車重わずか490kg（！）

ケータハムの「セブン」は、もともとロータスが1957年に発売した「スーパーセブン」を源流とするロードカー。1973年にロータスがスーパーセブンの生産中止を決めたとき、以前からロータス車の販売を手がけていたイギリス人、グラハム・ニーアンがその製造権を手に入れ、以来、ケータハムの名を冠して販売してきた。

したがって今年で発売57周年を迎えることになるが、これと並ぶほど長い歴史を持つ“現役のスポーツカー”といえば、1936年生まれのモーガン「4/4」くらいのものだろう。

軽量かつシンプルで、エンジンパワーよりもバランスのいいハンドリングを旨とするロータスのDNAは現代のセブンにも確実に受け継がれている。いや、それどころか、セブン 160の登場により、デビュー当時のスピリットはより明確に、そしてより色濃く復活したとさえいえる。

その中核を成すのが、前述のとおりスズキ製660ccターボエンジンだ。セブン 160に搭載されるのは、スズキの最新ユニットであるR06Aではなくひと世代前のK06Aがベースとなるが、ロングストロークのR06AよりもショートストロークのK06Aのほうがスポーツカーファンには好感を持って受け入れられるかもしれない。

このエンジンはケータハムのチューニングにより80ps/5,500rpmと107Nｍ/3,400rpmを発揮。車重わずか490kg（！）のボディを0-100km/h加速を6.9秒で走り抜け、最高速度は160km/hに達する。

「クルマ」だなと感じられる1台

この軽量ボディを実現するうえで大きく役立っているとおもわれるのが、あくまでもシンプルに徹したクルマ作りである。

エンジンのパワーアップやコーナングスピードの向上に伴い、次第に車重が重くなっていった感のあったセブンだが、今回はエンジンの“ダウンサイジング”と相まってメカニズムもシンプルに改められ、一時はド・ディオン・アクスルや独立懸架も用いられていたリアサスペンションをシンプルなリジッドアクスルに変更。

もっとも、1957～1973年にロータスで作られたスーパーセブンはすべてリジッドアクスルを採用していたから、このセブン 160で先祖返りを果たしたともいえるだろう。

もうひとつ、セブン160で注目されるのが、日本では軽自動車登録が可能なこと。排気量が660cc以下なのだから当然とおもわれるかもしれないが、ケータハムはセブン 160のために敢えて幅の狭いリアフェンダーを作り、全幅を1,470mmに抑えて軽自動車登録を実現している。

細かいことをいえば、今回発表されたセブン 160は、2013年12月1日に発売された「セブン 130」の最高出力（64ps）を本国同様の80psまで引き上げることで、モデル名と価格を改めて発売されたもの。

ちなみに、車両本体価格は365万円（消費税抜き）。軽自動車としては異例に高価だが、発表会に出席したケータハムF1のドライバーである小林可夢偉 選手は「電子制御でコントロールされている現代のクルマと異なり、このケータハムは笑っちゃうくらい何もついていないので、勝手にドリフトできます。そんなクルマ、いまないですよね？ 本当に『クルマ』だなと感じられる1台です」と語っていたので、大いに期待が持てそうだ。

Caterham Seven 160｜ケータハム セブン 160
ボディサイズ｜全長 3,100 × 全幅 1,470 × 全高 1,090 mm
ホイールベース｜2,225 mm
トレッド 前/後｜1,220 / 1,301 mm
最低地上高｜100 mm
重量｜490 kg
エンジン｜658 cc 直列3気筒 DOHC ターボ
ボア×ストローク｜68 × 60.4 mm
最高出力｜ 58.8 kw（80 ps）/ 5500 rpm
最大トルク｜107 Nm /（10.9kgm）/ 3400 rpm
トランスミッション｜5段MT
駆動方式｜FR
サスペンション 前｜ダブルウイッシュボーン
サスペンション 後｜リジッドアクスル
タイヤ｜155/65R14
ブレーキ 前｜ソリッドディスク
ブレーキ 後｜ドラムブレーキ
最高速度｜160 km
0-100km加速｜6.9 秒
価格｜365 万円

ケータハムカーズ ジャパン
Tel. 03-5754-2227