THREE|染織家 清水繭子さんが語る「ハンド & アーム クリーム AC」の魅力
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2015年1月28日

THREE|染織家 清水繭子さんが語る「ハンド & アーム クリーム AC」の魅力

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染織家 清水繭子さんが語る、植物の力(1)

植物染料による染織文化の歴史は古く、なかでも絹糸を染める技術は、仏教伝来とともに発達したといわれている。色鮮やかな絹糸から生まれる織物は高貴の象徴であり、日本の中世(鎌倉~安土桃山時代)には、帝に仕える専属の染師も存在した。この長い歴史をもつ伝統工藝を今に伝える染織家 清水繭子さんは、紬織重要無形文化財保持者 志村ふくみさんに師事を仰ぎ、京都で修業を積んだのち、現在は鎌倉を拠点に活動している。

文=小林由佳写真=JAMANDFIX


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自分に秘めるルーツに触れたような、染織との出会い

美術大学でテキスタイルを学んでいたころは、「周囲のひとにはファッションやインテリア関連の仕事に就くと思われていた」という清水さん。「そのころは、自分でもまさか伝統工藝の世界に入るとは思っていませんでした」という。

「志村先生の作品を拝見したときに、特別な感覚を体験したことがキッカケなんです。もちろん、それまでにもいろいろな芸術作品から感銘を受けることはありました。でも志村先生の作品を見たときには、感動だけでなく、どこかホッとするような感覚があったんです。そのときはその理由がわからなかったんですが、最近は、もしかすると、あの瞬間、自分のなかにあるルーツに触れたのかな、と思っています。先生の作品を拝見したことで、自分のなかに眠っていたものに気づいて、見つけられたことにホッと安心したような」

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「もともと布や糸のような優しいものに触れるのは好きでした。だから世界各地のテキスタイルには関心があったのですが、素材でいうなら、やはり絹糸との出会いは大きかった。繭から紡いだ糸の光たくとしなやかさ、けがれのない清らかな白さは格別です。その素材の魅力にまず惹かれ、そしてそれを染める植物の色に興味を抱きました。植物による染織技法は、初期の段階ではどの国でもおなじだといわれています。そこから各地の風土や民族の気質などがくわわり、その個性は糸一本にも出てくると思います。そういう意味では、海外のテキスタイルにもすばらしいものはたくさんありますが、やはり日本の染織は肌になじむというか、説明できないほど自然に受け入れられるというか。もちろん、きものという衣装の、美しさと優れた機能に惹かれたところもあります」

糸一本の出来栄えをたぐる、指の感度を維持するために

染色は季節を問わないが、清水さんは「やはり寒中の冷水を使うほうが色が冴える気がする」という。そうなれば当然手荒れは否めない。

「でも、手が荒れてしまうわけにはいかないんです。染め上げた糸は織機で反物にしていきますが、手が荒れていると、この作業中にささくれや小さな傷に糸をひっかけてしまう。もちろん血がついたりしたら糸は台無しです。だからハンドケアは、つねに予防の要素が高いですね」

植物あっての創作だけに、ハンドケアに使うクリームも、おのずと天然成分重視になる。

「今までもナチュラル系のものを使っていましたが、天然成分率が高いTHREEのハンド & アームクリーム ACは、ほかのハンドクリームよりも使い心地がいい。浸透が早く、保湿の持続力も高く、でもつけた後にすぐサラリとするから、日中も気兼ねなく使えます。植物由来で、ユズや梅など“知っているものが入っている”という点も、安心感につながっていると思うんです」

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染織家 清水繭子さんが語る、植物の力(2)


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「材料」ではなく「命あるもの」を使うということ

THREEのハンド & アームクリームACで、その果実水が使われている梅は、ほぼ毎年染料に使っているという清水さん。

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「梅は花や実がたくさんつくように剪定をする木なので、落とした枝を毎年いただくんです。紅梅と白梅でも引き出せる色は異なりますが、以前にいただいた紅梅は枝を切ると断面がパッと赤く、その色のように糸が染まりました。志村先生の著書のなかには桜で染色する話が出てくるのですが、桜は、あの淡く美しい花びらで染めたらうす緑になり、幹で染めてみたら桜色に染まったというくだりを読んで、胸に残っていました。その後、実際に自分で桜の枝で糸を染め、ほのかな桜色が出たときには感動しましたね。

表面にあらわれていない色、植物の内側に蓄えられている生命力に感銘を受けました。創作のために使う“材料”ではなく、命あるものをいただいているんだということは、色が出るたびに感じさせられます」

植物の数だけ色があり、さらにその植物が育った土地や季節でも色は異なるはず。どんな色が出るか染め上げるまでわからないのは、創作のうえでいちばん難しいことではないのだろうか。

