複雑時計の鬼才が自らのブランドで、いよいよ本格始動

クリストフ・クラーレをご存知なのであれば、あなたはかなりの時計通だろう。スイス時計産業の中心地のひとつル・ロックルにある時計工房「マニュファクチュール・クラーレ」の創業者・主宰者である彼は、複雑時計の世界ではあまりにも有名な存在。アンティークウォッチの修復師として時計界でのキャリアをスタートした彼は、これまで20年以上におよぶその経歴のなかで、数かずの傑作複雑時計を著名な時計ブランドからの依頼を受けて開発してきた。とくにソヌリやミニッツリピーターなど、音を出す複雑時計にかんしては最高峰との評価を得ている。

ただ残念ながら、彼の名前が表に大きくクレジットされた作品は、ハリー・ウィンストンの「オーパス4」ぐらい。あくまで時計業界の“黒子”に徹してきた。
しかし2009年、彼は時計師としてあらたな一歩を踏み出した。みずからの名を冠したブランドを設立し、世界に向かって発信を開始したのだ。

3つのカジノゲーム機能を腕時計に内蔵

2011年バーゼルフェアの新作「21（トゥエンティワン） ブラックジャック」は、みずからのブランドで発表した3作目。通常の時分を表示する腕時計としての機能にくわえて、文字盤の表側にソヌリつき（作動させると音が鳴る）ブラックジャックゲーム機能が、ケース裏にルーレットゲーム機能が搭載されている。さらにケース横に2つのサイコロが内蔵されており、ダイスゲームも楽しめるようになっている。つまり3つのカジノゲームがどこでも楽しめるようになっている。

なかでもこの腕時計のいちばんのハイライトが、回転ディスク機構によるブラックジャックゲーム機能。文字盤にはディーラー用の窓、プレーヤー用の窓が設けられており、それぞれケース横にある10時位置、8時位置のボタンを押すことで、ソヌリ機構の優雅な音とともに、トランプの絵柄が描かれたディスクが回転。ブラックジャックゲームを楽しむことができるのだ。

「徹底的に遊びを追求してみた」というクラーレ氏自身の言葉どおり、ここまで遊び心を体現した腕時計は、バーゼルフェアを見わたしてもほかにない。お金に余裕のあるかたに、ぜひさり気なく着けてほしい。

ノーブルスタイリング
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