吉川千明インタビュー|いま本当に求められるナチュラルコスメとは?
BEAUTY / FEATURES
2015年4月24日

吉川千明インタビュー|いま本当に求められるナチュラルコスメとは?

オーガニックコーディネーター 吉川千明さんインタビュー(前編)

いま本当に求められるナチュラルコスメとは? 1

新ブランド「THREE」のデビューや資生堂のベアミネラル社買収など、2010年もナチュラルコスメ界の勢いは止まらない。けれど、数年前のブームから本当に多くのブランドが市場に溢れ、安全で環境に良いというだけでは差別化がはかれなくなっているのも現状だ。消費者である私たちは、いまこそ“選ぶ目”を養わなければならない。そこで今回、オーガニックコスメのスペシャリスト吉川千明さんに、最新のナチュラルコスメ事情につてうかがった。

Text by OPENERSPhoto by Kenta Suzuki

消費者が“見る目”をもたなきゃいけない時代

――まだまだナチュラコスメの流行は続きそうな予感がします。吉川さんは現状をどのように感じていますか?

おそらく流行はおわらないですよね。とは言っても、デパート1階のコスメフロアで独立しているナチュラルコスメブランドってまだまだ少ないですし、『コスメキッチン』みたいにナチュラルなものばかり集めているお店もあまりないのが現状ですから、今後どのようなグループで固まっていくのか、気になるところですよね。

――ナチュラルコスメに対する消費者の認識はいかがでしょう?

2年前くらいまでは、“エコ”で“オーガニック”ということ自体が差別化だったと思うんですね。けれど、ブランドが出揃ったいま、わたしたちはそこから一歩進んで“見る目”を持たなきゃいけない段階に入ったと感じています。消費者の皆さんには、自分の好みをちゃんと持ってほしいなって。

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吉川千明さん

――オーガニック認定を取得していないブランドにはどのような意図があるのですか?

100パーセントオーガニックの製品ってないことはないんですね。すごくシンプルな処方で、例えばオーガニックの植物油とオーガニックのエッセンシャルオイルを混ぜればマッサージオイルになりますよね。そういった意味で100パーセントはありえます。でも、クリームや乳液は、単純にミックスすればできるわけではないので、ケミカルでなくても、サイエンスの力が必要なんですね。それをできるだけオーガニックの素材で作るという理念をもってオーガニックコスメと言っているブランドもあります。それは、自社基準で、理念をもってオーガニックと名乗っているブランド。また、オーガニックとは謳わずに低いパーセンテージで「ナチュラルコスメ」と言っているブランドもあります。あとは超“栽培”で、自然のものを使っているけれど、野生のものを多く使っている場合や海洋性のもの、海のものを利用しているような場合。オーガニックって基本的には畑のものを指すんですけど、最近の傾向として海のもの入れることが多いんです。特にアンチエイジングの素材では各社競って、海洋性の素材を採用しはじめています。海藻など、海洋のものを中心としてつくられたコスメは「オーガニック」ではなく“自然”という意味で「ナチュラルコスメ」という場合もあります。それともうひとつ、使っているものはオーガニックだけれども、あえてオーガニックであることを全面に出さずにいるブランドも増えてきています。

お薦めのナチュラルコスメを紹介

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オーガニックコーディネーター 吉川千明さんインタビュー(前編)

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安全で安心でも効かないと意味がない

――あえてオーガニックであることを謳わないことにメリットはあるのですか?

オーガニックと謳ってしまうと、どうしても健康や安全にフォーカスされがちなので、効果を謳いたかったり、勝負するんだったらオーガニック化粧品としてではなく、一般的な化粧品として土俵に立ちたいというブランドはあえてオーガニックって表記しないんですよね。そういったブランドが増えてきているのも事実です。「エフェクティブ」というのがひとつキーワードで、いくら安全で安心でも効かないと意味がない。いままではオーガニックであることに価値を見出していたけれど、大半のひとは「オーガニックって効かないんでしょ」という目で見ているので、あえて謳わないというブランドが出てきているのでしょうね。

――どのようなブランドが当てはまるのですか?

