SINCE1971. 幻のロックバンドの音源が奇跡の復刻! | MEDICOM TOY
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2024年3月26日

SINCE1971. 幻のロックバンドの音源が奇跡の復刻! | MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

THE RICH BEGGARS『HERE COMES THE RICH BEGGARS』復刻発売!

ロックンロールはいつの時代も危うい響き。このサウンドはガレージの奥に積まれた埃まみれのポルノ雑誌を開く感覚。しばし時間を止めて楽しんで欲しい。 /加藤ひさし(ザ・コレクターズ)

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

THE RICH BEGGARS・石井誠氏とメディコム・トイ・赤司竜彦氏のスペシャル対談

1971年に100枚限定で自主制作された幻のバンド「THE RICH BEGGARS」のアルバム『HERE COMES THE RICH BEGGARS』が、2024年5月22日、メディコム・トイより復刻決定。これを記念してバンドの中心人物にしてヴォーカル&ドラムス担当の石井誠氏と、復刻を手がけたメディコム・トイ代表取締役社長である赤司竜彦氏の対談が実現。バンドの成り立ちや前代未聞のレコーディング場所など、時代の空気を感じさせるエピソードとともにお楽しみください(この対談の完全版は「石井誠氏スペシャルインタビュー」としてLP/CDに収録されます)。
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石井 誠|いしい・まこと(右)
株式会社はた企画代表取締役。京都府出身。1949年11月7日生まれ。1972年に同志社大学経済学部卒業後、オリジナルコンフィデンス大阪総局入社。1978年から大阪編集長を務め、1992年に退社。音楽評論家、ラジオDJ、ジャーナリストとして邦楽のロックからアイドル、演歌まで幅広いジャンルの音楽に関わり活躍中。DJネーム:マグナム石井としてKBS京都ラジオ「Get Up 京都~マグナム石井SHOW」、ラジオ関西「サイケトリップ・ストリート」、FM845「Keep On Running Again」にDJ・構成でレギュラー出演のほか、イベント・プロデュース、日本経済新聞、他のコラム執筆、CDライナーノーツ執筆など。業界バンド「RIZZ」ではVocal&Guitarを担当。
赤司 竜彦|あかし・たつひこ(左)
株式会社メディコム・トイ代表取締役社長。東京都出身。1996年、株式会社メディコム・トイを設立。「自分たちが欲しいものを作る」をコンセプトに、 映画・TV・コミック・ゲームなど幅広い分野のキャラクターフィギュアを企画製造。2001年に「BE@RBRICK (ベアブリック)」を発表し、国内外のアーティスト、ブランド、企業、キャラクターなどと、多彩なコラボレーションを発信している。 またテキスタイルブランド「FABRICK®」や「Sofvi.tokyo」のほか、多岐に渡る事業を展開中。特色の異なる直営店(「project1/6」「MEDICOMTOYソラマチ店」「MEDICOM TOY PLUS」「2G」)を、東京・大阪・名古屋の3都市6店舗で手がけている。
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復刻の連絡が来た時はまさに青天の霹靂でした

