「2G」のオープニングを飾った2人の偉大なアーティスト
DESIGN / FEATURES
2019年12月28日

「2G」のオープニングを飾った2人の偉大なアーティスト

ダニエル・アーシャム × 空山基インタビュー

ファッション、アート、カルチャー、フードなど、全193テナントが集積した唯一無二の次世代商業施設として連日大盛況の「渋谷PARCO」。中でも注目を集めているのが、NANZUKAによる「ギャラリー」、小木“POGGY”基史とデイトナ・インターナショナルによる「セレクトショップ」、BE@RBRICKを筆頭に数多くアイテムを生み出してきたMEDICOM TOYによる「アートトイ」という3つのジャンルのトップランナーが集結したスタジオ「2G」だ。今回は同スペースのオープニング展<Arsham × Sorayama>に駆けつけたダニエル・アーシャム氏と空山基氏にお話をうかがった。

Photographs by ISHII Fumihito | Text by SHINNO Kunihiko | Edit By KAWASE Takuro

──ダニエルさんは渋谷・公園通りエリアにはよく来られるんですか?
ダニエル 渋谷に来るといつも東急ハンズに行きます。新しい渋谷PARCOができたことで、このエリアに足を運ぶ回数がさらに増えそうです。
──空山さんはリニューアル以前の渋谷PARCOの思い出は?
空山 うん、いろいろ。デートスポットだったからね。
──現在「2G」のギャラリー第一弾としてコラボレーション展<Arsham x Sorayama>が開催されていますが、お二人はどうやって出会われたんですか?
空山 3年前にNANZUKAでやった彼の日本初の個展(「My First Show in Japan, Year 2044」2016年)を観に行ったとき初めて会ったんです。その前から彼は私の作品をたくさん見ていたみたいで。
ダニエル 10年くらい前にKAWSのスタジオを訪れたとき、空山さんの作品が飾ってあったんです。
空山 ダニエルは他のアーティストとコラボレーションするのは、これが初めてなんですよ。
ダニエル ええ。でも、空山さんのペインティングを見た瞬間、コンセプトを理解しましたし、スカルプチャー(彫刻)も間違いなく良いものができるという確信がありました。
──空山さんはダニエルさんの作品をご覧になっていかがでしたか?
空山 タイトルとか見なくても何を伝えたいかすぐわかりました。だからコラボレーションいいよってOKしたんです。いまのコンテンポラリーアートって説明しなきゃわからないものばかりでしょ? そういうものはいくら高いお金出して買っても、100年後にはみんななくなると思うよ。
──今回展示のメインになっている二本の手が絡み合ったスカルプチャーとペインティングについてお聞かせください。
ダニエル これは私が作っていた作品が元になっているんです。ルーヴル美術館や大英博物館のようなヨーロッパの格式あるミュージアムに行くと、海底や遺跡から発掘された古代ギリシャやローマの彫刻がたくさん飾ってあるんです。壊れてしまって腕のないもの、頭部だけ残ったもの……。ああいうふうに時空を超えたものとして、シェイクハンドした彫刻が出てきたらすごく素敵だなと思い、私と、私の妻の手をモチーフにしたスカルプチャーを製作しました。空山さんはその作品を見て、片方の腕をロボットに変えて描いてくれたんです。その絵がきっかけで今回のコラボレーションにつながりました。
空山 私は平面で描いたんだけど、彼の作品は非常にマットだから、メタリックな手と握手させれば対比させられるでしょ? 無機的な部分にコントラストが出るから、とてもいいパートナーだと思いました。見てもらえればわかると思いますけれども。

