Volkswagen Golf TSI Trendline 小気味よく走る、ゴルフのエントリーグレード
Volkswagen Golf TSI Trendline|
フォルクスワーゲン・ゴルフ TSI トレンドライン
小気味よく走る、ゴルフのエントリーグレード
日本におけるフォルクスワーゲン・ゴルフのラインナップに、先頃1.2リッターエンジンを搭載した「ゴルフTSIトレンドライン」が追加され、2010年4月9日より販売開始された。エコカー減税とエコカー補助金の対象にもなる環境に優しいモデルで、価格もシリーズ中もっとも買いやすい257万円。
文=小川フミオ写真=荒川正幸
国産ハイブリッドカーと並ぶコスト・トゥ・パフォーマンス
ゴルフTSIトレンドラインの最大の眼目は、燃費性能と運動性能の両立。インタークーラーを備えたターボチャージャー搭載の1.2リッター4気筒エンジンは、同社が進める「ダウンサイジングコンセプト」に基づいたもので、排気量は小さくする一方、性能は1.5倍ぐらいの排気量のエンジンと同等を目指すというもの。
1.2リッターエンジンもフリクションロスを抑え、軽量化を推し進めることで効率のよさを追求したと謳われている。たとえば、先代ゴルフのベーシックモデルだった1.6リッターの「E」と比較した場合、最大トルクは15.8kgm/4,000rpmから17.8kgm/1,550~4,100rpmへと増大し、排気量は25パーセント小さくなりながら、トルクはプラス13パーセントとなる。かつトルクバンドが太くなったため扱いやすさも増している。
「輸入車市場は回復基調。今年はできることなら年販5万台を目指したい」(広報部)と語るフォルクスワーゲン・グループ・ジャパンでは、減税や補助金で最大38万3700円の優遇が受けられることなど引き合いに出し、「10・15モードで17km/ℓの燃費を誇り、257万円の価格は装備の充実ぶりなどを考えれば国産ハイブリッドカーとも充分競合できる内容」とする。
おさらいの意味でゴルフのラインナップを記すと下記のようになる。
TSIトレンドライン(1.2リッター+ターボ)257万円
TSIコンフォートライン(1.4リッター+ターボ)278万円
TSIハイライン(1.4リッター+ターボ+スーパーチャージャー)312万円
GTI(2リッター+ターボ)366万円
R(2リッター+ターボ)505万円
1.2リッターエンジンゆえ「TSIトレンドライン」はゴルフのエントリーグレードと位置づけられているが、マニュアルのダイレクト感とオートマチックの安逸さをもったデュアルクラッチシステムである7段DSGをはじめ、緊急危機性にすぐれるESP(エレクトロニックスタビリゼーションプログラム)などのアクティブセーフティ性能、カーテンエアバッグやむち打ち低減ヘッドレストなどのパッシブセーフティ性能、坂道発進を助けてくれるヒルホルダー機能などを備える。
快適性能の面では、フレッシュエアフィルター、オートライトシステム、CDをはじめMP3やWMA規格のミュージックプレイヤーに対応するカーオーディオ、ヘッドランプ残照機能であるカミングホーム/リービングホームなど、不足のない内容なのも注目に値する。
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フォルクスワーゲン・ゴルフ TSI トレンドライン(2)
小気味よく走る、ゴルフのエントリーグレード
無駄のない、軽快な走り
はたして乗り出してみると、軽快。1,270kgと比較的軽い車重にくわえて、1,550rpmから最大トルクを発生するエンジンの特性ゆえだろう。じつに気持ちよく発進する。燃費のことを考えてタウンスピードで流すときは、2,000rpmの手前でシフトアップしていく設定だが、それでもパワー不足を感じさせることはない。
軽いクルマはエンジンもブレーキも小さくて済むからじつはとてもエコロジカルということが、よくわかっている。エンジンもあえてSOHCにしてオイルの量を減らし、かつオイルポンプの小型化をはかったり、ブロックを軽量化したりすることで、エンジン全体で1.4リッター版より40kgも軽くなっているそうだ。だからハンドリングも軽快だ。すっすっと曲がる感覚は楽しい。燃費のためのガマングルマではない。
高速でもエンジンの伸びは意外なほどよく、流れをリードしていけるほどだ。かつ静粛性は高く、フォルクスワーゲンのクルマづくりの進化を強く感じさせられた。ただ車体とタイヤの重量バランスのせいなのか、サスペンションの設定のせいなのか、ちょっと車体がハネ気味なのが気になるといえば気になる点。大人が4人乗るとしっとりした乗り心地になるのだが。でもそれもあえて欠点を探せばというレベルなので、ふだん気になることはまずないのでは。
あたりが柔らかく、乗ってみる価値大
ちなみに1.4リッターにターボチャージャーを装着して122PSの最高出力と20.4kgmの最大トルクを1,500rpmから4,000rpmで発生するTSIコンフォートラインにもあらためて試乗してみたが、1.2リッターと較べると、シフトアップのタイミングも少し上の回転域だし、ハンドルの味つけはやや重めだし、よりスポーティな印象が強かった。以前乗ったときはマイルドでナチュラルなところが持ち味だと思っていたが、この2台は別のマーケットを狙っていると思えるぐらいちがいを感じた。
個人的にはTSIトレンドラインは今のところベスト・ゴルフかもしれない。でも先に書いたように、1.4と比較しても性格がちがうだけあって、GTIやRなど魅力的なラインナップをもつのがゴルフだ。でも日常的にクルマを使うひとにとって、あたりの柔らかいTSIトレンドラインは絶対に乗ってみる価値がある。ここに現在の欧州のクルマづくりの実力がある。
Volkswagen Golf TSI Trendline|
フォルクスワーゲン・ゴルフ TSI トレンドライン
ボディ|全長4,210×全幅1,790×全高1,485mm
車両重量|1,270kg
エンジン|1.2ℓ 直列4気筒SOHC+インタークーラー付ターボチャージャー
最高出力|77kW[105ps〕/5,000rpm
最大トルク|75Nm[17.8kgm〕/1,550-4,100rpm
駆動方式|前輪駆動
トランスミッション|7段DSG
価格|257万円
フォルクスワーゲンカスタマーセンター
0120-993-199