メルセデスの本気がうかがえる一台──新型メルセデス・ベンツGLSに試乗|Mercedes Benz
CAR / IMPRESSION
2020年8月31日

メルセデスの本気がうかがえる一台──新型メルセデス・ベンツGLSに試乗|Mercedes Benz

Mercedes Benz GLS|メルセデス・ベンツGLS

新型メルセデス・ベンツGLSに試乗

フルモデルチェンジを受け、日本でも2020年3月に発表された3代目「GLS」。メルセデスの最新フラッグシップSUVにモータージャーナリスト、九島辰也氏が試乗した。

Text by KUSHIMA Tatsuya| Photographs by Mercedes Benz

モデルチェンジの眼目はエンジンの変更とエアサスペンションの改良など

メルセデス・ベンツのSUVラインナップは世界トップレベルに充実している。AクラスからSクラスといったセダン系に寄り添うようにSUV群を構築しているからだ。
それにエンジンラインナップも豊富だし、SUVクーペといったボディタイプまである。さらに言えば、彼らにはGクラスといった飛び道具も。BMWやアウディにはないキャラクターだ。つまり、それだけあらゆるニーズに応えるようSUVが顔を連ねている。

今回スポットを当てるGLSはそんなラインナップの中で個性が光るモデル。3列シートのフルサイズSUVはコンパクトサイズと違いそれほど多くのメーカーがつくっているわけではない。がしかし、それなりに需要はある。北米、中国、中東では人気の高いカテゴリーだ。確かに片道5車線のハイウェイを有する国では快適な移動手段となるだろう。
GLSは2006年に誕生した当時のGLクラスからスタートする。そして2012年にフルモデルチェンジ、2015年(日本は2016年)にGLSに名称変更した。メルセデスのSUV群は、ご存じのようにGLの後にクラスを表す英字が付く。GLA、GLB、GLC、GLE、といったように。で、GLSは今回3世代目へのフルモデルチェンジに至った。日本発売は去る3月23日、デリバリーは6月からといったスケジュールになる。

モデルチェンジの主な項目は、エンジンの変更とエアサスペンションの改良、それと最新の安全装備、インターフェイスのアップグレードだろう。
ところがご覧いただくと分かるように、エクステリアデザインに大きな変化はない。保守王道といったところだ。ただ、よく見るとそれなりに手が入っている。ボディサイドにキャラクターラインは描かれず、ツルんとした面構成で仕上がっている。これは近頃メルセデスがアピールするデザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」に基づくデザイン。CLSあたりから始まった最新のデザインがここにも反映されている。

安定したドライビングが際立つ

エンジンは、3リッター直6クリーンディーゼルターボと4リッターV8ツインターボ+ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)+48Vのマイルドハイブリッドという2種類。名前はそれぞれGLS400d 4MATICとGLS580 4MATICスポーツとなる。
これまでも3リッターディーゼルのGLS350dというグレードはあったが、そちらはV型6気筒だったことを思い出してほしい。同じディーゼルエンジンでも今回は高効率の“直列”になっているのだ。また、V8も従来型では4.7リッターツインターボだったが、今回は700ccスケールダウンしている。もちろん、こちらも高効率化がキモ。電動アシストを加え最高出力を455psから489psにアップした。つまり、両エンジンとも、パワー、燃費、環境保護の面で進化したものが搭載されている。
では、実際に走らせた印象だが、安定したドライビングが際立った。全長5,220mmといった大きなボディにユッサリした動きはなく、ステアリング操作に対しピタッと安定した走りを見せた。

今回の試乗では高速道路が多かったので特にそれが前面に出ていた。車線変更時の挙動にも揺り返しはなく、スッと車線を移動する。高速道出入口のコーナーもいい感じだ。レンジローバーほど強制的にロールを抑えるわけでもなく、ある程度キャビンをフラットに保ちながら高い速度を維持できる。この辺りの仕上がりは“メルセデスマジック”といいたいところ。新技術AIRマティックサスペンションとE-ACTIVEボディコントロールの恩恵だろう。制御の仕方にインテリジェンスを感じる。
この他の進化ではダッシュボードのインターフェイスが目立つ。大きな液晶モニターはパッセンジャー風。「ハイ、メルセデス」で知られるMBUXが採用された。使い勝手の良さは、ユーザーにとって大きなメリットとなる。

といったのが新型GLS。外観の印象はそれほど変わっていなくとも、中身はかなり進化した。走行時の安定感は高い速度域での使われ方をイメージした結果だろう。操作性、そしてその先の安全性を含めガッツリ手が入っている。これぞ安心して走れるフルサイズSUV。まさにメルセデスの本気がうかがえる一台である。
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