Glashutte Original|グラスヒュッテ・オリジナル|パノマティック・クロノ
Glashütte Original|グラスヒュッテ・オリジナル
パノマティック・クロノ
Text by OPENERS
グラスヒュッテ・オリジナルの「パノ」シリーズは、ダイヤルを中心軸から離したアシンメトリーなデザインが特徴。そして文字盤上の空いたスペースに、2枚のディスクで日付を大きく表示する「パノラマデイト」を配置している。
今回紹介する「パノマティック・クロノ」も、パノシリーズの仲間で、2005年に発表されている。しかし、パノシリーズの特徴であるアシンメトリーなダイヤルデザインを拡大解釈して、時分針を備えたメインダイヤルを6時方向にオフセットし、12時方向にクロノグラフの機能を集約している点が、きわめて斬新である。
すなわち、12時方向の中央にある大きなリングは、“秒”計測を表示するためのカウンターとして機能しているのだ。しかも、このクロノグラフ・リングは、3つの小さな脚で支えられる立体構造であり、2時方向の30分積算計や、10時方向のスモールセコンド、さらには6時方向の時分ダイヤルと重なり合う、3Dデザインを形成している。
非常にスペクタクルな外観ではあるが、内蔵される機械もやはりユニークきわまりない。ムーブメントは自社製の「キャリバー95」で、伝統的なコラムホイール式のフライバック付きクロノグラフ。毎時2万8800振動で、大きなチラネジ付きのテンプを備えている。スワンネック緩急針や、ゴールドシャトンで固定された人工ルビーなど、見所は満載だ。むろんシースルーバックを採用するため、思う存分、その美しい眺めに浸りきることができる。
さらに、「キャリバー95」の特筆すべき点は、このムーブメントが同社初のツインバレル(2重香箱)を採用していることだろう。しかし、ツインバレルにありがちなロングパワーリザーブとは無縁で、駆動時間は通常レベルの42時間。ムーブメントのスタミナ性よりもむしろ、巻き上げ効率の向上と、トルクの安定化による精度の向上を狙ったものなのだ。時計としての基本性能の強化にツインバレルを活かすあたりに、ドイツのマニュファクチュールとしての高潔な魂が感じられるようだ。
このように「パノマティック・クロノ」は、伝統と革新を融合させた新世代のドイツ製クロノグラフである。18KRGケース×シルバーダイヤル(またはブラックダイヤル)ほか、18KRGケースにカーボンファイバー製のダイヤルとトリエステストラップを合わせた、アヴァンギャルドなバリエーションも用意されている。
自動巻き。毎時2万8800振動。約42時間パワーリザーブ。ケース径39.4mm。18KRGケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。651万円。
18KRGケース。カーボンファイバー製のダイヤル。トリエステストラップ。651万円。
BRAND HISTORY
1845年にフェルディナント・アドルフ・ランゲが時計工房を開いて以来、ドイツ時計産業の中心地となったドイツ・グラスヒュッテ。同地は第二次世界大戦後、旧東ドイツが管理する国営工場G.U.B.にて工業製品としての時計を製造していたが、その後、ベルリンの壁が崩壊すると、かつての宮廷時計職人たちから継承された、伝統的な時計製造を再興するブランドが徐々に登場する。グラスヒュッテ・オリジナルは、その中でもいち早く展開を始めたブランドの一つだった。
前社長のハインツ・W・ファイファーは1994年、民営化後のG.U.B.を買収し、従来までの大量生産体制を抜本的に改革。品質にこだわった少量生産体制へと切り替え、その翌年に開かれたバーゼル・ワールドにてグラスヒュッテ・オリジナルとしてデビューを果たす。
同ブランドの製品にはハンドメイドの温もりがあふれるグラスヒュッテ地方特有の4分の3プレート仕上げやスワンネック緩急針などが施され、またオフセンターダイヤルやパノラマデイトなど、機能性を重視したドイツ時計らしい質実剛健なデザインが採用された。
2000年からはスウォッチ グループ傘下に入り、’02年には日本展開もスタート。スポーツ系、複雑ウオッチまで幅広いラインナップをそろえ、’07年には独自のスプリットセコンド・クロノグラフ機構も開発するなど、ザクセンの伝統的な時計製造に根差した優れた技術力を、いかんなく発揮し続けている。
【創業年】1845年
【創業地】ドイツ、グラスヒュッテ
【主なシリーズ名】パノデイト、セネタ、スポーツエボリューション
【問い合わせ先】スウォッチ グループ ジャパン グラスヒュッテ・オリジナル 03-6245-7160
公式サイト:http://www.glashuette-original.com/