Anne Valerie Dupond × MAMES  -Anne Valerie Dupond編-|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2020年3月24日

Anne Valerie Dupond × MAMES -Anne Valerie Dupond編-|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

日仏の奇才による予想外のコラボレーションが実現

世界的に活躍するフランスのテキスタイル彫刻家、Anne Valerie Dupond(アン・ヴァレリー・デュポン)が、唯一無二の独創性で注目を集める日本のクリエイターユニット、MAMESの創作した「BUTTON」を再構築したスタチューが完成。
昨年、彼女本人が作成したワンオフ・アートピースのBE@RBRICKが大きな話題となったアン・ヴァレリー・デュポン。MAMESに続いて、ここではアン・ヴァレリー・デュポンのインタビューをお届けしよう。
──最初に、アーティストになるまでの歩みを教えてください。
物心ついたころからアートに興味があり、フランスのストラスブール大学でアートを専攻しました。学生時代にストリートエキシビションに展示して、ギャラリーからアプローチされました。2001年の卒業後には、Edgar le marchand d’Artというパリのギャラリーで展示する機会に恵まれました。幸運にも作品がよく売れたので、アート活動ですぐに生活できました。そのギャラリーには10年間在籍しました。
──古布を使った彫刻作品というユニークなアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか?
学生の頃は描画に興味がありましたが、ある日、友達の子供に手作りのぬいぐるみをプレゼントしようと思ったことがきっかけです。子供時代、私の夢は自分でぬいぐるみを作ることでした。裁縫の経験はありませんでしたが、そんなに難しいことではないと思い、身近にあるものを使って手当たり次第に始めてみました。
自分の古い服、おじいちゃんの物置で見つけたマット、羊を思い起こすようなファブリック、針、黒い糸、それから周りにあったボタンと詰め物で、羊のぬいぐるみを作ることにしました。思っていたより難しく、実際にでき上がったぬいぐるみは、子供にとっては怖かったかも知れません。
でも、一体目を作り終えたら、すぐに次を作りたくなりました。動物のぬいぐるみ作りが自分にとっての芸術作品の始まりだと直感して、ネズミ、ウサギ、ウシ、ゾウ……、たくさんのぬいぐるみを作り続け、卒業試験にそのプロジェクトを発表しました。20年前のことです。あの日からずっと古布と身の回りにある素材で作品を作り続けてきました。
──あなたの作品はどれも命を吹き込まれているように感じます。作品にはどのような思いを込めて製作しているのでしょう?
ありがとうございます! 私にとって、作品に命を与えるのは一番大切なことです。アートを始めた頃、私は子供がほしいと思っていました。まだ若かったこともありますが、それはまるで、子供が子供をほしがっているような状況でした。
手作りのぬいぐるみをプレゼントした1年後、その気持ちがぬいぐるみに導かれるように第一子を授かりました。そして、現在は子供が3人います。私は母として、アーティストとしての人生を送っています。制作することは、私にとって新しい子供を生み出すようなものでもあるのです。
私はいつも彫刻を作る時、目を最後に付けて生命を与えます。表情こそが私にとって最も大事で、動物や物体を人間らしい表情に仕上げるのが好きなんです。
──日本のファッションブランドとコラボレーションをされて、いかがでしたか?
KENZOとUNDERCOVERのコラボレーションは、それぞれ異なる体験でした。若い頃にKENZOのマスコットを作ることができたおかげで、フランスで私の人気が上がりました。KENZOのファブリックで作ることができたのは、とても貴重な体験になりました。あのゾウを作ることはとても楽しかったですし、今もお気に入りの作品のひとつです。
UNDERCOVERとのコラボレーションも光栄でした。私はシャイでしたが、高橋盾さんと実際に会って一緒に仕事できたことがとても嬉しかったです。そもそもは彼がパリのギャラリーで私の作品を見て「インスパイアを受けたものを次のコレクションに入れたい」と言ってくれたんです。
