CHROME HEARTS│写真家・操上和美スペシャルインタビュー「クロムハーツの“絶対温度”」
CHROME HEARTS│クロムハーツ
写真家・操上和美スペシャルインタビュー
クロムハーツの “絶対温度”
写真家・操上和美さんのオフィスに置いてあるクロムハーツのポートフォリオブックは、誰もがきっと一度見たら絶対忘れられない。ファスナーを開けると、なかに収められているのは、イサム ノグチ、勝新太郎、寺山修司、亀倉雄策、鶴田浩二、忌野清志郎、緒方 拳、赤塚不二夫、尾崎 豊、モーリス・ベジャール、ウィリアム・バロウズ、シュウ ウエムラ、彫刻家の若林 奮(いさむ)、そして操上さんの父親……。ページを繰りながら操上さんは言う。「ここには美しいひとたちが眠っているんですよ」と。
文=オウプナーズ写真=相良博昭(キャメル)
「墓碑」に入っているひとたち
クロムハーツと最初に出合ったのは、80年代の後半にLAのセレクトショップ『MAX FIELD(マックスフィールド)』で、思わず惹きつけられて買ったこの革のケース。僕は写真を入れるポートフォリオブックとして使っています。
この大きなケースに惹かれたのは、「墓碑」のような感じを受けたんだね。
写真というのは時間が止まり、そのまま時間が蓄積されていくものですが、このクロムハーツのケースには、人間の魂があるように感じて、“これに写真を入れたらすごいな”と。
ポートフォリオブックはふつう自分の写真を売り込むために持ち歩くものですが、これはここに置いてある。
ブックのなかにいるのは、僕の好きだったひと、影響を受けたひと、忘れたくないひとたち。ここに“入ってもらっている”んですよ。だから、実際のモノよりも重量感があります。
クロムハーツに触れたくなる、ほしくなる理由
クロムハーツを買う動機をかんがえると、やはり“黒とシルバー”というコンビネーションがいい。革という動物とシルバーの鉱物がミックスされて独特の重量感と光彩を放ち、そこにはデザイナーのリチャードが示すモノの普遍性と、普遍的な時間がある。だから、クロムハーツに触れると、普段は自分のなかに眠っているセクシュアリティのようなものが刺激されて、たまらなく自分のものにしたくなる。
つまり、そこにはクロムハーツの絶対温度のようなものがあるんだね。着る服にしても、身につけるアクセサリーも、カウチやテーブルのようなインテリアまでも、やすらぎと、緊張感を両立させる。クロムハーツはコンセプトが上手にコントロールされていて、そこに惚れているのも大きいね。
青山のクロムハーツ東京はときどき行きたくなるところですね。ほしいモノがいっぱいあるから行かないようにしているんだけど(笑)、行くとなにかザワッとした刺激を受けて、つい手が出てしまう。そして、いつの間にか自分が占領されていく。
クロムハーツには古いとかあたらしいとかいうものもないし、流行りものにならない強さがあるのもいい。
ライカとコラボレーションしたら、僕は買いますよ(笑)
なにかと安物の進出がニュースになる銀座に、いちばん高いのがオープンするというのがいいね。「クロムハーツ」につくってほしいもの? ライカとコラボレーションしてカメラをつくったらどうですか。僕は買いますよ(笑)。クロムハーツのライカを構えたら、被写体はしびれると思うんだ(笑)。