「じつは、それで最初のうちはことごとく失敗していました。色を追えば追うほど、色が逃げていくような感じです。たとえばデザイン画を描き、それに似合う色をイメージして、“こういう赤みのあるねずみ色”なんて思いつつ染料を選んでみても、なかなか思うようにいかない。それでもなんとかしようと奮闘するのですが、そうすると、どんどん色が逃げていく。難しさを感じるとともに、悲しい気持ちになりましたね。でも、自分がやりたいことを追えば追うほど逃げていくという経験を重ねていくうちに、植物に合わせてみる、植物そのものを活かすことに力を注いでみようと気づいたんです」

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植物の力を信じ尊重することで体験する、日々の驚き

「結局、自分の創作のために、命あるものをコントロールしようとしていたんですよね。今は“これはどんな色に染まるだろう”と思いながら糸を染め、それでどんなものが作れるだろうと考えるようになりました。

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植物の色に自分が合わせる。そうしたら、それまでになかったような透明感溢れる色が出て、植物のいちばんいい状態を引き出せたと実感できることもしばしば。これはうれしいですよね。生き生きとして、それぞれにあたたかさや深みがある。創造力も掻き立てられます。仕事をしているなかで、植物の色には日々おどろきと発見があります。それはもう思いがけないことの連続で、そのうちに“こういう色が出るだろう”なんて想像すること自体が、おこがましいというか、想像するものではないなという感じです。想像したところで、いい意味で裏切ってくれますし(笑)」

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染織家 清水繭子さんが語る、植物の力(3)


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思考と動作を逆転させる“手の感覚”

清水さんは、自身の創作活動のほかにも、染色を体験してもらうワークショップを開催している。限られた時間で工程をこなすことは難しいが、参加したひとたちは染料となる植物に触れ、煮出した染液の香りを嗅ぎ、色染めを体験をする。

「本当に身近なもので色が染まるんだと、おどろいてくれます。私は染色を特別なものにしたくないんです。だって、化学染料が使われはじめたのは明治時代以降で、それまでは植物染料が主だったのですから。絹糸にかぎらず、植物染料でいろいろな素材が染められる楽しさに触れていただけたらと。……手の感覚から得られることは大事です」

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「この仕事をはじめたときは、頭で“こうしよう”と思って手を動かしているという感覚で、それゆえなかなかうまくいかなかったことがありました。でも、修練を重ねていくうちに、頭でやろうとしていることに手が追いついてくるようになる。頭と手が同時に動く、みたいな。これは子どもたちの感覚に近いんじゃないかなと思います。そして、それをさらにつづけていくと、手が先に動くようになる。指の腹で糸をたぐり、織物に触れるこの仕事をしていると、その変化を痛感します。だから、手の感覚は絶対に鈍らせたくないんです」

ハンドケアに人一倍配慮が必要なのもうなずける。THREEのハンド & アームクリームAC は、つけた後にほのかに香るかんきつ系の香りが心地よく、ハンドケアがリラックスタイムにもなってきたという。

植物と、作品を着るひとのあいだに、自分がいる

取材にお邪魔したお宅には、織機が置かれた部屋がある。昔ながらの織機には経糸(たていと)が張り巡らされ、杼(ひ)と呼ばれる道具で、上下にわかれた経糸のあいだに緯糸(よこいと)を繰り返しとおしていく。1日約3尺(1尺は37.8センチ)のペースで進めていると清水さんは言うが、着物に必要な反物は、一般的に32尺(約12メートル)前後。その根気と集中力は計り知れない。

「植物で糸を染めて機を織り、それを一枚のきものにしていくことは大変なことですが、どの作業においても、つねに丁寧な姿勢でありたいと思っています。自分がこうしたい、こういうものを作りたいからこれを使う、というところにとどまるのではなく。命の色をいただく植物と、作ったものを着てくださる方を尊重し、両方にそっと寄りそうような感覚であいだに立つのが、自分なんじゃないかと思います」

自然の恩恵を真摯に受け止め、そしてそれをあますことなく使うひとへと導く姿勢は、THREEの理念とつうずるところが多い。

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「だから、きものを着てくださった方から“着やすい”“きものというだけではなく、“私自身が着ているという感じ”と言っていただけたときには、本当にうれしかった。これが自分がやりたかったことだと思いました。作品で自分を出す、表現するのが“作家”なのかもしれませんが、自分を出さない作家性があってもいいんじゃないかと思うんです。植物と着るひとのあいだで自分がやるべきことがある。それが丁寧な姿勢につながるのではないかと思います」

──ありがとうございました。

清水繭子|SHIMIZU Mayuko

清水繭子|SHIMIZU Mayuko
1972年東京都生まれ。96年大学卒業後、紬織重要無形文化財保持者 志村ふくみ氏に師事。 志村ふくみ氏、洋子氏の京都の工房で染織を学ぶ。2000年独立、鎌倉に拠点を移す。植物染料による着物の制作を中心に、 染色のワークショップなどもおこなっている。
http://mayukoshimizu.jp/

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