ヴィンテージ・オーディオの愉しみ(中編)
JUPITER AUDIOに聞く
ヴィンテージ・オーディオの愉しみ(中編)
ジュピターオーディオ代表である加藤秀治さんににヴィンテージオーディオの魅力について語っていただく特集の第2回めは「音」について、そして機器のデザインについてうかがいます。
文・インタビュー=加藤孝司写真=加藤佳男
音、そしてインテリアとしてのオーディオ
これらの機材は技術云々ではなくて、まず純粋に音楽を好きな人がつくった装置なんです。いまのCDプレーヤーは光学博士や光学的な知識がないとつくれないものですよね。アナログのオーディオはそういった技術の前に、音楽的なセンスのよさがなければつくれなかったものだと思います。
――メーカーとしてはどんなものがありますか
アンプでいちばん有名なのがアメリカのマッキントッシュです。フランク・H・マッキントッシュとゴードン・ガウ、エンジニアのシドニー・コーダーマンで一時代を築きました。そして1951年創業のマランツ。ソウル・バーナード・マランツとエンジニアのシドニー・スミスのコンビです。プレーヤーではイギリスらしい質実剛健な作りのガラードがあります。30年以上も前につくられてこれから30年も使えるものはほかにはないでしょう。それとスイスのトーレンス。優しい音を出します。スピーカーではタンノイ、1946年創業のJBLあたりでしょうか。
――ヴィンテージ・オーディオで聴くのに適した音楽はありますか?
ジャンルは問いません。たとえばいまのロックを聴いてもこの年代のオーディオで聴いたほうがものすごく濃く味が出ます。いまのオーディオで聴くと声と楽器の音が混ざってしまうんですね。でもこの時代のオーディオで聴くとある程度それぞれが分離するんです。昔の機材だと美味しい部分がしっかりと前に出てくる感じです。だからロックから歌謡曲からクラッシックまで、なんでも大丈夫ですね。
――真空管とトランジスターの音のちがいはありますか?
音の立体感とか深みは全然ちがいますね。真空管は生の楽器本来の質感がしっかりと前に出ます。たとえばロックのミュージシャンが好んで真空管のマーシャル製のアンプを使ったりするのは、トランジスターでは真空管のようには音が塊になって前に飛ばないからなんですよ。
――インテリアとしてみて、この時代のオーディオはどうですか?
もちろん素晴らしく雰囲気のあるものですね。電気製品としてではなく、インテリアの一部としてつくられたからこそ、こういったデザインが生まれてきたんだと思います。
――この時代のオーディオは家具としてもインテリアと一体化していましたね。
今のオーディオは家電とよばれるものが主流で、ものとしてのおもむきがないものが多いと感じています。
次回『ジュピターオーディオ』第3回をお楽しみに!
ジュピター・オーディオ
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