トヨタ、新型ランドクルーザー300シリーズを発売|TOYOTA
CAR / NEWS
2021年8月4日

トヨタ、新型ランドクルーザー300シリーズを発売|TOYOTA

TOYOTA Land Cruiser|トヨタ ランドクルーザー

トヨタ、新型ランドクルーザー300シリーズを発売

トヨタは8月2日、フルモデルチェンジした本格SUV「ランドクルーザー300シリーズ」を発売した。

Text by HARA Akira

ラダーフレームの刷新やボディへのアルミパネル採用などにより200kgの減量を実現

ランドクルーザーは1951年8月、強力なエンジンを備えた4輪駆動車、トヨタBJ型として誕生し、以降70年にわたって世界各地で「どこへでも行き、生きて帰ってこられること」を使命としてきたトヨタの本格SUVだ。世界中のユーザーの使用実態に基づいて性能を鍛えつつ進化させることで、累計約1,060万台、年間30万台以上が販売され、世界170の国と地域で活躍している。新型ランドクルーザー300シリーズは、「信頼性・耐久性・悪路走破性の継承と進化」「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れない」クルマを目指したという。
新型のボディサイズは、全長4,985〜4,950mm、全幅1,990〜1,980mm、全高1,925mmで、ホイールベースは2,850mm。車重は2,560〜2,360kgとなる。高次元な走りと、環境性能の向上を目指したGA-Fプラットフォームを採用し、伝統のラダーフレームを刷新。ボディは高張力鋼板の採用拡大やボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミニウム化。また、パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動した。これらにより車両として約200kgの大幅な軽量化、低重心化、前後重量配分の改善を果たしている。
パワートレーンは3.5リッターガソリンと3.3リッターディーゼルを搭載。新開発の3.5リッター V6ツインターボ ガソリンエンジンは、最高出力305kW(415ps)、最大トルク650Nmを発生。マルチホール直噴インジェクタ付D-4STの採用やロングストローク化、バルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ツインターボが、力強い低速トルクと優れた過給レスポンスを生み出すという。
もう一方の3.3リッター V6ツインターボ ディーゼルエンジンは、ピストン燃焼室、吸気ポート、インジェクタといったエンジン各部の構造を最適化し、227kW(309ps)の最高出力と、700Nmの最大トルクを発生する。
トランスミッションは、どちらもDirect Shift-10ATを搭載。発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現。また、10段化により、ギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、リズミカルで心地の良い走りのリズムと、高速燃費の向上、発進加速・オフロード性能の向上を同時に果たしたという。
足回りは、プラットフォームの刷新に伴い、ハイマウント・ダブルウィッシュボーン式(フロント)とトレーリングリンク車軸式(リヤ)のサスペンションを新開発。特にリヤサスペンションについては、ショックアブソーバーの配置を最適化し、乗り心地と操縦安定性を向上した。
また、路面状況や運転操作に応じ、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するAVS(Adaptive Variable Suspension)には、新たにリニアソレノイドタイプを採用。悪路での耐久性と時代のニーズに対応した操舵アクチュエーター付パワーステアリング、ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出することで、よりリニアな制動特性を得られる電子制御ブレーキシステムを採用している。ZXグレードにはリヤタイヤのトラクション性能を確保するトルセン® LSDを採用。旋回加速時には後左右輪の荷重に応じて駆動力を最適に配分し、高いコントロール性能を実現している。
オフロード走行については、タイヤの空転によるスタックや、駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を、6つのモード(AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCK)から選択できるシステムを搭載。選択したモードごとに駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、走破性が確保される。また、動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡大し、より広い範囲のオフロード走行に使用できる機能としている。さらに、各種センサーの情報から走行中の路面状況を推定し、駆動力を最適化するAUTOモードでは、ドライバー自らモード切替えをすることなく、走行シーンに応じた走破性能を引き出すことが可能になっている。
また、車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートするマルチテレインモニターを搭載。フロント・サイド左右・リヤに搭載したカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替えることで、ドライバーの死角になりやすい車両周辺の路面状況を確認できるとともに、フロント画面表示中に車両を停止させ、画面内のスイッチを押すことで、アンダーフロアビューに切り替えることもできる。手前で撮影された過去の映像を床下透過映像とし、その映像に、現在の車両やタイヤ位置を示す線を合成することで車両下の状態や前輪の位置が確認できる仕組みだ。さらに、車両を透過し、後輪周辺をクローズアップして大きく表示する新ビューを追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感を把握でき、スタックや行き止まりからの脱出に力を発揮する。

