2015 ミラノサローネ 最新リポート|FLOS
DESIGN / FEATURES
2015年11月30日

2015 ミラノサローネ 最新リポート|FLOS

FLOS|フロス

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2015

独創性豊かなマスターピース

2009年に発表した壁や天井に照明を埋め込んだ「Soft Architecture(ソフトウェアアーキテクチャ)」、2013年のマグネット式のダクトレール「THE RUNNING MAGNET(ランニング マグネット)」など、トレンドに左右されることのない独創性に満ちたFLOS(フロス)の作品たち。今年も独自路線を貫き、フロスの思想とデザイナーの熱意が交錯した作品を数多く発表した。

Text by YUDA Takeshi(TOL STUDIO INC.)

白いアートギャラリーに至極のプロダクトを展示

立体造形を鑑賞するためのアートギャラリーとして設計されたフロスの展示ブースは、イスラエルの人気デザイナー、ロン・ジラッド氏が、コンセプト、デザイン、ムビーディレクションまで手がけた。大きなロゴが壁面を飾り存在感を示す例年のフロスのブースとは一線を画すコンセプチャルなもので、作品はショーケースや額縁に納められ、現代アートのような印象を受ける作品展示となった。

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個性派の作品が並ぶギャラリースペース

「KELVIN EDGE(ケルビン エッジ)」と題し、微妙に角度を変えながら展示されたアントニオ・チッテリオ氏による大ヒット作のニューモデル。四角いシェードのフチに沿って光源を配置し、LED光源の素子が見えないように工夫され、照射面が有機ELディスプレイであるかのような美しい面発光を実現した。

注目のデザイナー、マイケル・アナスタシアデス氏は、素材の異なる2つの球体を並べた作品「COPY CAT(コピー キャット)」を発表。球体を“母親”と“子ども”に見立て、「子どもはいつも母親の後ろを追いかけ、真似をする」というテーマのもとに作られおり、シンプルでありながら非常にユニークな作品だ。

FLOS|フロス

光を着せ替える「Bon Jour」

なかでも、もっとも来場者に衝撃を与えたのは、フィリップ・スタルク氏が手がけた新作「Bon Jour(ボンジュール)」だ。さまざまなバリエーションとカラーのベース、シェード、トップが準備され、ユーザー自身が着せ替えるように照明器具を作り出し、放たれる光の着せ替えまで楽しめる作品だ。展示ブースではコンセプトムービーを投影し、女性の洋服を次から次へと着せていく映像が流され、こちらも注目を集めた。

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紹介した作品のほかにもフロスのプロダクトデザインは、ジャスパー・モリソン、ピエロ・リッソーニ、パトリシア・ウルキオラなどの著名デザイナーが手がけているが、それ故にフロス作品が素晴らしいというわけではない。ともに最高のプロダクトを追求するために、デザイナー達が情熱をもって作品づくりに挑むことができる環境にこそ、フロスがマスターピースを生み出しつづける源泉となっている。

日本フロス
Tel. 03-3582-1468(9:30〜18:30 土日休)
http://japan.flos.com/

FLOS|フロス

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2015

フロスの魅力がつまったブックレット

ミラノのショールームでもインスタレーションを実施

毎回ユーロルーチェに向けて準備されるフロスの新作を盛り込んだ製品カタログは、アーティスティックなブックレットとして来場者に人気だ。ファブリック地で丁寧に仕上げられた今年のカタログは、総ページ数400にも及ぶ。今年のカタログは、売れっ子アートディレクター、ステファニーバース&カリーナフレイを迎え、フォトグラファーにフランク・フュルシュビュメル氏を据えて制作された。新作の情報はもちろん、各製品の作品コンセプトやブランドのヒストリカルな魅力まで垣間見えるブックレットに仕上がっている。

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また、フロスではユーロルーチェ開催期間中に、ミラノ市内のショールームとプロフェッショナルスペースでもエキシビションを展開。プロフェッショナルスペースではジャスパー・モリソン氏によるインスタレーション「A Book of Things(ブック オブ シングス)」がおこなわれた。会場を訪れたモリソン氏は、「このような機会を設けてもらえてうれしい。代表に感謝したい」と、フロスの代表であるピエロ・ガンディーニ氏へ感謝を語っていた。

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日本フロス
Tel. 03-3582-1468(9:30〜18:30 土日休)
http://japan.flos.com/

           
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