──「2G(ツージー)」は渋谷PARCOの創業社長だった増田通二(ますだ・つうじ)さんにリスペクトを込めて南塚真史さん(NANZUKAのオーナー)が命名されましたが、ギャラリーの最初を飾る「2 Great artists」とも解釈できそうですね。
空山 またまた! ヨイショがうまい(笑)。
ダニエル ありがとうございます。
──「2G」の内装デザインを手掛けたのはダニエルさんが主宰するSnarkitecture(スナーキテクチャー)です。
ダニエル 他のプロジェクトの場合、クライアントのことを個人的に知らないことも多いんですが、今回は空山さんとのコラボレーション作品も展示していますし、POGGYさんとは10年来の友人関係、MEDICOM TOYさんのプロダクトのこともよくわかっていますので、最初から何の心配もしていませんでした。これまでのスナーキテクチャーのプロジェクトの中でも、自分と非常に近しいフィーリングのものとして捉えています。
空山 エントランスを入るとすぐグレーとシルバーで色調が統一されていて、奥のギャラリーに行けば我々2人の作品が展示されている。どう見せればいいか、よくわかっている人たちがやってるなと思いました。
──本日お二人が着用されている<Arsham x Sorayama>のウェアもPOGGYさんがディレクションされたものですし、これまで数多くのBE@RBRICKをリリースしている空山さんはMEDICOM TOYとは長いお付き合いですね。
空山 MEDICOM TOYが設立して間もない頃からだからね。AIBO(1999年にソニーが発売した4足歩行型エンタテインメントロボット。空山氏は初代「ERS-110」から「ERS-210」までのコンセプトデザインを手がけている)のフィギュアを最初に作ってくれたんです。ソニーのスタッフが「MEDICOM TOYといういい会社があるから、フィギュアを作るなら絶対ここで」と勧めてくれて。あれがたしか2000年頃だから、もう20年の付き合いになるね。
──ダニエルさんはMEDICOM TOYのことをどうやって知りましたか?
ダニエル KAWSのプロダクトで知っていましたし、日本に初めて来たときMEDICOM TOYのオフィスを訪れてスタッフの方を紹介してもらったんです。個人としてBE@RBRICKを作ったのは今回の「BE@RBRICK SORAYAMA × Daniel Arsham」が最初です。BE@RBRICKの造型については皆さんご存知だと思いますが、このようなかたちで半分に分かれているものはいままでなかったとMEDICOM TOYのスタッフの方もおっしゃってますし、初めてのBE@RBRICKとしては非常に良いものになったと思います。

BE@RBRICK SORAYAMA x Daniel Arsham 100% & 400% / 1000%

© Hajime Sorayama
© Daniel Arsham
BE@RBRICK TM & © 2001-2019 MEDICOM TOY CORPORATION. All rights reserved.
──空山さんの部分はクロームメッキ、ダニエルさんの部分はウォータープリントと異なる手法をとっており、製作はとても大変だったとうかがっています。しかも曲線で左右にスプリットするのはダニエルさんのアイディアだそうですね。
ダニエル 最初はまっすぐでもいいですかと提案されたんですが、それではダメだ、曲線で表現してほしいと言いました。
空山 MEDICOM TOYから私には何の相談もなかったけどね。私に言うと、さらに注文が増えるから(笑)。例えば、クロームの分が盛り上がって、さらに段差がついていればもっと面白いよ。とかね。
──コラボレーション展<Arsham x Sorayama>は2020年1月8日まで開催されます。ぜひともたくさんの方に足を運んでいただきたいですね。最後に、お二人が新生渋谷PARCOに期待されることを教えてください。
空山 かつて原宿・竹下通りが日本のカルチャーを世界に発信したように、PARCOから発信したものが世界の人々に認められるといいなと思います。輸入じゃなく、輸出ね。
ダニエル 日本はファッションレベルに代表されるように、ものづくりのクオリティが非常に高く、他では絶対ないものを発信し続けています。これからもそういうものが生まれることを期待しています。私自身もこれから日本でのコラボレーションを予定していますし、来年の4月にはビッグプロジェクトが控えているので楽しみにしていてください。

ダニエル・アーシャム / 空山基
Arsham x Sorayama


2019年11月22日-1月8日
東京都渋谷区宇田川町15-1
渋谷PARCO 2F 「2G」

空山基(Hajime Sorayama)

1947年愛媛県生まれ。東京都在住。驚異的な写実力を武器に、人体と機械の美を追求し続けるアーティスト。その名を世に知らしめた「セクシーロボット」シリーズ(1978年-)をはじめ、「AIBO」のコンセプトデザイン(1999年)、世界的ロックバンド・エアロスミスの「Just Push Play」(2001年)のアルバムカバーなどを手がける。2018年にはキム・ジョーンズ率いるDIOR HOMMEとのコラボレーションも大きな話題に。

ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)

1980年アメリカのオハイオ州で生まれ、現在はNYを拠点に活動しているアーティスト。「Fictional Archeology(フィクションとしての考古学)」というコンセプトに基づき、立体作品、ペインティング、インスタレーション、映像作品など多岐にわたり作品を発表。世界中の美術館、国際展などで展示されている。2019年6月、空山氏に続いてDIOR HOMME 2020春夏コレクションのコラボレーターに選ばれた。
                      
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