフラップつきの“ハンドウォーマーポケット”がさらにふたつついています。

また、胸元に寒風が入ってくるのを防ぐための幅広い“リーファーカラー”とよばれる衿も非常に幅広でつくられていて、補強のためのステッチものちの時代には見られません。

また、ピーコートのおおきな特徴として左右どちらでも、上前をかえることが可能になっていますが、これは、
もともと、艦橋や甲板などの厳しい気象条件で使用することから、風向により左右どちらでも替えられるようにという理由と、片方のボタンが破損しても、もう片方でとめられるという冗長性確保のための意味もあります。

このファーストタイプのピーコートもその特徴はかわりないのですが、ボディのシルエットはこの後の時代のものよりも、着丈が長く、ウエストがシェイプされていて、シルエットがあきらかに異なります。

また、40年代のものでは、ライニングの素材がボディーはシルク、ポケットはコーデュロイが使われていますが、
こちらは、ボディ、ポケットともに、ウール地のライニングで、袖だけがコットンシルクが使用してあります。

樹脂製の10個のボタンもすべてオリジナルで残っており、アメリカ建国時の州の数を表している「13スター」が彫られています。

番外編 スペシャル トム・フォード

SIZEは40~42と、やや大きめですが、
コンディションも非常によく、通常ダメージがあるボタンホールもダメージはほぼ見受けられません。
ただ、チンストラップだけは、ボディの生地とちがうものなので、こちらは、前の持ち主があとづけしたものかもしれません。

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