Arflex|チェア「JK」デザイナー 倉本 仁インタビュー
Arflex|アルフレックス
新時代のアルフレックスのチェア「JK」の魅力をさぐる
デザイナー 倉本 仁インタビュー
アルフレックス2012年新製品として発表された「JK(ジェイケー)」は、伝統的なチェアのモチーフを再解釈し、現代の高度な技術を駆使して仕上げられたアームチェア。デザインを倉本 仁氏が手がけたことでも大きな話題を呼んでいる。アルフレックスの次代を示すチェアについて、倉本氏にうかがった。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photos by Arflex Japan
細部にいたるまで徹底的に今の暮らしを考えたデザイン
――今回のアームチェア「JK(ジェイケー)」誕生の背景を教えてください。
名作と呼ばれるような昔からのすばらしい椅子がたくさんある状況のなかで、今またあたらしい木製椅子を作るということの必要性を理解することが一番難しかったような気がします。それでも、自動車や携帯電話を取り巻く環境のように変化のスピードは速くなくとも、人びとの生活スタイルは少しずつ変化しているんだということに気づいたとき、目の前の霧が晴れ、この椅子が生まれるための一歩を踏み出せたような気がします。
――今回、アルフレックスのデザインを依頼された経緯は?
約2年前、アルフレックス社の商品企画の方から「一緒に何かやってみませんか?」とやんわりお誘いをいただきました。すぐに何かの開発をスタートしようというものではなく、お互いを理解し合うための対話をはじめましょう。というような感触だったのを覚えています。河口湖にある体験型のショールーム施設(注:カーサ ミア 河口湖)にも招いていただき、アルフレックスとは? 今必要な家具の価値とは? など、いろいろな領域の話を時間をかけてゆっくりと共有させてもらいました。それだけで一年ぐらいの時間が経過していたかも知れません。
――「JK(ジェイケー)」のデザインコンセプトは?
あまりに普遍的な言葉になってしまいますが、「使いやすく、美しい」ということです。現在的な生活環境や住宅事情に染みこんでいくように、木製の美しいフォルムのなかで静的に問題解決をおこなっています。
たとえば象徴的なA型のハーフアームチェア構成は、都市型住宅の狭いダイニングスペースにおいてもアームが邪魔になりにくく立ち座りが容易で、それでいてアームチェアの快適性もあわせもっています。テーブルに近いほど椅子の背の高さが低いのにも理由があります。
リビング・ダイニング・キッチンが大きなひと繋がりの空間になっている現代の住宅構成を見て、中間位置のダイニングで空間を圧迫・遮断しないような低い椅子が良いと考えました。子どもが汚しても交換できる座面のカバーリング構成などもそうですが、細部にいたるまで徹底的に今の暮らしを考え、今使ってほしい木製椅子を設計しようとしています。
木目の美しさを損なうことなく、あたらしい“普遍”の世界観を演出
――デザインや実際の製作で苦労された点は?
細く軽やかな木製の椅子でありながら、快適な座り心地を生み出すことが一番の課題でした。背中の当たりの感触や肘掛け部分の詳細形状をエンジニアの方と0.5mm単位で何度も何度も検証を繰り返し、最終的に高い快適性にたどり着くことができました。
――デザイン・製作(加工)の見どころを教えてください。
手で触ることの多い肘掛け部や引き出すときに持つ背中部分に表現されている有機的な曲面です。これらの曲面形状は大きな木の無垢材から削り出されており、伝統を受け継いだ職人の技と最先端の加工技術の融合で実現されています。
倉本 仁|KURAMOTO Jin
1976年 兵庫県淡路島生まれ。金沢美術工芸大学を卒業後、家電メーカー勤務を経て、2008年 JIN KURAMOTO STUDIOを設立。家具や家電製品、日用品などの製品開発を中心に国内外のクライアントにデザインを提供している。IF Design賞、Good Design賞など受賞多数。
http://www.jinkuramoto.com/
価格|9万9750円~
サイズ|アームチェア( W580×D490×H710 SH.445)
仕様|フレーム : オーク材塗装仕上げ、 オーク材ダークオーク色塗装仕上げ、ブラックウォールナット材塗装仕上げ、 ブラックウォールナット材ナチュラル色塗装仕上げ(計4種類)
シート |成型合板、ウレタン
その他|カバーリングシステム採用モデル(レザーも可)
アルフレックス ジャパン
0120-33-1951
http://www.arflex.co.jp