赤司 今回53年ぶりのアルバム復刻ということで、ご快諾いただきありがとうございます。
石井 連絡が来た時はまさに青天の霹靂です。「何言うてんの? 勘弁してよ」という話で(笑)。実際、学生バンドの解散記念で自主制作したLPだし、自分たちの実力不足に加えて、音質も悪いこともあり、僕が業界に入ってからは恥ずかしくて誰にも聴かせず、ずっと封印してきたので、世に出すなんてとんでもないと最初はお断りしました。だけど赤司さんは熱意がすごかった。そこが一番のポイントです。ぶっちゃけ、このレコードがオークションや中古盤市場で変に盛り上がってることは知ってたので、それで来た話なら間違いなく断ってました。でも純粋に音を聴いて感動したいう話やから、そこからスタートしたんやったらいいかなと。それにしても人生何があるかわからんもんを体感しました。
赤司 そもそもTHE RICH BEGGARS自体、謎多き幻のグループで。2年ほど前に社内のスタッフからたまたま「赤司さん、THE RICH BEGGARSって知ってますか?」と言われて、ネットにあがっていたジャケットの写真を見せてもらったんです。彼は古今東西の音楽に詳しいんですが、その彼も私も知らない。ネットで検索しても音源が見つからない。何か手がかりはないものかとネットのジャケット画像をアップにしたところ、テイチクのロゴが見えたんです。
石井 ああ、なるほど。
赤司 ちょうどその頃、私が企画した『AKASHIC RECORDS 2021 ~まぼろしのパレード~』というイベント用のアイテムとしてテイチクさんにザ・コレクターズの<まぼろしのパレード>という曲を7inchシングルで切らせていただいた背景もあったので、制作担当の方に音源が残っていないか探していただいたんです。一週間ほどして「あったんですけど、奇妙なことに盤しかないんです」と言われまして。
石井 不思議ですね。それは。
赤司 テイチクのアーカイブを調べても、うちの原盤じゃないという話になって。とりあえず盤をお貸りして聴かせていただいたところノックアウトされてしまったんです。THE BEATLESをベースに洋楽のエッセンスを完全に自分たちのものにしているし、そもそも1971年当時、日本で全曲英語のオリジナルを歌っていたグループで他に思い浮かぶのはFLOWER TRAVELLIN' BANDぐらいかなって。
まずはTHE RICH BEGGARSの成り立ちからうかがってもよろしいですか? 石井さんが同志社大学に入学した1968年に結成されたそうですが、軽音楽サークルのお仲間とですか?
石井 いや、軽音サークルは一応顔出したんですけど、なんか威張ってる先輩おったから喧嘩して三日で辞めました(笑)。体育会系、大っ嫌いなんで。それで自分の友達と結成しました。最初は4人でドラム、ベース、ギター、そして僕がサイドギターとボーカル。ただ、そのドラムの子はいいやつなんだけどあまりにも下手で、申し訳ないけど辞めてもらったんです。それで上手いの探して入れたんですけど、今度は人間性が合わない。このままドラム不在のまま活動するのもなんやし、しゃあないな、俺がやるわとドラムセットを買ってイチから練習しました。
赤司 そこからアルバムのクレジットにある石井誠(Drums & Vocal)、藤沖豊紀(Guitar)、大西正美(Bass)というトリオ編成になったんですね。
石井 本当は前で暴れたいタイプなんだけど、仕方なくドラムをやることになりました(笑)。アマチュアですから主な活動場所は大学のサークルが主催するダンパ(ダンスパーティー)。最初はTHE BEATLES、CCRあたりのわかりやすいポップロックのカバー中心で、それはそれで楽しかったんですけど、やっぱりオリジナル曲も欲しいよねという話になりまして。当時はベトナム戦争反対とかの学生運動が激化して、大学もバリケードで封鎖されて在学四年のうち後半の二年は行けなかったんです。でも僕らからしたら「ラッキー! 学校行かんで済む」と(笑)。暇もできたし本格的にバンドやろかいう話でオリジナルを作り始めました。
赤司 しかも全曲英語ですよね。アルバム1曲目に収録された<Solution>では、solution(解決)、hesitation(はじらい)、revolution(革命)など何度も“〜tion”で韻を踏んでいたり、当時の日本のバンドとしてかなり画期的です。
石井 韻に関してはボブ・ディランの詞をかなり参考にさせてもらいました。英語で歌ったのは、はっきり言って日本語で歌うのが照れくさいだけの話です。“お前が好きだ”なんて言いたくないから"I Love You"と。僕はE.S.S.(English Speaking Societyの略称。英語を話すサークル)に入ってたんで、発音は抜きにして、ひと通りの会話はできたんです。海外の人に聴かれたら恥ずかしいけどね(笑)。それから円山公園野外音楽堂でロックイベントに出たり、京都会館でオムニバスライブに出て演奏したりしてました。

