リシャール・ミル|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|RICHARD MILLE
RICHARD MILLE|リシャール・ミル
先端の技術を極めながら、さらなるラグジュアリーを追求(1)
時計のF1を目指すと標榜してきたリシャール・ミルは、その先端を行く時計作りにより、新しいラグジュアリーのスタイルを確立している。今回も、これまでのスポーツ関係とは異なるコラボレーションを行うなど、新しい試みにチャレンジしている。
文/河田昭則
新しいコラボでも先端技術を追い求める
近年のリシャール・ミルは、テニスのラファエル・ナダル、ゴルフのバッバ・ワトソン、F1のロマン・グロージャンなど、多くのスポーツ選手とのコラボレーションを成功させてきた。技術を極めつつ、他では使用しない先端的素材の採用などによって、独自のラグジュアリー性と世界観を構築してきた。
2016年のSIHHでは、新しいコラボレーションのパートナーとして、ラグジュアリーなコーポレートジェット(ビジネスジェット)を製造するACJ(エアバス コーポレート ジェット)とのコラボレーションモデルが発表された。そこでも、リシャール・ミルらしい先端素材や技術が投入され、独特のスタイルが生み出された。
そして、超薄型のモデルと同時に、驚くべき機構を仕組んだ万年筆まで登場。時計ブランドというだけでなく、ラグジュアリーブランドへの脱皮を志しているようにも見え、今後にも期待したくなる。
ラグジュアリージェットの世界観を表現
ACJは企業向けのプライベートジェットを製造する部門であり、エアバス社のジェット機をベースに快適な空間に機内を仕立てあげ、絶品の空の旅を提供する。この時計のイメージは、そんな優美な航空機の窓をイメージしてデザインされた。プレート状の特殊合金ATZ®ホワイトのベゼルが美しい仕上がりだ。
ミドルケースやケースバックのチタン・アルミ合金はジェットエンジンのタービンブレードと同じ組成となっている。ベゼルを留めるビスは、いつものリシャール・ミルの特製品ではなく、航空宇宙産業メーカーで用いられている特殊なビスで留めている。さらに、ムーブメントのパーツには、航空機のエンジンやボディを腐食から守るのと同じコーティングが施される。航空機と同じ素材や技術を用いて、内外ともに信頼性を高めているのだ。
文字盤は、サファイアクリスタルによるシースルー仕様。目盛りなどをカラフルに彩り、メーター類を想起させる。豪華なジェット機の世界観を巧みに表現するコンプリケーションは、リシャール・ミルに新しい地平を開きそうだ。
RM 50-02 ACJ トゥールビヨン スプリットセコンド クロノグラフ
ケース|チタン・アルミニウム合金、ATZ®ホワイトベゼル
サイズ|縦50.1×横42.7mm
厚さ|16.5mm
ムーブメント|手巻き(Cal.RM50-02)
機能|トゥールビヨン、スプリットセコンドクロノグラフ(60分積算計)、パワーリザーブインジケーター、トルクインジケーター、ファンクションインジケーター
ストラップ|ラバー
防水|50m
限定数|30本(ブティック限定)
発売時期|2016年 年内予定
予価|1億3120万円(税別)
Page02. 最薄のリシャール・ミル、トノーモデル
リシャールミルジャパン
Tel. 03-5807-8162
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先端の技術を極めながら、さらなるラグジュアリーを追求(2)
リシャール・ミルのトノーモデルで最薄モデル
リシャール・ミルの時計は、耐久性を重んじており、多機能な時計やコンプリケーションモデルが多いため、それなりに厚さのあるモデルが多くなる。だが、この時計はリシャール・ミルのトノーモデルで最薄を目指して開発された。
まずムーブメントが薄い。搭載されるキャリバーCRMA6は、スケルトン加工が徹底されているため奥行きが感じられるが、厚さは、たったの3.6mmである。素材はグレード5チタン製で、エレクトロプラズマ酸化処理が施され、精悍にかつ強靭に仕上げられている。
回転ローターは、薄型にしてもエネルギー効率を高めるため、密度の高いプラチナ製だ。輪列の歯車も、自動車のトランスミッションなどに持ちいられる高効率なインボリュート歯車を用い、優れたトルク伝達能力を有している。
このムーブメントを包むケースは、わずか7.75mm。グレード5チタンケースは計215もの工程を必要とする緻密な形となっている。機能は時刻表示以外は日付表示とファンクションインジケーターのみのシンプルさであり、優雅な造形に見惚れてしまう。
RM 67-01 オートマティック エクストラフラット
ケース|グレード5チタン
サイズ|縦47.52×横38.7mm
厚さ|7.75mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.CRMA6)
機能|ファンクションインジケーター
ストラップ|ラバー
防水|50m
発売時期|2016年秋予定
予価│970万円(税別)
Page03. ラグジュアリーな機械式万年筆 RMS05
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先端の技術を極めながら、さらなるラグジュアリーを追求(3)
ラグジュアリーな機械式万年筆 RMS 05
リシャール・ミルが万年筆を作り上げた。決して冗談ではない。ノベルティグッズでもない。リシャール・ミルが手がけるだけあって、ただの万年筆ではない。彼らしい素材を用い、機械式万年筆「RMS 05」を開発したのだ。
ケースには、リシャール・ミル独自の炭素繊維素材NTPT®カーボンを用い、2つとない風情の表面に仕上げてある。
最初に使うときには、キャップを外してもペン先が出ていないことに驚くかもしれない。ここからが、「機械式」の本領を発揮である。万年筆の後端部のプッシュボタンを押すと、そこに連なる時計の輪列にも似た一連の歯車が作動し、10秒かけてペン先が出現するのだ。動力となるゼンマイはキャップをはめると、ペン先が格納される動きに合わせて、巻き上げられる。
約4年の歳月をかけて開発された、精巧な仕組みであり、ペン先が出るまでの10秒で契約書にサインする直前の最後の決断ができるかもしれない。そんなウィットが効いた傑作であり、新しいラグジュアリー万年筆のパイオニアになるかもしれない。
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