MARGARET HOWELL|スタイリスト池田尚輝が語るマーガレット・ハウエル
スタイリスト池田尚輝が語る2014年春夏コレクション
マーガレット・ハウエルの魅力を生かす着こなし術
今回のマーガレット・ハウエル メンズのスタイリングを担当したのは、ファッション誌やブランドカタログなどを中心に、CMや広告、著名人のスタイリングなどを手がけるスタイリストの池田尚輝氏。OPENERSでは、2010-11年秋冬シーズン以来の登場となる。今シーズンのマーガレット・ハウエルの全体の印象から語ってもらった。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)Model by James Smith(DONNA)
色味が少ない分、素材のチョイスが際だっている
今シーズンのマーガレット・ハウエル メンズは、かなり色が絞られたコレクションという印象を受けました。全体の色味をまとめる“トーンオントーン”が大きいテーマだと聞きましたが、ブルーっぽいグレーやネイビー、ベージュを中心に、差し色としてマスタードやオレンジを好みでくわえるなど、かなりトーンを抑えたカラーリングがメインで、色味のバリエーションが少ない分、素材のチョイスが際だっている印象を受けました。
また、今回チョイスしたセットアップで使えるジャケットは背中にはぎのない仕立てで、古いワークウェアを連想させるクラシックなタイプですが、シルエットは現代的なボクシーにするなど、マーガレット・ハウエルらしく「上手い」アレンジが効いています。
足もとから、全体のプロポーションの変化に注目
春夏シーズンはレイヤード(重ね着)での味出しが難しいものです。でも、マーガレット・ハウエルのランウェイで発表されたショーツのコーディネイトなど、一見、簡単そうな着こなしに見えますが、シャツの第1ボタンを留めて着てきれいな襟型を強調したり、リネンのソックスに、ボリューム感のある表革のトリッカーズ別注のチャッカをあわせて、足もとにごつっと一つ重みが出ることで全体が締まったり。素材感の変化とあわせて、なかなか上級なスタイリングになっています。
また、リネンのスカーフをアクセントに使うなど、小技も効いていますね。これからのシーズンに活躍するショーツは、これまでの丈が短くなっていく傾向から、じょじょに長さが戻っていくようになり、今回は丈をひと折りしてスタイリングしています。一つ折ることで重みが出て、リネンのソックスと、ボリューム感のある靴もポイントとなり、全体のプロポーションが変わっていくのがわかります。
コーディネイトで使っているショーツは、ベルトレスのクラシックなフォルムに、コットンリネンのハリのある素材で、カジュアルすぎない雰囲気をもっています。
カジュアルアップが楽しめる絶妙なセットアップ
今回スタイリングを組んでみて、個人的に着てみたいと思ったのは、パッチポケットのジャケットのセットアップですね。ジャケットは細身でシャープなシルエット、パンツもナローなタイプで、モデルのようにノーカラーのプルオーバーシャツをあわせれば、リラックスしながらスーツのようなドレッシー感も味わえて、仕事でも遊びでもいつどこに誰に呼ばれても問題ない着こなしが楽しめますね。
トレンドは、少年ぽさからマチュアな男へ
メンズ全体のトレンドでは、男性像がクラシックな方向を向いて、80年代から90年代のスタイルがリバイバルしたり、スーツが復権するなど、カジュアルな少年ぽさから、マチュア(成熟・円熟)した男へと移行しています。この春なら、リネン素材を上手に着こなすような男ですね。
今回撮影した、英国を代表するブルゾン(スウィングトップ)の原型、バラクータのオリジナル「G3」を、マーガレット・ハウエルがアレンジした「MARGARET HOWELL×BARACUTA」など、着こなし次第でいい意味で“おじさん”になりそうなところが新鮮。デザインは裾が絞っていないので着やすく、スティーブ・マックイーンを理想として着るとカッコイイでしょう。
池田尚輝|IKEDA Naoki
2000年よりフリーで活動。2005~06年はNYCを拠点にし創作世界を広げる。数々の雑誌、ブランドカタログ、広告、ショーなどでユニークでモダンな世界観を提示し、各方面より高い信頼を得るスタイリスト、ファッションディレクター。アウトドアライフ・プロダクツ、陶器や木工、アートにも明るいことで知られる。
http://www.naokiikeda.com/
アングローバル
Tel. 03-5467-7874
http://www.margarethowell.jp