連載・柳本浩市|第33回 西澤明洋氏とブランディングデザインについて語る(中編)

連載・柳本浩市|第33回 西澤明洋氏とブランディングデザインについて語る(中編)

How to see design

柳本浩市×西澤明洋対談

ブランディングデザインの“ステージ”を理解する

第33回 西澤明洋氏とブランディングデザインについて語る(中編・1)

西澤明洋氏(EIGHT BRANDING DESIGN)を迎えて、「ブランディングデザイン」についてお伺いする今回。前編につづいて、西澤さんの実際の仕事を例にとりながら、「ブランディングデザインとは」について考察します。

前編はこちら

Text by YANAGIMOTO Koichi

一生をかけて「デザインマネジメントを極める」ことがテーマ

柳本 西澤さんは独立して何年ですか。

西澤 いまEIGHT BRANDING DESIGNが8年目なんですよ。それでその前が2年間有限会社時代がありますので、独立してちょうど10年目ですね。東芝時代が2年なので、大学院を出てからのデザイナーとしてのキャリアとしてはちょうど12年です。独立してはじめの2年はいろいろやっていましたが、いまはブランディング専門でデザインをやっています。

EIGHT BRANDING DESIGNは企業ブランディングを専門にしていますが、私個人のデザイナーとしての目標は、一生をかけて「デザインマネジメントを極める」ことがテーマなので、いまいろいろと仕掛けは入っていますね。まずは、EIGHT BRANDING DESIGNの話をしますね。

うちの仕事はブランディングデザインを専門にしているので、たとえば「ロゴだけ」「パッケージだけ」「webだけ」とか、そういったオファーもいろいろいただくのですが、そういう依頼は基本的にお断りしています。つまり「企業ブランド」もしくは「事業ブランド」「商品ブランド」「ショップブランド」といった「ブランド」という単位で責任をもてる仕事しかしないようにしています。デザイン会社としてはかなり珍しいタイプかと思います。

最初に手がけたのは「COEDO」という埼玉県にあるクラフトビールメーカーの仕事ですね。あとは「nana’s green tea」という多店舗展開する抹茶カフェブランドです。このふたつがほぼ同時期にはじまった私たちの最初の仕事です。

柳本浩市|西澤明洋 02
柳本浩市|西澤明洋 03

COEDOではプロダクトタイプ、つまり商品系のブランディングをしました。ここはもともと地ビールを営まれていた会社で「売れ行きを良くするためにリニューアルしたい」ということでお声がけをいただきました。当時はデザインや売り方などは典型的な地ビールメーカーという感じでした。売れない理由はそもそも「地ビール」ということが問題なのではないかと経営者と話をしていくうちに、どうやら今回のプロジェクトはパッケージを変えるだけの話ではなさそうだ、ということに辿りつきました。

で、そこから地ビールをやめて何になるのかという話が重要になります。当時、市場全体でプレミアムビールが好調になりつつあって、その背景は踏まえようとしました。しかし大手のようなプレミアムビールをやっても仕方ないので、大手とはちがう、中小規模のビール醸造ならではの「職人のものづくり」を打ち出していこうとしました。「プレミアム」ではなく「クラフト」ではないかと。今でこそ「クラフトビール」という言葉は良く聞くようになってきましたが、クラフトビールと言う言葉をきちんと啓蒙しはじめたメーカーはCOEDOがはじめてだと思います。プレミアムをさらに越えた「クラフトビール」という市場を作っていこうという気運をもって取り組みました。

柳本 まず方向性を定めるわけですね。

ABOUT
YANAGIMOTO Kouichi

幼少のころ、植草甚一に影響を受けジャズと古本に目覚め、その後小学校1年生のときに発売された『Made in USA cartalog』でアメリカ文化の虜に。 そのころから古着と家具などを集めはじめる。その後、現在に至るま …