機能性を重視したエクステリアとインテリア

エクステリアでは、ホイールベースをはじめとするボディサイズ、対地障害角(アプローチアングル32°、デパーチャーアングル26°、ランプブレークアングル25°)を従来型から変えず、オフロード走破性にもつながる扱いやすさを継承。歴代ランドクルーザー(ステーションワゴン型)のヘリテージを追求し、キャビンを後ろ寄りに配置するキャビンバックワードプロポーションとした。
また、ラジエーターグリルをヘッドランプとともに高い位置に配置。前後バンパーの下部も障害物をいなすような造形とするなど、オフロード走行時の機能性を重視したデザインとした。エンジンフードには大きな凹みを設け、衝突安全性能と前方視界の両立を図っている。
インテリアでは、フロント着座位置を後方に移動しつつ、セカンド・サードシート構造・配置を見直し、居住性・荷室容量の向上と衝突安全性能を両立させた。サードシートを電動のフロア格納式とすることで、荷物もより積みやすくっている。ちなみにガソリンエンジン搭載車は7人乗り3列シート(GXグレードは2列)、ディーゼルエンジン搭載車は5人乗り2列シートとなる。
インストルメントパネル上部は水平基調で、過酷な路面状況下でも車両状況が把握しやすいよう、スピード・エンジン回転・燃料・水温・油圧・電圧が直感的に視認できる、6針式のメーターを採用。ドライブモードセレクト、マルチテレインセレクト、ダウンヒルアシストコントロール、クロールコントロールのモードセレクトを一つのダイヤルに統合し、モニターを見ながら操作できる最適な位置に配置した。
そのほかの各種スイッチ類は、走行・駆動系、オーディオ系、空調系など機能ごとに集約して配置。悪路走行時でも直感的な操作ができるようにレイアウトしている。また、最新世代のランドクルーザーにふさわしい、安心・安全装備として、トヨタ初の指紋認証スタートスイッチを採用した。

新たにGR SPORTを設定

新型ランドクルーザーでは、世界一過酷なダカールラリー参戦ドライバーからの改善要望を車両開発に直接反映した「GR SPORT」を設定したのもニュースだ。
ランドクルーザーは、世界一過酷と称されるダカールラリーに1995年から25年以上にわたり市販車部門への参戦を続けており、今回の新型では「モータースポーツを起点にしたもっといいクルマづくり」を実践。このラリーに参戦するドライバーからのフィードバックを車両開発に生かし、過酷な運転環境でも安心して運転しやすく、疲れないクルマを目指したという。
具体的にはエクステリアとインテリアを専用装備で固めたほか、電子制御でスタビライザー効果を変化させるE-KDSS(Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System)、それにあわせて最適化したバネ定数やAVS、リアに加えてフロントにも搭載する電動デフロックなどを採用している。
2023年以降のダカールラリーには、Team Land Cruiser TOYOTA AUTO BODY(トヨタ車体のチームランドクルーザー : TLC)がこのGR SPORTをベースにした車両で出場を予定しており、ラリー参戦を通じて高度なポテンシャルをさらに進化熟成させていき、市販車へとつなげていく取り組みを続けるという。
フレームの生産はトヨタ本社工場、組み立てはトヨタ車体(株) 吉原工場で行われる。価格は510万円〜800万円となっている。
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