芥川賞作家、高井有一による谷崎潤一郎賞受賞作を戦後70年目に映画化|MOVIE
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2015年8月6日

芥川賞作家、高井有一による谷崎潤一郎賞受賞作を戦後70年目に映画化|MOVIE

MOVIE|芥川賞作家、高井有一による谷崎潤一郎賞受賞作を戦後70年目に映画化

戦争時代の許されぬ恋を描く人間ドラマ『この国の空』

芥川賞作家・高井有一の同名小説を長谷川博己&二階堂ふみ主演で映画化。戦時下、空襲と飢餓怯えながら生きる人びとの暮らしを丹念に描いた人間ドラマ『この国の空』が、8月8日(土)よりテアトル新宿ほかにて全国ロードショーされる。

Text by KUROMIYA Yuzu

終戦間近の庶民の生活、男女の関係を大胆かつリアルに表現

芥川賞作家・高井有一による同名小説は、1983年に出版され谷崎潤一郎賞を受賞。戦争という時代を戦場ではなく生活する人びとにフォーカス。終戦が近い東京を舞台に、庶民の暮らしを繊細かつリアルに描き出す。

監督は、『ヴァイブレータ』『共喰い』など数々の作品で男と女のロマンチシズムを表現してきた脚本家・荒井晴彦。『身も心も』以来、18年ぶりにメガホンを取った渾身の一作だ。

主演の里子役は二階堂ふみ。戦争という極限状態のなか妻子ある男・市毛との許されぬ恋に突き進む心の葛藤を見事に体現し、圧倒的な存在感を放つ。市毛役には長谷川博己。妻子がいながら里子に惹かれ渇望する男を情熱的に演じる。そのほか工藤夕貴、富田靖子、石橋蓮司、奥田瑛二ら豪華実力派俳優が集結。

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劇中では、戦後を代表する女流詩人茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」を里子が朗読。19歳で終戦を迎え、その時の経験を基に書かれた詩の世界観が、強くまっすぐな里子の心情と重なり、深い余韻を残している。

「私は愛も知らずに、空襲で死ぬのでしょうか」

終戦間近の1945年、母親と東京・杉並区で暮らしている19歳の里子。空襲に怯え、日に日に物価は高くなり、まともな食べ物も口にはできないなかで健気に生活していた。隣には、妻子を疎開させた銀行支店長の市毛が隣に住んでいる。

すでに婚期を迎えた里子だが、この状況下では結婚など望めそうもない。自分は男性と結ばれることなく、死んでいくのだろうか。不安を抱えながら市毛の身の回りの世話をしていくうちに、それがだんだんと喜びとなり、いつしか里子のなかの女が目覚めていく。

『この国の空』
8月8日(土)より、テアトル新宿、丸の内TOEI、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
監督・脚本|荒井晴彦
原作|高井有一『この国の空』(新潮社)
キャスト|二階堂ふみ、長谷川博己、工藤夕貴、富田靖子
配給|ファントム・フィルム、KATSU-do
2015年/日本/130分
http://kuni-sora.com

©2015「この国の空」製作委員会

           
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