70年代の時代感をそのままま楽しんでいただけたら

赤司 当時のライブ写真(LP購入特典のポストカード)が出てきたそうですね。
石井 これまた偶然の発掘なんです。僕の中ではどっかいってもうたと思ってたけど、赤司さんから連絡もらって探してみたらパラパラと出てきて。
赤司 (写真を見ながら)めちゃくちゃかっこいいです。石井さん、一人だけプロっぽい(笑)。
石井 ギターの藤沖くん、ベースの大西くんは本当に真面目やから。彼らを僕が巻き込んで、やっただけの話です。二人は大学卒業後の進路が決まってましたし、このメンバーでプロデビューは100%ありえないことはわかってたんです。だったら解散記念にアルバムを作ろうやないかということでレコーディングに至りました。
赤司 レコーディング場所は映画のアフレコスタジオだったそうですね。びっくりしました。
石井 当時は京都でも正式な音楽スタジオは数えるほどしかなかったですし、こちらも学生バンドやからすごいところを借りられるお金があるわけじゃない。さて、どうしようかと考えた結果、自分の親父に相談してみたんです。親父は映画の大映撮影所で制作部の主任をやってたので、アフレコスタジオやったら知ってるでという話になり、ダメもとで使わせてという話をしたんです。普段セリフを録るところやから、そこにロックバンドの楽器持ち込むのは向こうのスタッフさんもびっくりしたと思うんです。
赤司 前代未聞でしょう。普段は俳優のセリフをマイクで録音するところですから。
石井 ミキサーの方もアンプのつなぎ方、音のバランス、何も分からない。申し訳ないと思いながら、とりあえず録らしてくださいと二日間ぐらいで録り終えたと記憶してます。なので言い訳として音の悪さ、薄っぺらさに関しては、そういうスタジオで無理やり作ったからというのはひとつあります。
赤司 ちなみになぜテイチクからリリースされたんですか?
石井 これはもう苦しまぎれです。レコードを作りたい、でもどこに頼んだらいいかわからないところから始まって調べたら、たまたま当時テイチクが奈良にプレス工場を持ってまして。京都の十字屋(JEUGIA)という大きなレコード店で僕の後輩がアルバイトしてたので、毎月来てるテイチクのセールスマンにちょっと聞いてくれへんか?と頼んだところ、その話をテイチクの人が本社に持ち帰ってくれて、いいですよという話になりまして。それでオープンリールを渡してプレスしてもらったんです。よくぞOKしてくれたなと。いい時代でしたね。
赤司 『HERE COMES THE RICH BEGGARS』と描かれたジャケットも魅力的です。
石井 ジャケットのデザインは藤沖くんが黒地に白ヌキで作ってくれました。その際、サイケデリックの文字風にちょっと揺らしてくれと僕からリクエストしました。いま見るとBLACK SABBATHの『Master of Reality』に似てますけど、こっちが少しだけ先ですから。パクリとちゃいます。まあ、それっぽい音を期待して聴くとガクッと来ると思うんですけど(笑)。
赤司 現在、アメリカのFirst & Last Recordsというレコード会社が日本の1970年代の知られざるバンドの音源、それこそ大学の卒業記念レコードとか復刻しているんですけど、THE RICH BEGGARSのジャケットから大学の卒業記念アルバム的な感じがまったくしなかったんです。すごくかっこいいので、今回新たにTシャツとCD購入特典の缶バッジを作らせていただきました。ジャケットはフリップバック・カバー、俗に言うペラジャケですね(表ジャケットにビニールコーティングが施され、裏ジャケットの上下は折り返された仕様)。
石井 当時のヨーロッパ盤は全部これでしたからね。アメリカ盤の硬い紙のジャケットはシールドを切って開けると埃っぽい空気が嫌なんです。保存しやすいのはアメリカ盤ですけど、こっちの方が愛着あります。
赤司 今回の復刻もオリジナルに忠実にフリップバック・カバーで再現しました。もちろん、石井さんが当時お書きになられたライナーノーツも復刻封入します。70年代の時代感をそのままにパッケージしたかったので。ザ・コレクターズの加藤ひさしさんにも素敵な推薦コメントをいただきました。ぜひ手にされた皆さんには、その奥行きまで含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。
石井 デジタル全盛の中、完全にアナログの手作りでやってるのが逆に若い子には新しいかなとは思います。今はボタンひとつで何でもできるけど、やっぱり僕は「せーの!」でやるバンドサウンドが好きですから。
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THE RICH BEGGARS 『HERE COMES THE RICH BEGGARS” 』
3月24日~4月10日の期間、MCT TOKYO及びPROJECT1/6 amazon店にて先行予約受付。5月22日、全国のディスクユニオンCDショップ、その他店舗、オンラインショップにて発売予定。企画・製造/株式会社メディコム・トイ 発売元/株式会社ディスクユニオン
LP
カラー|黒盤、紫盤の2色展開(それぞれ少数限定)
仕様|オリジナルプレス同様、フリップバック・カバーを採用。71年発売当時のライナーノーツ復刻封入。ヴォーカル&ドラムス担当 石井誠のスペシャルインタビュー収録
LP購入特典|ポストカード3枚組
発売日|2024年5月22日発売予定
価格|5500円(税込)
CD
CD購入特典|スペシャル缶バッジ
仕様|71年発売当時のライナーノーツ復刻封入。ヴォーカル&ドラムス担当 石井誠のスペシャルインタビュー収録
発売日|2024年5月22日発売予定
価格|3300円(税込)
T-SHIRT
カラー|BLACK
サイズ|S, M, L, XL
発売日|2024年5月22日発売予定
価格|3960円(税込)
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

発売元
株式会社ディスクユニオン
                      
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