大きなチャンスでした。創作中の彼をこの目で見ることも、自分だけの特権だと感じていたほどです。アートについての話し合いを重ねる中で彼が私のことを信用してくれたおかげで、すべてがシンプルかつ快適に進み、私の世界観をもとに彼はユニークなコレクションを作ってくれました。とてもエキサイティングでした!
実はこのコラボレーションの時、私は出産を控えており、ショー当日には会場に行けなかったのです。そして、まさにその翌日に娘を出産しました。ですから、私にとってプライベートでもプロフェッショナルとしても忘れられないコラボレーションになりました。
──日本でも2017年に初の展覧会が開催されました。日本の印象と合わせて感想をお聞かせください。
これもまた素晴らしい出来事でした。数年前、フランスでギャラリー担当者である松中美紀さんに出会いました。彼女とは公私ともにとても良い関係を築くことができ、2017年、大阪にある彼女のギャラリー(Gallery de Room 702)で展示会を主催していただきました。彼女は私を信用してくれているので、展示内容については自由にやらせてもらい、素晴らしい展示会が実現しました。
その展示会は白い彫刻がメインで、ひとつの部屋に私の動物とトロフィーが置かれました。展示物が目立つように彼女が旦那さんと一緒に全世界の木を輸入してくれて、まるで本物の森のような空間を作ってくれました。展示の準備はとてもフレンドリーな雰囲気で、こんな風に一緒に展示会を作り上げていくのは初めてで、幸せな体験でした。
初来日にも関わらず、展示会のオープニングにはたくさんの人が来てくれました。この時、日本の皆さんのためにライブで作品を作りました。少し不安でしたが、皆さんの心遣いもあって、とても賑やかなライブとなりました。素敵な人たちに出会い、私の作品が日本で高く評価されていることに気づいた時は、とても感動して泣いてしまうほどでした。
松中さんは日本食の美味しさも教えてくれました。大阪と京都を案内してくれました。神社やお寺は素晴らしかったです。その後、東京にも行って本当に日本に恋をした気分でした! 素敵な友達が出来て、何よりも日本人の礼儀正しさが好きになりました。
昨年、再び展示会のため来日しました。そのときのテーマは「神話」で、動物とハイブリッドの彫刻を展示し、大成功でした。
──このところメディコム・トイ とのコラボレーションアイテムが続々と発売されています。中でも2019年12月発売のONE OF KIND BE@RBRICK 400% / 1000%は大きな反響でしたが、ワンオフのBE@RBRICKを作成されていかがでしたか?
メディコム・トイからの連絡を受けた時は非常に光栄でしたし、迷わず快諾しました。同時にBE@RBRICKは伝説的な存在ですし、私が新しいモデルを作るなんて恐れ多いと思っていましたし、正直なところ失敗したらどうしようという不安もあったのです。
普段、私は柔軟な素材を使っていろんな形の彫刻を作っていますが、今回の作業は言ってみればBE@RBRICKのシェイプにぴったりなコスチュームを作るようなことです。それなのに、私は洋服の作り方すら知らなかったのです!
それでも、この大きなチャレンジを自分なりに楽しもうと思い立ち、自分らしいスタイルを混ぜながら、いろいろなBE@RBRICKを作りました。作品の仕上がりには自信と誇りを持っていたので、不安はありませんでした。唯一つらかったことはBE@RBRICKが普段の作品より重いため、腕が少し痛くなったことだけです(笑)。
──最新作となるMAMESとのコラボレーションについて伺います。MAMESの作品をご覧になって、どのように感じましたか?
最初に見たMAMESの作品は“踊り猫”でした! もう見た瞬間に笑みが溢れましたし、直感的に自分の作品とのつながりを見出すことができました。“踊り猫”そのものに独自のスタイルがあり、私の作品と同じ世界観から出てきたように思えたのです。他のキャラクターを見てもMAMESのクレイジーなパンクスタイルは通底しており、少年性や少女性を孕んだ世界観をすぐに理解しました。
──MAMESとのコラボレーションはどういうきっかけで実現したのでしょうか。
