ルノー ルーテシアに国内で試乗|Renault
CAR / IMPRESSION
2014年12月25日

ルノー ルーテシアに国内で試乗|Renault

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

あたらしいデザインの先鋒

ルノー ルーテシアに試乗

2010年に公開されたコンセプトカー「デジール」を皮切りにスタートした、ルノーのあたらしいデザイン戦略「サイクル オブ ライフ」。そのプロダクションモデル第一弾として2012年のパリモーターショーで登場した新型「ルーテシア(本国名 クリオ)」が、いよいよ日本に上陸した。フランスでスポーティバージョンのR.S.に試乗した大谷達也氏が、今度は国内でスタンダードモデルを走らせる。

Text by OTANI TatsuyaPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko

デザインとクオリティを高次元で融合

どれだけ眺めても見飽きることのないデザインだ。

スペース効率が重視されるコンパクトカーでは、最小の外寸で最大の居住空間を確保するため、ボディパネルは比較的フラットなものをつかうケースがほとんどだが、新型ルーテシアはちがう。前後のフェンダーは明確な陰影が浮かび上がるほど抑揚が豊かで、キャビンの後半部分はリアフェンダーの膨らみを強調するかのように深く絞り込まれている。

前後ドアの下端にはこれまた立体的な樹脂製のパネルが貼られ、ドアパネル自身もこれとハーモニーを生み出す3次元的な加工が施されている。そこに映る光と影、さらには空に浮かぶ雲や木々の織りなす文様を眺めていると、本当に時がたつのを忘れてしまう。2009年にルノーのデザイン担当常務に就任し、あたらしいルーテシアのデザインコンセプトをまとめあげたローレンス・ヴァン・デン・アッカーの腕前は相当なものだ。

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

こうしたエクステリアデザインを側面から引き立てているのが、クォリティ感の高いボディフィニッシュである。ボディパネルはどれも面精度が高いので、デザイナーが意図した抑揚が正確に再現されている。

パネル間のすき間、いわゆるチリもきっちり揃っている。さらにはフロントグリル、ヘッドライト、グリル中央のルノー ロゴ、ウィンドーグラフィックに巧みに織り込まれたリアドアハンドル、そしてリアコンビネーションライトの造形もユニークで、それでいながらボディ全体のプロポーションもまとまりがいい。

試乗車はアルミホイールをボディ色と揃えたパック クルールを装着していることもあって、デザインの一体感がひときわ強調されている。エクステリアデザインは新型ルーテシアのハイライトといってまちがいない。

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

あたらしいデザインの先鋒

ルノー ルーテシアに試乗 (2)

あかるくポップなインテリア

インテリア デザインもあかるくポップだ。とくに、試乗車は前述のパック クルール装着車のため、ダッシュボードやシートにもボディカラーとおなじブルーがあしらわれている。

私はインテリアを黒一色としたコンパクトカーが苦手で、この手のあかるい色調のデザインにどうしても惹かれてしまう。この手のコンパクトカーのなかには、ダッシュボードの一部を無理やり明るい色に塗っているモデルもあるが、そういうものに限って、色を塗った部品とブラックのままとされた部品の造形がアンバランスで、いかにも“後付け感”を漂わせていたりするものだ。

しかし、ルーテシアだったら心配ご無用。柔らかな曲線を描く彩色されたパーツが、キャビンの空気をあかるくなごませてくれるはずだ。

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

ピアノブラックのフラットなパネルで構成されるダッシュパネル部分には、“いまどき”のクルマらしく7インチの大型タッチスクリーンが埋め込まれているが、現状ではこのディスプレイにナビゲーション情報を映し出すことができない(フランス仕様車はもちろんできる)。

ただし、ルノー・ジャポンでは、この部分のオーディオコントロールを生かした日本製ナビゲーションシステムの移植を検討しているという。日本仕様のフランス車は、台数が限られていることもあってインフォテイメントのローカライズが遅れがちだったが、ようやくこの領域でもライバル勢に追いついてきたようである。

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

あたらしいデザインの先鋒

ルノー ルーテシアに試乗 (3)

全体的に軽さを強くかんじる

ライバル勢に追いついたといえば、ドライブトレーンがまさにその代表といえる。今回、発表されたベーシックグレードのルーテシア(年内にはスポーティなルノー・スポールも追加される見通し)に搭載されるのは、ダウンサイジングコンセプトを採り入れた4気筒 1.2リッター 直噴ターボエンジンと6段EDC(デュアルクラッチ式AT)の組みあわせ。

日本でのモード燃費は、まだ認証作業が完了していないために発表されていないが、スペック的にはドイツのライバルメーカーに近い内容となっているので、それなりの省燃費性が期待できそうだ。

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

このドライブトレーンの印象を記すと、最高出力120ps/4,900rpmのエンジンは2,000rpmで最大トルクの190Nmを生み出すことになっているが、実際に力強さを感じるのは3,000rpmを超えてからのこと。

この点、ボトムエンドでもスロットルを踏めばただちに大トルクを発揮するフォルクスワーゲンあたりのエンジンとは味付けが大きくことなる。

ギアボックスもこのエンジン特性をよく把握しているらしく、加速時にポンポンとシフトアップしてエンジンを低回転に保つというよりは、それなりに高回転までエンジンを引っ張るタイプ。逆に減速時には積極的にシフトダウンする、往年のフランス車らしいセッティングが施されていた。

電動パワステの設定は軽め。路面からのキックバックもよく遮断されているので、か弱い女性陣には好まれるかもしれないが、路面からのフィーリングがやや乏しいので限界まで攻めるにはあまり向いていない。

ステアリング同様にある種の軽快感をかんじさせるのがその乗り心地で、従来のルノー車のように荒れた路面でもどっしり身構えるというよりは、軽く弾みながら走る印象だった。

Renault Lutecia|ルノー ルーテシア

これには転がり抵抗を抑えたミシュラン プライマシー3(サイズ 205/45R17)のキャラクターも影響しているのかもしれない。とにかく、これまでのルノーとはことなり、全体的に軽さを強くかんじさせるテイストだ。

デザインの方向性で大きく舵を切ったルノーは、ドライブトレーンも大幅に見直し、足回りにもこれまでと違った味付けを採り入れた。

ルノーはいま、大きく様変わりしようとしているのかもしれない。

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Renault Lutecia|ルノー ルーテシア
ボディサイズ|全長4,095×全幅1,750×全高1,445 mm
ホイールベース|2,600 mm
トレッド 前/後|1,505 / 1,505 mm
重量|
(インテンス)1,210 kg
(ゼン、アクティフ)1,190 kg
エンジン|1,197cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 88kW(120ps)/ 4,900 rpm
最大トルク|190Nm(19.4kgm)/ 2,000 rpm
トランスミッション|6段デュアルクラッチ(EDC)
駆動方式|FF
サスペンション 前/後|マクファーソン ストラット / トレーリングアーム
タイヤ|
(インテンス)205/45R17
(ゼン、アクティフ)195/55R16
価格|
(インテンス)238万円
(ゼン)215万円
(アクティフ)199万8,000円

           
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