世界で最もパワフルなSUV「アストンマーティンDBX 707」に北海道で試乗|Aston Martin
CAR / IMPRESSION
2023年12月22日

世界で最もパワフルなSUV「アストンマーティンDBX 707」に北海道で試乗|Aston Martin

単なるDBX V8のハイパワー版では、決してない

そんなアストンマーティン渾身のハイパフォーマンスSUVを試乗するのは、パークハイアット ニセコ HANAZONOから、支笏湖を経て新千歳空港へと至る150kmほどの道のり。森の中を中速コーナーが右へ左へと展開するカントリーロードや、地平線へと延々とつづく直線路など、まさに北海道ならではの景観を堪能できる試乗コースだ。
羊蹄山やニセコ連峰などが織りなす絶景を車窓越しに楽しみながら、ホテル周辺の一般道をタウンスピードで流す。そんな状況で印象的なのは、車名に冠したパワーから想像される猛々しさをまったく感じさせないことだ。荒れた路面を通過しても、エアサスペンションが巧み路面の凹凸をいなして、不快な振動や突き上げを乗員に伝えない。上質で滑らかな乗り心地は、まさに高級サルーンのようだ。
DBX707には、オフロード用の「テレイン」、長距離走行での快適性を重視した「GT」、スポーツ走行に適した「スポーツ」、パフォーマンスを最大限に発揮する「スポーツ+」、そしてステアリングやサスペンション、エキゾーストなどをドライバーの好みで設定することができる「インディビジュアル」といった具合に5つのドライブモードが備わる。
交通量の少ないカントリーロードに至ると、センターコンソールのロータリースイッチを「GT」モードから「スポーツ+」モードに切り替え、ペースを上げた。すると、アクセル操作に対するV8ツインターボのレスポンスや、ステアリング操作に対する車両の動きが鋭さを増し、スーパースポーツそのものの走りを見せる。
コーナーの手前でブレーキペダルを踏み込むと、強力なカーボンセラミックブレーキが確実に速度を殺してくれる。制動のコントロール性、ペダルから伝わる剛性感、ともに申し分ない。
十分に減速してからステアリングを切り込むと、長いノーズが吸い込まれるようにインに向き、コーナーの頂点に達したところでアクセルペダルを踏み込むと、今度は強烈なGを伴って加速しはじめる。
その人馬一体感溢れるコーナリング時の挙動は、まさにDB系のスポーツカーを駆っているような感覚で、5メートルを越えるSUVであることを完全に忘れてしまう。
こうしたコーナリングマナーには、フロント52:リア48という前後重量配分など、スポーツカーとしての素性の良さも大きく寄与しているのだろう。まさにアストンマーティンが同車をして、「世界で最も速く、最もパワフルで、最高のハンドリングを誇る」と謳う所以だ。
驚くべきは、そんなピュアスポーツカーのごとき走りと、高級サルーンのような上質な乗り味が、極めて高い次元で両立されていること。そして、いずれのシーンにおいても、優れたエンジニアリングによるマシンとしての圧倒的な洗練性ゆえに、スペックから想像される猛々しさを一切感じさせないことだ。
単なるDBX V8のハイパワー版では、決してない。ドラビングダイナミクスから快適性まで、全方位的に大きく進化したハイパフォーマンスラグジュアリーSUV──それがDBX707の本質なのだ。
ASTON MARTIN DBX707|アストン マーティン DBX707
ボディサイズ|全長5,039×全幅1,998×全高1,680mm
ホイールベース|3,060mm
車両重量|2,245kg
エンジン|3,982ccV型8気筒ツインターボ
最高出力|520kW(707ps) / 4,500rpm
最大トルク900Nm / 6,000rpm
トランスミッション|9速AT(湿式クラッチ)
駆動方式|AWD
価格|3290万円
問い合わせ先

アストンマーティン
https://www.astonmartin.com/ja

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