創業時から変わることのないメゾンブランドのエスプリで、60周年を彩る|diptyque
BEAUTY / FEATURES
2021年6月14日

創業時から変わることのないメゾンブランドのエスプリで、60周年を彩る|diptyque

diptyque|ディプティック

情熱的でフリーマインド。創業者3人の想いを引き継ぐ「diptyque」のフレグランス

ブランド創業60周年を迎える、フランスのフレグランスメゾン「diptyque(ディプティック)」。メモリアルイヤーの今年、原点に立ち返る意味を込めて作られた、diptyque本店の隣にあったナイトバー「オルフェオン」をイメージした香りは、メゾンの過去と現在を繋げる架け橋となっている。創業当時から変わることのないエスプリや、香りへのこだわり、そして手に取る人への想いなど、革新的なメゾンだからこそ続く今、そして未来への展望をブランド フレグランス&ビューティー部門シニア・バイスプレジデント ローランス・セミション氏に話を訊いた。

Text by TOTSUKA makoto

パッションから生み出された数々の香り

――創業時から現在に至るまで、変わることのないdiptyqueの想いは?
ローランス・セミション氏
創設者が残した言葉に「我々はアーティストではなく、真なるものを作りたいというパッションから生まれたブランド」とあるように、マーケティングのロジックもなければ、営業的な目的もないまま、情熱のままに生まれたのが「diptyque」というメゾンです。そのため、創業時から今に至るまで、周りのトレンドに左右されることなく、常にフリーマインドで続けてきました。それぞれバラバラの場所で生まれ育った3人の創設者の共通点は、一つの情熱を持って動いたという点。そのため、国や由来を問うことなく、本当に美しいものに惹かれて、イマジネーションを膨らませたことにより、数々の製品が生み出されました。オープンで、そしてワイドに考えることができ、縛られることなく想像力に身を任せることができたことが、今日のdiptyqueの姿だと思っています。
――創設者のエピソードはありますか?
創業者3人
彼ら3人は友人であり、愛人でもあったというところが、何よりも強みでした。それぞれに芸術的な背景があり、何よりも芸術に対する情熱があったことは3人にリンクしていることです。1960年代初旬のパリは、フリーな風が吹いていた時期でもあり、多くのエネルギーに満ち溢れていました。その時代だからこそ、3人の想いが共鳴することでメゾンが生まれたんだと思います。例えばそれが今から10年前だったらdiptyqueは生まれていなかったし、別の風が吹いていたかもしれない。また、本店がある5区というエリアもフリーな考え方や、インスピレーション源が多く、彼らの大きな強みになりました。さまざまな縁が結ばれたことにより、メゾンの創業、そしてブティックの創立へと繋がっていきました。
――アイテムが生まれる背景に込められている想いは?
最も代表的なものは、最初に誕生したパルファン「ロー」です。メゾンの歴史の中でもある意味代表的なインスピレーション源とも言えるのですが、創設者の一人デスモンド・ノックス=リットが、頭の中で作り上げたものを再現した香りです。彼自身が友人であった調香師に伝え、手作業でスパイスやウッドなど、さまざまな原料を混ぜて一つのテイストのように作り上げました。当時ではかなり画期的なやり方で作られたこの手法は、現在のdiptyqueの考え方にも繋がっています。さまざまなものをミックスしてくだき、そして直感で答えにたどり着いていく。最近でいうと、「フルール ドゥ ポー」もこれに当てはまります。数十回のトライを繰り返し、出来上がったと思っては納得がいかず、最終的には想定よりも3ヵ月も余計に時間がかかって誕生した香りです。けれど、決して妥協することなく、納得がいくまで一つのパルファンを作り続けるところが、創業時から変わらないやり方でもありますね。
フルール ドゥ ポー
――それぞれの香りはどんなところから着想を得ていますか?
本当にさまざまなインスピレーション源がありますが、自然を元に生まれたものは多いですね。例えば、「オー ローズ」は、最も美しいバラを探しに行き、蒸留させて生まれた香り。何よりも花の香りに近づくようにして作られました。「フィロシコス」はイヴ・クエロンとデスモンドがギリシャを旅したときに、クリスチャンへのお土産として各所でさまざまなものを集め、その中のイチヂクの葉っぱの香りをもとに作られたものです。彼らの中では、ギリシャの思い出ボックスとなっている香りですね。
――今回新たに登場した「オルフェオン」が生まれた背景は?
ディプティックの店舗とナイトバー「オルフェオン」
60周年を祝うにあたり、自分たちがどこからきているメゾンなのかを振り返ることで、お祝いをしたいと思いました。もともとジャズクラブだった「オルフェオン」は、現在diptyqueブティックの中に残っている部分もあるのですが、オマージュとして香りを捧げたいという思いがありました。中でも現在のdiptyque内に残る、青いネオンのようにキラキラと光る柱をイメージして、パルファンにもリンクさせました。現在の調香師であるオリヴィエ・ペシューはメゾン創業時、この地区で学んでいた学生でした。そのため、彼は当時の雰囲気を思い出しながら、ウッドやパウダリー、そしてメイクアップのシーンなど、さまざまな香りを思い浮かばせるようなパルファンへと仕上げました。
またもう一つ。ジャズクラブだったオルフェオンを現在に置き換えたときに、どんな音楽が流れているだろうということを想像しました。そこで今回、フランスのエレクトロミュージックの代表的なミュージシャンにアプローチし、オリジナル音楽を作りました。そのため、五感で楽しんでもらえるような香りになっています。
――どんな人たちに製品を使って欲しいですか?
面白いことに、diptyqueに寄り添ってくれるお客様は、私たちが寄り添いたいと思っているお客様なんです。気持ちが通じ合っているんだと思います。ただ彼ら彼女らは、一つのマス目にカテゴライズされるような人たちではありません。性別や年齢も問わず、ジェンダーレスでエイジレスに愛用いただけるものを作っているつもりです。美しさにこだわりを持って、そして美しいものに惹かれるお客様に身につけもらいたいし、すでに身につけていただいていると思います。
――最後に今後メゾンをどのように導いていきたいですか?
何よりも常に私たちが夢のあるブランドであり続けたいと思っています。美しい価値観を伝え続けるなかでも、革新的なメゾンであり続けたい。これから秋にかけても、新たなサプライズを用意しています。デザインや香りを通じて、インスピレーションを働かせるきっかけになりたいですね。
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フランスの作曲家ルイス・オフマンと調香師のオリヴィエ・ペシューが、「オルフェオン」をテーマにした楽曲を共作。YouTubeでは、ミュージックビデオとともに楽曲が出来上がっていく過程が公開されている。こちらもぜひチェックしてほしい。

Orphéon, A Scent in a Song - Perfomance l DIPTYQUE PARIS - Japanese

Orphéon, A Scent in a Song l DIPTYQUE PARIS Japanese

問い合わせ先

diptyque Japan
Tel.03-6450-5735
https://www.diptyqueparis.com/ja_jp

                      
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