前回来日した時に、東京で赤司社長とメディコム・トイ のスタッフに会えました。その際、赤司社長がMAMESの絵を見せてくれて、「彼らはあなたの仕事が好きで、一緒に何かを作りたがっている」と説明してくれました。そしてデッサンを見せていただいた瞬間、「是非やりましょう!」と即答したのです。それからのプロセスはとても順調で、こんなに楽しくなるとは想像していなかったほどです。
──コラボレーションについてコンセプトや世界観など、どういう話し合いをされましたか?
そもそも話し合う必要がなかったんです。私たちが生み出したモンスターズが同じ言語で代わりにコミュニケーションをしてくれました! 世界観が同じだからこそ可能なことでしたし、MAMESの反応もとても良かったです。
──フランスと日本で、制作作業はどういう形で進められたのでしょうか?
とても和やかな雰囲気でした。メディコム・トイのチームはいつもアーティストに対して敬意を払ってくれるので、すべてのリクエストに応えてくれました。やり取りがとてもスムーズなので、作業が非常にやりやすかったです。
メディコム・トイ がメールで送ってくれたMAMESの絵をもとにフランスのスタジオで彫刻を作り、その都度、写真と実物をメディコム・トイに送っていました。コミュニケーションが上手く取れていたので、地理的な距離はまったく問題ではありませんでした。
──完成したものに込めた思い、実際に出来あがったものを見た感想を教えてください。
毎回誇りに思います! 自分の作品をシリーズとして生産していただいたことに感動しました。普段はワンオフしか作らないので、このコラボレーションは私の仕事に新たな次元を与えてくれました。生産チームが素晴らしい仕事をしてくれたので、“踊り猫”のサンプルを見た瞬間に感動しました!
──今回のMAMESとのコラボレーションを通じて、新たな発見はありましたか?
MAMESの絵は私の作品よりもエクストリームです。そしてMAMESは私よりダークでクレイジーです。自分もそのスタイルで限界を超えることができると発見しました。気持ちよかったです!
──今後、メディコム・トイ とやってみたいことがあれば教えてください。
新しいBE@RBRICKを作ったり、いろんなアーティストとコラボレーションしたり、自分の作品をシリーズで生産したり……実現させたいプロジェクトはいっぱいあります! メディコム・トイ の強みのひとつはプロジェクトの幅広さです。私もその素晴らしい冒険にわずかながら貢献できたようで、嬉しいです。メディコム・トイ との仕事は大好きなので、これからも末長く一緒に続けられるように願っています
──最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
日本の皆さんには心から感謝しています。ファンの皆様の長年にわたる熱意と支持は、私に大きな感動を与え、制作の力になっています。フランスでは私のアートに対する反応が変わりやすくて、気弱になってしまいます。日本のファンの皆さんはご存知ないかもしれませんが、皆様こそ私にとって大事な支えとなっているのです。
 
Anne Valerie Dupond × MAMES「BUTTON」スタチュー(EDITION30)
MAMESの創作した「BUTTON」を、テキスタイルの芸術家 Anne valerie dupond(アン・ヴァレリー・デュポン)が自身の感性でクリエイト。その一期一会の瞬間を封じ込めた奇跡のスタチューが登場。さらにMEDICOM TOY LIFE ENTERTAINMENTからは両者のコラボレーションによるTシャツ、トートバッグ、キーチェーン、ポストカードセットが登場。「2G」にて 2020年3月発売予定。
原型製作:Anne Valerie Dupond。製作協力:UNBOX industries。全高約420mm。19万8000円(税込)
 
 
KEY CHAIN サイズ:W70mm/H115mm。3300円(税込)
POST CARD(10枚セット)
サイズ:W100mm/H148mm。1650円(税込)

(C) MAMES / Anne Valerie Dupond
2G
場所|渋谷PARCO 2F
東京都渋谷区宇田川町15-1
営業時間|10:00~21:00(変更になる場合がございます)
Tel|03-6452-5003
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
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