Truefitt and Hill|トゥルフィット&ヒル|モニターレポート|吉田眞紀(M.Y.LABELクリエイティブディレクター)_Vol.2
トゥルフィット&ヒル モニターレポート
吉田眞紀(M.Y.LABELクリエイティブディレクター)_Vol.2
若いシングルモルトのようなストレートな魅力
シェービングクリームとオーデコロンはもちろん、アフターシェーブバーム、バス&シャワージェル、はてはハンド&ボディーソープまで同じ香りでそろう『トゥルフィット&ヒル』。その魅力を感じたという吉田眞紀さん。M.Y.LABELのクリエイティブディレクターとして活躍する氏に、『トゥルフィット&ヒル』のフレグラスやそのボトルデザインについて聞いてみた。
ほかの誰にも似ていない、老舗のプライドと潔さ
──トゥルフィット&ヒルのフレグランスがもつタッチというか、特性についてはどう思われましたか?
吉田 僕が選ばせていただいたのは「ウェストインディアンライム」ですが、どの香りもやはり英国の老舗の香りだなって思います。無骨さをあわせもっているというか、どこかささくれ立っているところがある。なにより香り自体を変にこねくりまわしていないところがいいですね。ウイスキーでいうとシングルモルトかな。しかも伝統のあるメーカーのシングルモルトだけれど、熟成が進みすぎていない若いやつ。
──というと、どういうことでしょうか?
吉田 僕はシングルモルトが好きで、以前は熟成が進んだ20年ものなんかを喜んで飲んでいた時期もあったのです。たしかにうまいけど熟成が進みすぎると、もとが何だったのか見失いそうになり、あるときふと思ったんですよ。「これって意味ないな」って。すると熟成が進みすぎていない比較的若いシングルモルトのストレートな味や香りが魅力的に思えてきたんです。
──たしかにトゥルフィット&ヒルのフレグランスはクラシックであってもマッチョというか、媚びてないところがあると思います
吉田 多くのメンズフレグランスはその香りを纏った男性の隣にいる人、つまり女性を喜ばせるために存在するようなところがあると僕は思うんです。でもトゥルフィット&ヒルのフレグランスは、あくまで大人の男のための香りという気がしますね。
──ジェントルマンたるもの、自らの立場をわきまえ、周囲に対して誰よりも気配り心配りはするけれど、それを決して周囲に悟らせない。あくまでも控え目に徹することを美徳とする、と
吉田 そこに売り上げを上げるためのマーケティングの概念が出てきて、本来のターゲットじゃない人まで盛り込んでこねくり回してしまうと、瞬間的な目新しさは獲得できるけれど、本来の魅力が失われてしまう。角が丸くなってしまうというか。
結果として、ほかと似たようなものになったりしがちなのですが、トゥルフィット&ヒルはそんなところがまるでない。老舗のプライドや潔さを感じますね。
「香りを纏う」という社会的意味とは
──ボトルやパッケージのデザインについてはどう思われますか?
吉田 背景に歴史や文化がある老舗ならではのクラシックなデザインだと思います。デザインとして完成されている。だからヘタに変える必要がない。
──たしかに浮わついたところはありませんね。大人のための香りであり、デザインだと思います
吉田 ヨーロッパに行くと社会がすべて大人のためにあるなと感じることがあります。高級なホテルやレストランには、その場所に相応しい人しかいないというか。
──「金を払うのだから何をしようがオレの勝手だろう」といった類のエゴや開き直りが通じないところはあると思います
吉田 少なくとも自分が入る空間の雰囲気を壊さない。それどころか場の雰囲気を高める格好や振る舞い、心配りをあたりまえのこととして実践する社会が前提としてあると思うんです。気位が高いというか。ファッションに似たようなところがあって、なにかが突出して目立つようではおしゃれとはいえない。グルーミングの仕上げとして香りを纏うということも、きっと同じなんだと思います。
──ありがとうございました