例えば「オシエム」はオーガニックを全面に出していませんけど、使っているものはオーガニックなものをふんだんに使っています。開発者のヤン・クズミレク氏は、世界的なアロマテラピストで、イギリスのオーガニック認定ソイルアソシエイションの設立メンバーでもあります。「ジュリーク」の新製品もそうです。認定は取っていないけれど、開けてみると85パーセントから90パーセントはバイオダイナミック無農薬有機農法という有機のなかのさらにマニアックな製法でつくられていたり。防腐剤まで含めてほぼ99パーセント自然由来の素材になっています。ゴージャスブランドとして知られる「シスレー」などもフォトコスメトロジーの最高峰として非常に良い植物を使っています。あとは「THREE」もアロマテラピーに特化していて、それもオーガニック素材にかなりこだわっています。けれどパッケージデザインからも、オーガニックに興味がない層にも使ってもらいたいという想いを感じますよね。

――なるほど。一般の化粧品に求められる効果も期待できるコスメが増えてきているのですね。

そうなんです。「オシエム」や「インフィオレ」などを使うとやっぱり効果は実感できますから。安心して使えますし、テクスチャーも我慢をしなくていい。気持のいい浸透性やハリ感などの、ちょっと高い望みも叶うんですね。ただ、ここまで最高峰でなくとも、基本は、植物の力って本当に素晴らしいものがあって、使い心地とか便利さでは、化学的な製品には敵わないけれども、自然であるゆえの素朴さとか、自然っていいなって肌から感じることのできるブランドもありますから、求めるものによって使い分けてほしいと思います。

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若い人が必要以上にリッチなものを使うべきではないですし、場数を踏めば自然と良いものが分かるようになってきますから。オーガニックコスメやナチュラルコスメが普通の化粧品と違うところは、やっぱり香りやテクスチャーなんですね。ですから一回試して頂くと良いんですけど、伊勢丹の『ビューティアポセカリー』みたいな場所に行って、コンシェルジュさんに相談して試してみてください。そのうちそれが楽しみになりますから。

お薦めのナチュラルコスメを紹介

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オーガニックコーディネーター 吉川千明さんインタビュー(前編)

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ミネラルメイクがナチュラルコスメ界を切り開く?

――最後に、オーガニックコスメというとスキンケアを想像しがちですが、メイクアップについても教えてください。

じつは、スキンケアのアドバイスをしていて、いつもつきあたるのがメイクなんです。どんなに肌に良いスキンケア製品を薦めても、メイクアップでぶち壊しになってしまっているひとって意外と多いんですね。そんななか、ミネラルメイクがでてきたので、やっと完結できるかなって思っているんです。
オーガニックって基本が畑で栽培する植物をつかうので植物がメインになっていますが、ナチュラル、安全、自然界からきているという点で、有機、無機をごちゃごちゃ考えなければ、ミネラルメイクのことをオーガニックメイクって言ってもいいんじゃないかと思うんです。オーガニックコスメに対応するナチュラルなメイクがミネラルメイクなのかなと。メイクって表面的じゃないですか。スキンケアが生き方だとしたら、メイクは飾り方というか。個人的な期待としては、とにかく自然由来じゃなくても顔が綺麗になればいいっていうマスなひとたちの目がミネラルに向いて、肌にも良いし、天然なものをだいじに使おうって気持ちが生まれて、それによって既存のオーガニックコスメの世界まで開いてくれたらいいなと思っています。

――ありがとうございました。

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YOSHIKAWA Chiaki|吉川千明
オーガニックコーディネーター

「ストレスをとるときれいになる」をコンセプトにジュリークショップ青山、白金台、ビオ・パスカルなど、ナチュラル感を重視した5つのサロンとスパを主宰。日本で始めての女性専用漢方薬局「若草漢方薬局」を銀座に設立。2008年12月には、代官山にオーガニックコスメ、ナチュラルコスメのPRルーム「ビオ代官山」をオープン。
化粧品やスキンケア、スパのみならず、女性医療、食、漢方、生き方など、女性のためのナチュラルで美しいライフスタイルを様々な角度から提案している。国際植物療法協会指導員・チューリッヒに本部を置くエステティックとコスメトロジーの団体CIDESCOの認定を持つ。好きな言葉は「自然体でエレガント」。著書に「プレ更年期からの女性ホルモン塾」(小学館)、「キレイな“カラダ・心・肌”女性ホルモン塾」(小学館)、「アロマ組合わせ手帖」(地球丸からだブックス)、「美肌・漢方塾」(小学館)、「大人の女のキレイ講座」(PHP研究所)。
オフィシャルホームページ www.chiaki-yoshikawa.com


お薦めのナチュラルコスメを紹介

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